meets TAITTINGER

Tokyo Kaikan × Eriko Horiki

堀木 エリ子が体験する「食べるシャンパン。」
料理とのマリアージュで確信した「居心地のよいシャンパーニュ」。

[NEW PAIRING OF CHAMPAGNE・東京會舘/東京都千代田区]

「食べるシャンパン。」時代を超えて受け継がれるガストロノミーへの敬意。

1932年の創業以来、ワインとガストロノミーに力を注いできたシャンパーニュメゾン、テタンジェ。1967年には2代目クロード・テタンジェが「ル・テタンジェ国際料理コンクール」を創設。フランス料理の高い技術が求められるコンクールは、ジョエル・ロブションをはじめ数々の名シェフが優勝を手にしてきました。高品質な料理に対する深い理解と情熱をもとに確立されたスタイルは、今日に至るまで継承され続けています。偉大なガストロノミーと歩みを共にするあり方は、料理とともに味わうことで、おいしさが膨らむ「食べるシャンパン。」という考えにも表れています。

  • 一流シェフが参加した2019年度の「ル・テタンジェ賞 国際シグネチャーキュイジーヌコンクール」日本大会。

2019年、半世紀以上の歴史を持つ同コンクールが「ル・テタンジェ賞 国際シグネチャーキュイジーヌコンクール」と名称を変え、審査方法も一新。名前や肩書などをあえて伏せ、レシピ等の書類で厳選なる審査が行われることに。9月に開催された日本大会では、『東京會舘』の市川 隆太シェフがみごと優勝を手にしました。
市川シェフがテーマ食材であるホタテを使って作った一皿は、伝統料理のアンクルート。今回、この一皿と「コント・ド・シャンパーニュ」とのマリアージュを和紙作家の堀木 エリ子さんに体験してもらいました。堀木さんは、和紙という伝統素材を通じ、これまでにない新しい空間を創り出す作家として国内外で注目を集めています。ものづくりにおける伝統と革新とは、挑戦を続ける意味とは。プロフェッショナル同士の話に華が咲きます。

  • 映えある優勝に輝いた市川シェフが手にした賞状。「まさか自分が優勝するとは思っていませんでした」と話す。
  • 2018年度の優勝者、『ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション』の関谷 健一朗シェフも市川シェフを讃える。
  • 「常に挑戦する気持ちを大事にしています。今回の受賞に満足せず、また新たな挑戦をしたいと思います」と、市川シェフ。
  • 歴代の世界大会優勝者の名が刻まれるトロフィー。名だたる料理人たちがその歴史を飾っている。

「故きをたずね、新しきを知る」、伝統的な技術と地域性を表現したひと皿。

市川シェフがコンクールに出品した料理は「ホタテのアンクルート」。ホタテをモンサンミッシェルのムール貝と生ハムとともにパイ包み焼きにし、フランス北部ノルマンディー地方の郷土料理「アンディーブのグラタン」と合わせた一皿です。
「フランスには地方ごとの豊かな食材があり、その食材をもとに土地の食文化が育まれている。ホタテの産地でもある北部の郷土料理を合わせることで、ホタテの味わいを深める一皿ができたらと考えました」。

ノルマンディーは、市川シェフのフランスでの研修先でも。当初は時代を意識した「よりモダンな表現」を考えていたとのことですが、フランスで師事したシェフの教えを思い、このクラシックな一皿を完成させたといいます。
「当時、シェフが繰り返し言われた言葉に“故きをたずね、新しきを知る”というものがあります。料理人としてキャリアを重ねるほど、重みを噛みしめる言葉。フランス料理の技術が詰まったアンクルートという伝統料理を、今の時代に合う繊細な仕立てで仕上げました。自分のベストは尽くしましたが、想像もしなかった評価を頂き、身が引き締まる思いです」。

『東京會舘』の調理・製菓部のチーフアシスタントとして、後進の指導にも力を入れる市川シェフ。月に一度は後輩たちと一緒にレストランに出掛け、シャンパーニュから始まる食事を楽しむといいます。
「テタンジェのシャンパーニュの魅力は、バランスの良さ。コント・ド・シャンパーニュのようなトップキュヴェでも、凝縮感だけでなく、フレッシュなフルーティさを併せ持っていると感じます。今回の料理には、シャンパーニュのソースを添えました。クラシックなソースですが、煮詰める加減で味わいが変わる。濃厚ながらキレのあるソースが、シャンパーニュと料理との相性を高める橋渡し役になればと思います」。

