meets TAITTINGER

FARO × Akira Sorimachi

ソリマチ アキラが体験する「食べるシャンパン。」
マリアージュを通じて感じとる「継承」の役割。

[NEW PAIRING OF CHAMPAGNE・FARO/東京都中央区]

デザートで「食べるシャンパン。」味わいの可能性を確かめる試み。

1734年の創業以来、フランス国内はもとより、世界中で愛され続けているシャンパーニュ・テタンジェ。経営するファミリーの名を社名にかかげる、大手では希少な家族経営のシャンパーニュメゾン。約288haの畑を所有し、自社で栽培を手がけているのも大きな特徴です。

  • 「山に降る幸せのミルク」。牛乳の風味が生きた軽いスポンジ、ホイップバターを使った牛乳のアイスクリームに、葛粉で作る牛乳チップス、カプチーノの泡をドライにしたメレンゲを添えて。艶やかな黒のプレートに白一色の世界が鮮烈に浮かび上がる。

「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」は、テタンジェ社の至宝ともいえるトップキュヴェ。使用するぶどうは、厳選した区画で栽培されるシャルドネ種100%。フレッシュで洗練された果実味、熟した果実の香り。口当たりは滑らかで、生き生きとした躍動感があり、グレープフルーツとスパイスのニュアンスを感じる洗練された味わいです。

世界中のレストランで広く親しまれていることが示すように、料理と合わせると更に味わいが広がります。言わば「食べるシャンパン。」重層的な味わい、厚みを持ち、幅広い料理に寄り沿う「コント・ド・シャンパーニュ」ですが、デザートとのペアリングは成立するのでしょうか。銀座『FARO』のシェフパティシエ・加藤 峰子さんに、このシャンパーニュとともに楽しみたいひと皿を提案してもらいました。2018年10月、イノベーティブイタリアンとして生まれ変わった『FARO』は、毎日、日本各地から取り寄せる約150種の食材を駆使し、オリジナリティあふれる食体験を発信。イタリア在住歴が長く、元編集者という異色のキャリアを持つ加藤さんのクリエイティビティ溢れるデザートも話題を呼んでいます。

テイスターとしてご登場頂くのは、イラストレーターのソリマチ アキラ氏。日常的に飲むワインは、白ワインかシャンパーニュ。中でもブラン・ド・ブランが好きと、ワインとの付き合い方にも独自のスタイルをお持ちです。
原料から製法、味わいまで洗練された上質なシャンパーニュだからこそ完成するマリアージュ。「美味しい」を超えた表現の可能性についておふたりに話をうかがいました。

最上区画のブドウ由来の自然な「甘み」の豊かさを、味づくりの鍵に。

学生時代からをイタリアで過ごし、卒業後は現地のファッション誌のエディターに。デザインやアート、ものづくりへの関心をより深めるため食の道を選んだという加藤さん。クリエイティビティ、メッセージ性を多分に盛り込んだデザートは、「ひと皿のアート」といった趣で、ガストロノミー界でも注目を集めています。「ヨーロッパで育ったのに、ワインに疎くて」と話す加藤さんですが、大学時代は仲間が集まればシャンパーニュで、今もレストランで食事をする際のワインはほぼシャンパーニュ一択とのこと。
「シャルドネ100%のプレステージ・シャンパーニュと聞いて、最初にイメージしたのは日本ミツバチの蜂蜜やレモンの花、ブリオッシュなどでした。それらで構成すれば、蜜っぽい甘さや爽やかな香り、トースト香などがマリアージュするはず、と思ったのです」と加藤さんは話します。

ところが実際に「コント・ド・シャンパーニュ」をテイスティングして、考えが180度変わったといいます。白一色で構成された「山に降る幸せのミルク」は、「皿の上の絵画」といった印象。
「躍動感溢れる酸味、乳酸発酵に由来する味の複雑さ。“生きたワイン”というワードが頭に浮かびました。ただ繊細に作ったデザートでは、この力強さ、生命力に負けてしまう。あらゆる素材を吟味してたどりついたのが牛乳でした」と加藤さん。

