繁盛店の扉 サッポロビール 飲食店サポートサイト

  • 業界情報業界情報
  • rise webrise web
  • ドリンクピックアップドリンクピックアップ
  • ビヤアカデミービヤアカデミー
  • お問合せお問合せ

注目トレンド更新日:2018年12月19日

居酒屋も「専門性」が鍵の時代へ

「専門性」は今も昔も外食ビジネスにとって重要なキーワードだ。他では得られない商品の価値があること、とりわけ家庭内の食事と差別化できる要素が備わっていることが、外食を外食たらしめている条件である。市場の成熟と消費者ニーズの高度化にともなって、それはますますシビアに問われるようになってきた。居酒屋業界も例外ではない。むしろ、他に例を見ないレッドオーシャン(競争が苛酷なマーケット)だからこそ、専門性はこれから居酒屋にとって生き残りの鍵になってくる。そうした差別化策の最前線を追ってみよう。

さまざまな切り口で専門性をアピール

いかのでん

 2017年12月に東京・水道橋にオープンした「いかのでん」は、その名が示す通りイカ料理に特化した大衆酒場。客単価2200円で、9.5坪20席で月商300万円を売り上げている。経営母体の㈱田は都内で焼とん店「もつ焼きでん」を4店展開。同社の内田克彦社長は「息の長い業態という点では、普段使いのニーズを吸収できる専門店は強い。もつ焼きもイカ料理も着眼点は同じ。世界的に見ても日本人のイカ消費量はズバ抜けており、その潜在ニーズに着目した」と業態開発の経緯を語る。フードはグランド37品、日替り8品で、そのうち30品をイカ料理が占める。大鍋で煮込む「いか団子汁」380円、イカのすり身70gを使った「いかメンチ」380円、部位別に4品を揃える刺身250円~などが看板商品。内田社長はイカ釣り漁業が盛んな新潟・佐渡の出身で、その伝手を生かして現地で水揚げされたばかりのスルメイカ、マイカを1日おきに直送で仕入れる。骨と嘴以外はすべて利用し、「いかの皮ポン酢」「いかの眼ポン酢」各50円などとして提供。アルコールは1合480円の一律価格で提供する佐渡の日本酒が売れ筋だ。

東京都千代田区三崎町2-13-6 ℡03-6261-2888
営業時間/16時~23時(L.O.22時30分、土・日曜13時30分~) 無休
店舗規模/9.5坪20席

主客層は30~40代のオフィスワーカーで、男女比率は5対5。女性客の利用が多いのは想定外だったという。大衆酒場は浮気をしない中年男性の常連客を増やすことが売上げ増の鍵を握るため、今後は業態の磨き上げに注力。当面の目標を月商500万円突破に置く。

酒場 ななめ

 直径48㎝の蒸籠を使って調理する蒸し料理を柱に据えた大衆酒場が東京・荻窪の「酒場 ななめ」だ。フードのグランドメニューは6カテゴリー22品(100~680円)で、その他に一律450円のおばんざい4品や刺身をはじめとする日替りメニューを提供。蒸し料理は10品と品数は多くないが、入店するとすぐ目に入る位置に大型の蒸籠を設置したり、お客におしぼりを手渡す際はスタッフが「蒸籠で蒸した日本一熱いおしぼりです!」と声がけするなど、蒸し料理が看板であることをアピールする。売れ筋は10種類の野菜を盛り込んだ「蒸したて温野菜」680円、骨付きの鶏肉を2時間蒸しあげた「骨付鳥」1本550円。〆やデザートカテゴリーにも「中華ちまき」1個450円や「蒸しバナナ」400円といった蒸し料理を揃えることで専門性を打ち出している。仕込んだ食材を蒸すだけと調理オペレーションが軽いことも蒸し料理に注目した理由で、そのぶん接客サービスに傾注しつつ効率よく料理を提供。9.6坪22席をホールとキッチン合わせて3人で運営し、FLコストを55%に抑えている。客単価3500円で月商は300万円という実績だ。

東京都杉並区荻窪4-25-10 ℡03-6915-1719
営業時間/17 時30 分~翌0時 火曜定休
店舗規模/9.6坪22席

アルコールの売れ筋はレモンサワーと日本酒で、この2カテゴリーでアルコール売上げの5割を占める。前者は「いつものレモンサワー」450円や「シャーベットレモンサワー」480円など5種。日本酒は6銘柄を揃え、グラス120ml490円の均一価格で提供している。

酒麹 びしを

 ヘルシーの新しい切り口として“発酵”をテーマにした食品が話題になるなか、それを全面に打ち出した商品構成で人気なのが大阪・北新地の「酒麹 びしを」である。麹や醤といった伝統調味料を使用した料理と、発酵食品のひとつである日本酒とのマッチングをコンセプトとする居酒屋だ。フードメニューは月替りで35品前後。500円の付出しは「自家製生海苔入り豆腐のわさび醤のせ」や「いぶりがっこの酒粕クリームチーズのせ」など趣向を凝らした5品を盛り合わせる。自家製乾燥塩麹に漬けて炭火で焼く肉、米麹と岩塩やマグロの魚醤を添える刺身など、ほぼすべてのメニューになんらかの形で発酵食品を使用。自家製の豆醤、米醤、麦醤は小さな容器に入れて卓上に常備しており、好みで料理に添えてもらう。もうひとつのメニューの柱である日本酒は、蔵元まで足を運んで選んだ銘柄が常時20以上揃う。品書きに記載していない銘柄もあるため、スタッフに相談して選ぶお客も多い。価格は1合900円~だが、半量でのオーダーにも対応している。アルコールの売上げ比率は35%、客単価は5500円を確保している。

大阪府大阪市北区曽根崎新地1-5-14 みもざ館1F ℡06-6343-3222
営業時間/18時~翌2時(土・日曜16時~23時) 月4回不定休
店舗規模/13坪16席

オープンは2016年4月。大阪きっての繁華街に立地しており、客層は周辺オフィスに勤めるビジネスマンからシニア層まで幅広い。平日は2軒め使い、16時から営業する週末は昼飲み需要も増えている。一品料理の他に発酵食品を組み込んだ4000円のコースも提供。

コンセプトの練り込みがシビアに問われる

 専門性というと、価格が高かったり客層が限定される店をイメージしがちだが、今回紹介した事例はまったく異なる。「いかのでん」や「酒場 ななめ」は大衆的な業態であるし、「酒麹 びしを」も日本酒を半合で提供するなどカジュアルな動機に対応した点がヒットの要因だ。つまり、幅広い層のお客がこうした店の価値を認めているのであり、この点からも専門性が時代の大きなニーズであることがわかる。重要なことは、どのような“切り口”で専門性をアピールするか。そのコンセプトの練り込みが問われるようになってきた。

過去の記事はこちら