11月の「トレンド座談会」は平成グルメを振り返るスペシャルレポート
リクルートライフスタイルの外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」は、毎月外食のプロフェッショナルを集め、外食トレンドを発表するための「トレンド座談会」を開催している。 11 月は、いよいよ終わりが見えてきた平成グルメを振り返るスペシャルレポート。
平成は、バブル期の“イタ飯”ブームにはじまり、バブル崩壊期には食べ放題やビストロ形式のレストランが流行し、景気が低迷した 2000 年代にはさらなる食のデフレ化と個性化、そして海外からのグルメが流入してバリエーションが豊富になるなど、飲食シーンにさまざまな変化が起こった時代だった。また、平成初期は雑誌やテレビからの情報がグルメトレンドを生んでいたが、昨今は SNS による波及効果でブームが拡大するなど、広まり方も様変わり。さらには平成という時代を通して、おいしいだけではなく、生産者の顔が見えたり原材料の農法にもこだわったりなど食べる際に「食の背景」がより重視される傾向が強まってきたことも大きな特徴。「ホットペッパーグルメ外食総研」ではそんな平成の 30 年間を、グルメランキング上位 10 までを通して振り返った。
■平成で一番行列経験のあるグルメ「ラーメン」は半数の人が行列経験あり
「平成グルメ=行列」と言っていいほど、さまざまな店舗に行列ができた。そんな中でみんなが一番並んだことがあると答えたのは「ラーメン・つけ麺」 (52.1 % ) 。バブル期は東京の環状 7 号線沿いにラーメン屋が多数出店して激戦区となり、テレビ番組からラーメン評論家なる職業も登場。“国民食”としての地位を確立した。 2 位の「パンケーキ」 (23.9 % ) は海外の人気店が 2008 年に上陸したことがきっかけで急速にブームに。 1 ~ 2 時間並ぶのは当たり前、という現象が起きた。「何分並んだか?」という質問でもパンケーキが最長の平均 37 分となった。
因みに 3 位以下は、「ドーナツ」 (22.7 % ) 、「讃岐うどん」 (20.1 % ) 、「スイーツ食べ放題」 (20.0 % ) 、「かき氷」 (17.5 % ) 、「餃子」 (15.9 % ) 、「ポップコーン」 (14.8 % ) 、「ビヤガーデン」 (13.1 % ) 、「石板アイス」 (8.8 % ) であった。
■食事のダイエットは“我慢するだけ”から健全な身体作りへと移行
1980 年代~ 90 年代初頭のダイエット食は「りんごだけをひたすら食べる」など“我慢系”ダイエットが主流。 2000 年代は食材の成分や栄養分などに注目が集まり、「より身体に良いものを摂取する」という考え方が広まった。 1 位の「食べる順番」 (22.7 % ) も、身体に良い食べ方を意識する人が多かったことの表れと考えられる。当時は、テレビ番組や雑誌などでダイエットに効果があると紹介されると、次の日にはスーパーの棚が空になるなどの現象も起こった。近年は、 4 位に入った「低糖質」 (11.9 % ) ブームに代表されるように、より本質的な健康を目指して健全な身体作りを主眼においたダイエット食が人気であると言える。
その他順位は、 2 位「ヨーグルト」、 3 位「バナナ」、 5 位「納豆」、 6 位「豆腐」、 7 位「お酢」、 8 位「りんご」、 9 位「豆乳」、 10 位「こんにゃく」であった。
■登場したとき衝撃を受けた飲食店はエンターテインメント性の高いお店
ただ食べるだけではなく、エンターテインメント性の高い店づくりが進んだのも平成の特徴。 1950 年代に登場した「回転ずし」 (30.1 % ) も“エンターテインメント型飲食店”の先駆けだが、この業態が定着していったのも平成という時代。 2 位の「立ち食い ( イタリアン、フレンチ、ステーキ店など ) 」 (28.6 % ) も広い世代で得票数を獲得した。そば・うどんといったジャンルに留まっていた「立ち食い」業態に、イタリアン、フレンチ、ステーキ店などが参入し始めたのが 2015 年前後。座って食べるのが当たり前だった食事を立って食べる、という点で衝撃度が高かったと思われる。また、「ロボットレストラン」 (15.8 % ) や「忍者や監獄・絵本などをもとにしたコンセプトレストラン」 (15.2 % ) などエンターテインメントに特化した飲食店も話題となった。また、かつては一人で食べることのなかった鍋や焼肉などを一人で食べる「一人〇〇 ( ラーメン、鍋、焼肉など ) 」 (6 位 /13.1 % ) 、メニュー全てが 190 円などの「均一料理店」 (9 位 /8.7 % ) なども、高い票を獲得した。
その他は、 5 位に「しゃぶしゃぶ食べ放題」、 7 位に「スイーツ食べ放題」、 8 位に「激安牛丼チェーン」、 10 位に「立ち飲み」が入った。
■初デートの日のグルメは「居酒屋」「ファミレス」「イタリアン」が定番
年代によって回答に差の出た質問だった。「居酒屋」「カフェ」「ファミレス」は、気軽に行ける飲食店として、緊張の初デートに利用した人が多いことが分かった。また、バブル期にブームとなり、以降ディナーの定番となった「イタリアン」も上位に。フレンチほど気取らず居酒屋ほどカジュアルではないイタリアンは 20 代から 60 代まで年代問わず人気の初デートスポットとなった。 60 代で 1 位の「純喫茶」は年代が下がるとともにトップ 10 からは外れ、時代を感じさせる結果となった。
■プロポーズの日のグルメはやっぱり「フレンチ」、「居酒屋」も各年代でトップ 10 に
プロポーズという人生のターニングポイントで、ほとんどの年代で 1 位に選ばれたのは「フレンチ」。お店側もハレの日ニーズに慣れているため、サプライズなどの演出に協力的であることも理由かもしれない。 30 代~ 40 代で意外にも上位になったのが「居酒屋」。初デートからプロポーズまで多様なシーンに居酒屋が登場することが分かった。
【アンケート概要】
調査方法:インターネットによる調査
調査時期: 10 月 12 日~ 10 月 14 日
調査対象:全国に住む 20 ~ 69 歳の男女 ( マクロミルの登録モニター )
有効回答数: 1,240 件
記事配信/外食ドットビズ(2018/11/21)
制作協力/外食ドットビズ