日本フランチャイズチェーン協会、22年度フランチャイズチェーン統計調査
日本フランチャイズチェーン協会 (JFA) は、日本国内のフランチャイズビジネスの市場規模を把握することを目的に、年に 1 回実施している「 JFA フランチャイズチェーン統計調査」の 2022 年度版を公表した。外食ドットビズでは、このうち主に外食産業に係るところをお知らせする。
2022 年度の日本経済は、ロシアによるウクライナ侵攻や、円安などの不透明な世界情勢の中、国内では、原材料不足や原油価格の高騰によるコスト増、人材不足、物価上昇による可処分所得の減少など厳しい状況に直面した。その一方、新型コロナウイルス感染症対策であった緊急事態宣言の発出が終了したことで、社会経済活動の正常化が始まり、コロナ禍以前の業績までは回復していないものの、 2021 年度比では、復調の兆しを見せている業界が多くみられた。このような環境下において、フランチャイズ市場は、チェーン数 1,282 チェーン ( 前年比 -0.3 % ) 、店舗数 249,316 店 ( 同 -0.4 % ) 、売上高 26 兆 9880 億円 ( 同 +4.3 % ) となり、チェーン数、店舗数は減少したが、売上は増加した。うち、外食産業は、チェーン数は 2 チェーン減 (-0.4 % ) の 545 チェーン、店舗数は 895 店舗減 (-1.7 % ) の 50,982 店舗、売上高は 2734 億 45 百万円増 ( + 7.4 % ) の 3 兆 9851 億 51 百万円であった。
外食産業は、 2022 年 3 月にまん延防止等重点措置が解除されて以降、業績は回復基調となった。チェーン数△ 0.4 %、店舗数△ 1.7 %となったものの、原材料費の高騰に伴う価格改定の実施や、不採算店舗の整理を進めた結果、売上高+ 7.4 %となった。
「ハンバーガー」は、昨年からの高いテイクアウト需要とデリバリー事業の好調に加え、モバイルオーダーシステム導入等により、顧客の利便性が向上し、店舗数+ 0.8 %、売上高 +9.1 %となった。
「居酒屋・パブ」は、まん延防止等重点措置が解除されたことで店内飲食の機会が増加し、店舗数は△ 3.8 %となったものの、売上高は+ 20.2 %と大幅に伸長した。しかし、コロナ禍前の 2019 年度と比較すると、売上高は約 5 割程度にとどまっている。
「コーヒーショップ」は、ビジネスシーンでの利用機会の増加、積極的な季節メニュー展開の好調により、店舗数+ 1.8 %、売上高+ 11.8 %となった。ただし、「居酒屋・パブ」と同様、 2019 年度との比較では、売上高は約 8 割程度となった。
外食業全体では、店舗利用機会の増加、インバウンド需要の復活など、社会経済活動の正常化に伴う業績回復の兆しが見られた。ただし、原材料費・エネルギーコストの高騰、人手不足は引き続き課題として挙げられる。今後は、その店舗ならではの特徴的なメニューやサービスを提供し、改めて店内で飲食することの満足感や楽しさを感じてもらい、顧客の囲い込みを行うことが重要だと考えられる。
※店舗数は各チェーンの加盟店・直営店数の合計、売上高は加盟店・直営店の店舗末端売上高
記事配信・制作協力/外食ドットビズ
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