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注目トレンド更新日:2019年2月20日

立ち飲みはメニューコンセプトが鍵

いまや居酒屋の定番スタイルとなった立ち飲み。メニュージャンルや店のスタイルも多様化の一途で、かつての「ガード下の一杯飲み屋」のイメージは完全に払拭されたといえるだろう。その結果、立ち飲みマーケットはさまざまな店が群雄割拠する競争市場になった。そこから一歩抜け出すには、その店ならではの個性、言い換えれば明確なコンセプトが必要だ。とりわけメニューにおいて同業他店と差別化できる要素を持つことは絶対条件といえる。今回はそうした観点から見た、立ち飲みの注目店を紹介しよう。

お客を強力に惹きつける商品の数々

立ちっぱ酒 せいすスタンド

 北海道・すすきのの大繁盛居酒屋「鮭と銀シャリ せいす」のスピンオフ業態として2018年8月にオープンした「立ちっぱ酒 せいすスタンド」。10坪30人収容の規模で月商580万円を売り上げる大繁盛店だ。人気の理由は、客単価4000円のせいすのメニューを客単価2000円で提供するという明確なテーマを掲げたこと。計83品のフードメニューは6割をせいすから流用しつつ、価格を200~300円安く設定しお値打ちを追求した。一方で、高粗利商品であるおでんを差別化商品として導入。昆布、アゴ、サバ節、煮干しでだしをとってクオリティを追求しているが、これが原価コントロールの役割も果たしトータルの原価率を36%に抑えている。アルコールの売れ筋は日本酒61種で、中でもカテゴリー原価率50%を投じた6つの酒蔵シリーズ38種は「新政No.6X」や「醸し人九平次 純米大吟醸山田錦」といった高原価の銘柄をグラス500円というお値打ち価格で提供。こうした商品戦略が奏功し、1人客や20代カップルなどせいすが取りこぼしている客層の吸収に成功した。

北海道札幌市中央区南3条西1-2-1 チトセビル1F  ℡011-206-8885
営業時間/15時~翌1時(L.O.翌0時30分、日・祝日~23時) 木曜定休
店舗規模/10坪30人収容

来店客の平均組客数は1.8人。グループ利用が中心の「酒と銀シャリ せいす」とは異なる客層を掘り起こしている。フードメニューのプライスポイントは450円と600円に設定。立ち飲み業態としては高いが、看板のおでんを100~350円の価格レンジで提供することで値頃感を打ち出した。

立喰酒場 金獅子 西中島南方店

 牛リブロース肉170gを使った「大満足のビフテキ」390円の単品原価率は84.1%。切り身80gを盛った「炙りしめサバ」120円は同83.3%。この2品に象徴されるお値打ち度の高さを売りに大ヒットを飛ばすのが大阪・西中島南方の「立喰酒場 金獅子」である。定番メニューはこの2品以外は「鶏スープ」のみで、しかも鶏スープの価格はたったの5円。定番3品以外は毎日1~3品ペースで商品を入れ替え、メニューの“鮮度”を徹底追求している。居酒屋の定番を中心にしつつ、和洋中なんでもありのバラエティ豊かな品揃え。単品価格の上限は390円で、フードのトータル原価率は57%にのぼる。安くても決してチープ感がないのもポイントで、たとえば食事メニューの「天津飯」350円のご飯は1合を使用、「冷やしトマト」350円は薄切りとくし形切りの2種類を盛りつけ、前者はハーブソルト、後者はマヨネーズを添えるなど一手間をかける。客単価は2000円でアルコールの売上げ比率は65%を確保。10.5坪35人収容の規模で月商550万円を売り上げている。

大阪府大阪市淀川区西中島4-2-8 Y.S新大阪ビル中2F ℡06-6309-8980
営業時間/16時~翌0時(L.O.23時30分、土曜・祝日15時~) 日曜定休
店舗規模/10.5坪35人収容

大阪・西中島南方のオフィス街に立地。平日の主客層は40~50代のビジネスパーソンだが、週末は20~40代の女性グループやカップルがメインとなる。お客の男女比率は6対4。アルコールはグラス300~550円の焼酎32種、同390~750円の日本酒21種などで、アルコールの売上げ比率は65%。

しゃけスタンド

 北海道・釧路から空輸するブランド鮭「トキシラズ」を使った料理を看板にしたユニークな立ち飲み酒場が「しゃけスタンド」。東京・代田橋の住宅地で人気を集める鮭料理専門店「しゃけ小島」の系列店として、しゃけ小島の2軒隣りに2016年11月にオープンした。6坪、最大20人収容の小規模店ながら月商230万円を売り上げている。その業態づくりの見どころは、鮭の魅力を徹底追求した商品構成だ。一品料理20品はいずれも鮭とイクラを使用するが、鶏肉の代わりに鮭を使って焼とりのネギマに見立てた「ねぎしゃ串焼き」290円など、独自のアレンジを加えたメニューが並ぶ。それら一品料理の脇を固めるおでんと食事メニューについても、たとえば「カレー〆サイズ」600円はメインの具に厚切りの鮭を使用。このカレーを目当てに来店するお客も多く、1日20食を売る人気メニューとなっている。アルコールはグラス1杯280円から提供する日本酒がメインで、アルコール売上げ比率は38%、客単価は2200円で推移している。

東京都杉並区和泉1-3-15 めんそーれ大都市場内 ℡なし
営業時間/16時30分~23時(L.O.)、日曜15時~22時(L.O.) 月曜定休
店舗規模/6坪20人収容

住宅街の一画にある寂れた集合施設内の物件に入居。同じ施設内の2軒隣りの物件に本店である「しゃけ小島」が入居している。しゃけスタンドの原価率は38%、人件費率は29%だが、住宅内立地のため家賃が安く家賃比率はわずか3.6%。営業利益率15.1%という高収益体質を実現している。

「看板商品こそ競争力の源泉」を体現する

 かつての立ち飲みは「安い、早い」を売りにした、いわばコンビニエンス性に特化した業態だったが、いまはいかに「目的性」を備えるかがポイントになっている。「わざわざ感」と言い換えてもいいが、お客を強力に惹きつける要素を備えていることが、競争を勝ち抜くうえでの絶対条件だ。それはつまり、看板となる商品を持つこと。今回紹介した事例は「看板商品」こそ競争力の源泉であるという、飲食店経営の黄金律を体現しているのだ。

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