使用したのは岩手県岩泉町で放牧飼育を基本とした「山地酪農」を実践する『なかほら牧場』の牛乳。

「自然交配、自然分娩、母乳哺育。牛が食べるのは草のみ、しかも飼料として栽培した牧草ではなく、野シバや木の葉で育ちます。志高き生産者が見据えているのは、100年、いやもっと先の世代の酪農。牛乳は、雑味なく味わいです」と加藤さんは話します。

カプチーノの泡をドライにしたメレンゲ、牛乳でつくったチップス、アイスクリーム、スポンジ。様々なテクスチャー、温度、甘み、香りの余韻の中から、牛乳という食材に宿る「命」が浮かび上がるようです。

生命力のある味わいに潜む「優しさ」が相乗効果を生み出す。

格式高いレストランで味わうシャンパーニュもいいけれど、自宅で蒸し暑い日などにラフに楽しむことが多いというソリマチ氏。とりわけ、すっきりした中に華やかさのあるブラン・ド・ブランが大好きだといいます。が、「コント・ド・シャンパーニュ」を飲んだ時にまず感じたのは「優しさ」とのこと。
「上品で、複雑でありながら何ものも突出しない“円”のような味わい。口当たり、喉越し、全てが穏やかで、上質なシルクのような印象を受けました」とソリマチ氏は語ります。

紳士的でダンディなソリマチ氏らしさがにじむコメントです。
加藤さんによる「山に降る幸せのミルク」がテーブルへ運ばれて来ると、一瞬ハッと息を呑んだ表情を見せたソリマチ氏。しばしその盛りつけの美しさに見入り、ひと口、ふた口と静かに味わいます。

「非常に優しい味です。牛乳の甘みがピュアに感じられ、それがシャンパーニュとぴったり。事前に単体で飲んだ時は“穏やかさ”が印象に残りましたが、このデザートと合わせると、優しさの中から生き生きとした果実の生命力が姿を現したように感じます。まさに“引き立て合う”という表現がぴったり。力強いミントのソースは、牧草のイメージそのものですね」とソリマチ氏はコメントします。

  • ソリマチ氏のコメントに、嬉しそうな表情を見せる加藤さん。
  • 「単なる“美味しい”を超えた感動を味わった」と、満足気なソリマチ氏。
  • 「食べるシャンパン。」を通じ、大切なものを共有したふたり。ジャンルを超え、創作に込める想いを語り合う。

遥かな時を想う仕事で大切な何かを「継承」する。

「食べ終えて頭に浮かんだのは、生まれたての、裸のままの赤ん坊のイメージです。真っ新で、柔らかく、優しく、尊い。そこにミントが加わることで、自然と命を感じる一皿に。草原に誕生した新しい命のイメージです」とソリマチ氏。

ソリマチ氏の感想を聞いて「私が一番感じて頂きたいと思っていたこと。そのまま言葉にして頂けてとても嬉しいです。作り手にとって、最高のコメントです」と、加藤さんは話します。

「『なかほら牧場』は通年昼夜完全放牧で、栽培した牧草さえ使用せず、太陽と雨、土の中の微生物が育てる野シバで牛を育てていらっしゃる。牛の命の根源を大地と捉えていらっしゃるんですよね。そうすることで、100年先を見据えたサステイナブルな食と社会のあり方を考えておられる。健やかな大地は時代を超えて継承されるべきもの。土を想うことは、未来を想うことなんですよね」と加藤さん。

静かに頷きながら、加藤さんの話に聞き入っていたソリマチ氏も「シャンパーニュを造るブドウも、何万年と堆積された土壌が育む。共通するところがありますね」と、話します。自分が受けた感動を、自分の仕事、表現を通じて、多くの人と分かち合う。加藤さんの職人としての姿勢にも心を打たれたようです。

「私も約30年、職業として様々な絵を描いていますが、やはり自分自身が美しいもの、格好良いと憧れるものを見た時の感動、心の躍動を、自分の絵を通じて伝えたいなと考えます。感動を受けるものは、その時々において様々。若い頃は1950年代の欧米の雑誌に掲載される1コマ漫画に憧れましたし、浮世絵にハマった時期もある。そうした感動の末に生まれる私の作品もまた、その時代のエッセンスを、文化を、何らかの形でこれからの人に伝えていくきっかけになるものであってほしいと。コント・ド・シャンパーニュと加藤さんのデザートのマリアージュを体験して、その想いを新たにしました」とソリマチ氏はコメントしてくれました。