衒いのない皿が叶えた文字通りの「幸福」なマリアージュ。

シャンパーニュは、自分にとって「くつろぎの合図」だと話す堀木さん。
「京都の宮津湾にセカンドハウスがあるのですが、そこで過ごす時間は必ずシャンパーニュとともにあります。太陽が輝く朝は、シャンパーニュから。海が見えるテーブルでシャンパーニュと味わう朝食は、小さなご褒美。時間に追われる日常を過ごす中で、心をリセットするひとときです」。
もちろん、ハレのシーンでもシャンパーニュだと話します。
「友人たちと食事に出掛けると、乾杯からデセールまでをシャンパーニュで通すことも。特別な日にもやっぱりなくてはならないもの。お祝いなどのときはやはり、コント・ド・シャンパーニュのような特別な一本を開けます」。
「コント・ド・シャンパーニュ」は、テタンジェのトップキュヴェ。フレッシュで洗練された果実味、熟した果実の香り。滑らかで、生き生きとした躍動感があり、グレープフルーツとスパイスのニュアンスを感じる洗練された味わいです。

グラスに「コント・ド・シャンパーニュ」が注がれ、市川シェフの料理が供されると「何とかわいらしいひと皿!」と、感嘆の声を上げる堀木さん。
「気取りや衒いがなくて、遊び心が感じられ、食べる前から楽しい気持ちになります」と、目を輝かせます。賛辞に恐縮する市川シェフを前に、まずはアンクルートから、次にアンディーブのグラタンと、一口ずつ、じっくりと味わいます。
「パイ生地にナイフを入れた瞬間、ホタテの香りがふわっと広がる。パイの香ばしさによって、ホタテの甘みがさらに引き立てられています。コクがあって、ほのかな酸味があるソースもとってもおいしい。“コント・ド・シャンパーニュ”とは、文字通りの“幸福”なマリアージュです」

“うつろうもの”に寄り添う心地よさと、伝統と革新と。

今回、市川シェフの料理と「コント・ド・シャンパーニュ」を味わって、堀木さんは、ふと自身の仕事に想いを馳せる瞬間があったと話します。
「私が手掛ける和紙は、建築という空間の中にあります。空間における“快適さ”というのは、100人の人がいたら同じように感じるもの。例えば空調による室温管理や給湯の利便性、セキュリティの機能など。ところが“居心地の良さ”というのは、“快適さ”とは違い、100人100通りの感じ方がある。例えば光が生む陰影。こういうものは、1人の人でも年齢や経験、その日の気分によって受け取り方が変わる。変わる、移ろうものにきちんと寄り添う懐の深さを“居心地の良さ”だとするならば、“コント・ド・シャンパーニュ”はまさに“居心地のよい”シャンパーニュだな、と」。

堀木さんの言葉を聞いた市川シェフ、「自分の料理もそうありたい」と続けます。
「ホタテという食材ひとつを取っても、季節のうつろいの中で、その日の海の状況で、味が変わります。その味を最大限に活かすためには、食材への理解に加え、生産者や厨房まで届けて下さる業者の方々や、同じ方向を見て仕事をしてくれるスタッフへの敬意がなくてはと常々考えています」。

「そう考えると私たちの仕事は、シャンパーニュづくりとも、多くの共通点がありそうですね。自然を含め、うつろうものにどう寄り添うか。言い換えれば、自然と対面して、人ができることは何か。そこを突き詰めるところに、人間の英知があると考えます」と、堀木さん。
「加えて、“伝統を継承する”仕事でなくてはならないというところも、共通していると思います。伝統という財産を変わりゆくこれからの時代につなぐために、革新という挑戦は不可欠。市川シェフが大切にされている“故きをたずね、新しきを知る”という言葉の通り。伝統の上に立った革新こそが、未来の伝統をつくっていく。料理もシャンパーニュも、そして和紙のような伝統素材も」。

  • 空間デザインにおける「居心地の良さ」と、料理とシャンパーニュの間にある共通点について話す。
  • 2011年に渡仏。『レストラン ジル』等の星付きレストランで本場の味を学び、現在は東京會舘 本舘にて宴会調理を担当。