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外食トピックス

帝国データバンク、人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)

帝国データバンクは、2006年5月より毎月実施している雇用の過不足状況に関する調査を、全国26,590社を対象に、4月16日~4月30日に実施し10,735社から有効回答を得た。その結果を「人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)」としてまとめ発表した。
■正社員不足の企業は51.4%、非正社員では30.0%と高止まり
 慢性化した人手不足は、深刻な「高止まり」状態が続いている。4月時点における、正社員の人手不足を感じている企業は51.4%だった。毎年4月は新卒新入社員などの入社によって人手不足割合が緩和する傾向にあり、今年も同様の動きがみられたものの、依然として半数を超える結果となった。また、4月としては2023年と同水準となり、過去最高を記録した。非正社員の人手不足割合は、30.0%だった。4月としては2年連続で低下しているが、3割台の水準で推移している。
■人手不足割合、正社員は「情報サービス」が69.9%、非正社員は「飲食店」が65.3%でトップ
 正社員の人手不足割合を業種別にみると、ソフトウェア開発や情報処理サービスなどを含む「情報サービス」(69.9%)が最も高かった。前年同月比1.8ptの低下だったものの、顕著なシステムエンジニア不足の影響で、依然として最も深刻な状況が続いている。2024年度のソフトウェア業者の倒産は過去10年で最多を記録するなど、実際に人手不足は事業継続に影響を及ぼしている。2番目に高かったのは「メンテナンス・警備・検査」(69.4%)だった。その他、2024年4月に時間外労働の新たな上限規制が適用された「2024年問題」から1年が経過したなかで、正社員の人手不足を感じている企業は、「建設業」で68.9%、「道路貨物運送業」で72.2%となり全業種(51.4%)を大きく上回っている。
 一方、非正社員では「飲食店」が65.3%となり、業種別で最も高かった。依然として高水準にとどまっているものの、2023年4月(85.2%)、2024年4月(74.8%)と比較して低下傾向にある。同様の傾向にある「旅館・ホテル」(51.8%)も含め、就業者数の多くを占める「非正規の職員・従業員」の数が回復していることや、スポットワーク・DXなどの普及が背景にあるとみられる。その他、個人向けの小売・サービス業を中心とした労働集約型の業種が上位に多くあがった。
■今後の見通し…就業者数増加のなかでも、高止まりが長期化すると予想
 今年4月時点で、正社員の人手不足を感じている企業の割合は51.4%、非正社員では30.0%となった。新卒新入社員の入社などがあり月次ベースでは低下したものの、4月としては過去最高水準を記録。女性やシニア層の社会進出によって就業者数が年々増加しているにも関わらず、企業の人手不足割合が改善していないことなどを踏まえると、今後も人手不足割合は高止まりが長期化すると予想される。
 同社が今年3月に実施した「2025年度の業績見通しに関する企業の意識調査」では、2025年度業績の下振れ材料として「人手不足の深刻化」が39.0%となり、同調査において2年連続でトップの項目となった。こうした実態を裏付けるように、人手不足を原因とした倒産は2024年度に350件発生し、2年連続で過去最多を更新した。
 慢性化する人手不足のなかで、企業はいかに「選ばれる企業」としての魅力を作り、発信できるかが重要となる。転職市場の活発化に加えて、近年は「退職代行サービス」の流行などが重なり、これまで以上に転退職に対する障壁は下がるなか、同業他社や地域の企業などと比較して、給与面だけではない労働者に選ばれる優位性を持てるかが大きなカギとなる。

記事配信・制作協力/外食ドットビズ

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