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外食トピックス

帝国データバンク、2024年度全国「ラーメン店」市場に関する動向調査

帝国データバンクは、全国の「ラーメン店」市場について調査・分析を行った。調査対象は、チェーン店のほか、ご当地ラーメン店など「ラーメン事業」を展開する企業、ラーメンを中心とした中華料理店、ラーメンの他につけ麺等の類似メニューも提供するラーメン店を対象 (FC 店専業が判明した企業は調査対象外 ) とした。

「ラーメン店市場」が活況を呈している。 2024 年度 (24 年 4 月~ 25 年 3 月 ) の「ラーメン店市場」 ( 事業者売上高ベース ) は、 7,900 億円規模に到達する見通しとなった。 10 年前 (2014 年度 ) の 5,066 億円から 56 %増加となり、集計可能な 2010 年度以降で過去最高を更新する見込み。

ラーメン店のうち、売上高上位 50 社の主なチェーン店における店舗数をみると、 2024 年度末は推定 6,200 店舗となった。コロナ禍の 2020 年度に減少したものの、 10 年前 (5,043 店 ) に比べて 2 割超・約 1,200 店増加し、 2010 年度以降で初めて 6,000 店を超えて最多となった。 5 年間で 5 割増となった企業をはじめ、いわゆる「家系ラーメン」のほか、「濃厚豚骨ラーメン」などのチェーン店で積極的な出店が続き、市場規模・店舗数ともに全体を大幅に押し上げた。

2024 年度のラーメン店各社の業績動向をみると、前年度から「増収」となったラーメン店が 44.7 %を占め、コロナ禍からの回復が進んだ 2022 年度以降、 3 年連続で 4 割を超えた。損益面では「増益」となったラーメン店は 55.0 %と半数を超え、割合としては比較可能な 2010 年度以降で最高だった。

ラーメン店では、 2022 年度以降続いている原材料などの仕入価格や人件費、スープの炊き出しにかかる光熱費といった各種コストの負担増が経営面で課題となった。同社が各種統計情報を基に試算した、ラーメンで使用する原材料のトータルコスト推移を示す「ラーメン原価指数 ( 豚骨ベース、東京都区部 ) 」をみると、 2020 年度平均を 100 とした場合、 2024 年度は 129 と 5 年間で約 3 割上昇した。これまで割安だった豚肉や背脂などの具材に加え、麺や海苔、メンマなど、スープづくりから具材に至る幅広い原材料で価格が大幅に上昇したことで、ラーメン原価は高止まりが続いた。

他方で、日本式ラーメンの認知度が国際的に高まったことで、韓国・台湾・香港などアジア圏の観光客を中心とした集客が好調だったほか、大手チェーン店では拡大するラーメン需要の取り込みを目的に新規出店を増やし、コストの上昇分を上回る売上を確保したケースが多くみられた。また、「ラーメン 1 杯=千円の壁」に代表されるように、ラーメン 1 杯あたりの大幅な値上げは引き続き難しい情勢だったものの、千円を超える期間限定ラーメンといった新メニューの開発や、セットメニューの拡充などで客単価を引き上げる取り組みが進んだことも、ラーメン店経営の収益改善を後押しする要因となった。

2024 年度における「ラーメン店」の倒産 ( 負債 1,000 万円以上、法的整理 ) は 62 件となり、過去最多だった前年度 (72 件 ) から 3 年ぶりに減少した。 2025 年度は 5 月までに 12 件発生し、前年同期に比べて増加傾向にあるものの、総じてラーメン店の淘汰は落ち着いた水準での推移が続いている。倒産したラーメン店の多くが中小・個人店で、原材料費や人件費などの上昇に価格転嫁が追い付かず、経営に行き詰まったケースが多くみられた。積極的な店舗網の拡大によるスケールメリットを生かした原価管理と、効率化されたオペレーションによるローコスト運営で安定した利益を確保するチェーン店と中小・個人店の間で、ラーメン 1 杯における収益力の二極化が進行している。

足元では、ラーメン事業以外の外食チェーンが「ラーメン事業」に参入するケースも増えてきた。市場全体に占める、ラーメン店チェーンの上位 3 社における事業者売上高の比率は約 25 % (2023 年度時点 ) と低く、シェア拡大の余地は大きい。既存チェーン店で国内外での出店攻勢を強めるほか、麺業態以外の外食大手の参入による事業拡大を中心に、 2025 年度以降もラーメン店市場は高い成長が見込まれる。

記事配信・制作協力/外食ドットビズ

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