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外食トピックス

帝国データバンク、食卓への影響度は?8月度カレーライス物価指数調査

帝国データバンクは、食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算・分析し、2025年8月度の指数を発表した。なお、各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)を参照。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした。
 カレーライスを家庭で調理する際に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)を基に算出し、食卓に与える物価高の影響を可視化した「カレーライス物価」。8月は1食あたり436円となった。前年8月(348円)からは88円(25.3%)増と14ヶ月連続で前年同月比2桁を超える大幅な上昇が続いたものの、金額ベースでみると上昇幅は2ヶ月連続で100円を下回るなど、上昇ペースは鈍化傾向が続いた。また、前月(438円)からは▲2円と、2022年8月以来、3年ぶりに3ヶ月連続で前月を下回り、最高値だった今年5月(441円)から5円安の水準となった。銘柄米を中心にコメ価格が安定し始めたことが要因となった。
 カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も高いのが全体の約5割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で213円(前年同月比+4円)だった。前月からは3円上昇と、3ヶ月連続ぶりに値上がりしたほか、前年同月との比較でも2ヶ月ぶりに上昇へ転じた。高温や少雨を背景にタマネギなど野菜類の価格が平年に比べやや高めに推移したことが要因となったものの、急激な上昇ペースは一服した。「ごはん(ライス)」価格は、コメの店頭価格が安定し始めたことを背景に、前年同月(110円)から+82円・7割増の192円と大幅に上昇した一方、前月からは19ヶ月ぶりに低下した。「カレールー」(27円)は、市販ルーや食用油の価格上昇が一服したことを背景に、25ヶ月ぶりに前月から低下した。炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(4円)は変動がなかった。
 カレーライス物価を基に、2020年平均を基準(100)とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、8月の指数は159.2となった。前年同月比では25.4%高く、27ヶ月連続のプラスとなったものの、伸び率は3ヶ月連続で縮小した。カレーライス物価は5年間で6割に迫る値上がりとなったものの、今年5月をピークとして緩やかな低下傾向で推移した。
■9月は1食431円の予想、コメ・野菜価格に不安定要素も、当面は緩やかな低下傾向続く
 全国の物価の先行指標となる東京都区部の物価動向を基に予想した9月のカレーライス物価は、8月比▲5円となる1食431円前後と、カレーライス物価はピークの今年5月から10円の値下がりとなる見込み。主な上昇要因となるコメ価格で、銘柄米でも価格が安定しつつあることを背景に、緩やかな低下傾向が続く見通し。ニンジンやタマネギなどの野菜類では、高温や少雨による生育不良を背景に横ばい~高値での推移が見込まれ、大幅な値下がりは期待できない状況が続く。
 今後のカレーライス物価は、今秋まで430円台前後での推移が予想される。近年例を見ない価格上昇圧力を反映し、例年に比べて記録的な高値圏での推移が続いたものの、急激な値上がり局面はいったんピークを越えたとみられる。ただ、早場米を中心に高値取引が続く2025年産米の動向、高温による各種野菜類の収量低下と出荷量の調整による価格の上昇など不安定要素もあり、再び急激な値上がり局面を迎える可能性がある。
※原材料:ニンジン・ジャガイモ・タマネギ・牛肉(輸入)・コメ(コシヒカリ1食:約1合[炊飯前重量])・カレールー(市販)・食用油
※エネルギー:電気(炊飯器での調理/約7合分の炊飯+6時間の保温を加味)・ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く/食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)
※カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に2020年平均=100とした価格推移

記事配信・制作協力/外食ドットビズ

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