帝国データバンク、「食品主要195社」価格改定動向調査_2025年9月
帝国データバンクは、 2025 年 9 月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析を行った。主要な食品メーカー 195 社における、家庭用を中心とした 9 月の飲食料品値上げは 1,422 品目、値上げ 1 回あたりの平均値上げ率は 14 %となった。
前年 9 月 (1,414 品目 ) から 8 品目 (0.8 % ) 増と 9 ヶ月連続で前年を上回り、連続増加期間としては前月に続き、 2022 年の統計開始以降で最長を更新した。また、単月の値上げ品目数としては 4 ヶ月連続で 1 千品目を超えた。
食品分野別に集計すると、たれ製品やソース、マヨネーズ、ドレッシング類を中心とした「調味料」 (427 品目 ) が最多となった。「加工食品」 (338 品目 ) は、各種冷凍食品や水産練り製品などが多かった。「菓子」 (291 品目 ) ではチョコレートやポテトチップス類のほか、「乳製品」 (138 品目 ) を含め冷菓製品で一斉値上げとなった。また、「原材料」 (205 品目 ) はキャノーラ油製品で一斉値上げとなり、同分野としては 11 ヶ月ぶりに単月で 100 品目を超えた。
2025 年通年の値上げは、 11 月までの公表分で累計 20,034 品目となった。前年の実績 (12,520 品目 ) を 60.0 %上回り、 2023 年 (32,396 品目 ) 以来、 2 年ぶりに 2 万品目を超えた。 1 回当たり値上げ率平均は 15 %と、前年 (17 % ) をやや下回る水準が続いた。食品分野別では「調味料」 (6,148 品目 ) が最も多く、前年 (1,715 品目 ) から 4,433 品目 (258.5 % ) 増と大幅に増加したほか、年間では 2022 年以降で 2 番目に多い水準となった。「酒類・飲料」 (4,801 品目 ) は、清涼飲料水のほか、ビール、清酒、焼酎、ワインといった洋酒など広範囲で値上げとなり、前年比で 8 割を超える大幅増となった。「加工食品」 (4,532 品目 ) は、冷凍食品やパックごはん、海苔などの値上げが目立った。 2025 年における飲食料品値上げの勢いは前年に比べて強い状態が続いている。
値上げ要因では、原材料の価格高騰に加え、光熱費の上昇による生産コスト増、人手不足による労務費の上昇、物流費の上昇などが複合的に重なった。原材料などモノ由来 ( 「原材料高」 ) の値上げが全体の 97.3 %を占めたほか、「エネルギー ( 光熱費 ) 」 (65.5 % ) 、「包装・資材」 (60.0 % ) 、「物流費」 (80.3 % ) 、「人件費」 (54.2 % ) など、主要な値上げ要因ではいずれも半数を超えた。特に「物流費」「人件費」はともに前年から大幅に増加した一方、「円安」を要因とする値上げ (12.0 % ) は前年から大幅に低下しており、飲食料品の値上げは内的要因による物価上昇に起因したものにシフトしている。
足元では、 2025 年度の最低賃金は全国加重平均 ( 目安 ) で 1,118 円 ( 前年度比 6.0 % ) の引き上げとなり、全都道府県で最低賃金が千円台に到達する見通しのほか、物流費でも「 2024 年問題」をはじめドライバー不足を背景に運賃引き上げが続き、賃金上昇→物価上昇の内的要因によるインフレ傾向も出始めている。そのため、これまでの一時的なコストプッシュに対応するための値上げ措置から、恒常的なコスト増を想定した継続的な値上げ戦略へ移行する動きもみられ、飲食料品における値上げは長期かつ恒常化する可能性が高いとみられる。
先行きでは、 10 月の食品値上げ予定品目数が今年 4 月以来となる 3 千品目超えとなる見通し。通年の値上げ品目は、飲食料品の値上げラッシュが本格化した 2022 年 (25,768 品目 ) の水準に並ぶ可能性がある。
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