プレミアムビールの先駆者が打ち立てた金字塔

ヱビス プレミアムエール 
〜その開発秘話に迫る〜
サッポロビール株式会社
新価値開発部 第一新価値開発グループ  沖井尊子
まもなく130年を迎えるヱビスビール。ビール市場が縮小する中、プレミアムビールというジャンルの先駆であるヱビスビールは堅調を維持している。だが、もっと多くの人々がワクワクするような新しいプレミアムビールを、と満を持して登場したのが『ヱビス プレミアムエール』だ。ヱビスが自信を持って発売した「もう一つのヱビス」にはどんな思いが込められているのか。開発者に話を聞いた。
サッポロビール株式会社
新価値開発部 第一新価値開発グループ  沖井尊子
CHAPTER 01
なぜ、今、エールなのか
「以前からヱビスでエールを造る、ということは頭の片隅にはありました」と沖井尊子。彼女は新価値開発部でビールテイスト製品の新商品開発を担当する、『ヱビス プレミアムエール』を開発した人物だ。その背景にあるのは、消費者のお酒の飲み方や嗜好の変化だという。共働き世帯が当たり前となっている今、女性のみならず男性も家庭での役割も増えている。そんなライフスタイルの変化と共に、お酒の飲み方も〝リフレッシュ〟から〝リラックス〟へと変化している。そこに着目した結果、リラックスに有効な〝香り〟が特徴となるエールを造る、ということは必然の流れであった。
CHAPTER 02
27回もの試験醸造を経て
出来上がった
2017年にリリースした『ヱビス 華みやび』も同様に、そんな新たな挑戦をヱビスビールのファンは応援してくれて、それに支えられて出来上がったと話す。「でも27回という試験醸造を経て、なんとか理想の味わいに仕上げることができました」。その肝となったのが、カスケードホップだ。このホップはグレープフルーツのような柑橘系の爽やかな香りが特徴として知られているが、これを選んだ大きな理由は、このホップの持つ〝凜とした苦味〟だ。候補にしたホップは他にもあったが、ターゲットである男性が夜遅くに一人でビールを飲むとき、まず、シャープな苦味があってそれを豊かな香りが包み込んでいく味わいのストーリーが、飲む人をリラックスへと導く。それを表現できたのがカスケードホップだった。「完成までに様々な困難がありました。中でも難しかったのは、発酵による香りとホップの香りの組み合わせでした。良い出来に仕上がったと思っても、一部の人には高評価を得て、でもそれはやはりあくまで一部だったり…。こんなに試験醸造を重ねたのはこれまでなかったですね」
CHAPTER 03
エールであってもヱビスらしく
沖井は、2011年入社し、2年間営業職を経験した後、現在の部署に異動した。「大学院まで進み、香りの研究をしていました。でも企画に携わりたいと、この会社の門を叩きました」。現在部署にはメンバーが7名、今や最古参として開発を牽引する。開発した製品は数知れずだが、ヱビスを担当するときは特に気が引き締まるという。お客様がヱビスに期待することは何か、お客様の反応をふまえ議論する中で、本商品でも「コクのあるおいしさ」を担保する必要があると考えた。「この『ヱビス プレミアムエール』も『ヱビスビール』と同様に本場欧州産麦芽を一部使用し、通常の1.5倍(※)の時間をかけてゆっくりと長期熟成させています。それにより丸みのあるふくよかなコクに仕上げました」
  • 当社スタンダードビール比
EPILOGUE
夢をのせ未来へ続くビールに
沖井が入社した頃、ヱビスビールは120周年を迎えていて、すごいことだなと感じていた。そして、それが来年には130周年を迎える。そんな今、ヱビスブランドで開発した「もう一つのヱビス」。入社した時から思い描いていた夢は〝100年続くビール〟。「ぜひ、そうなって欲しいです」
サッポロビール株式会社
新価値開発部 第一新価値開発グループ
沖井尊子

ビールテイスト商品全般の新商品開発に携わる。ビールとは関係ない経験からも開発のヒントを見つけることも多いということで、休日はイベント参加や映画鑑賞などアクティブに過ごしている。家の冷蔵庫の下段の半分は『ヱビス プレミアムエール』をたっぷり冷やして楽しんでいる。

■文:宮原佐研子 写真:相澤利一
■ビール王国22号より転載
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