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注目トレンド更新日:2018年10月24日

客単価3000円超の新しい満足度

競争が厳しさを増す居酒屋業界の中でも、いま存在意義が問われているのが客単価3000~4000円の業態だ。市場のボリュームゾーンを狙うチェーン勢力に加えて、「センベロ」に象徴される低価格業態の新顔も台頭。一方で日本料理店をカジュアルダウンした新しいタイプの割烹や、バルのスタイルで本格的な料理を提供するフレンチやイタリアンも登場してきた。新しい勢力に上下の価格帯から挟み撃ちされるなか、客単価3000円台の居酒屋はどう生き残りを図るべきか。今回紹介するのは、そこに明確な解答を出した成功事例である。

支払額を納得させる満足度の高さ

すっぴん 西荻窪

 2016年11月に東京・西荻窪にオープンした「すっぴん 西荻窪」は、鮮魚の炭火焼きを看板商品に据えて30代以上の地元住民を集客。客単価3750円を確保し、14坪34席で月商800万円を売り上げている。使用する魚介は北海道・函館から直送。現地の仲卸業者が競り落とした魚介を競りの直後に空輸便に乗せることで、その日の夕方には店に届くルートを確保している。魚種は指定せず7種類以上の魚介を日替りで揃える他、築地市場からも魚種を指定して仕入れることで幅広い品揃えを実現した。これらの魚介は炭火焼きと刺盛りで提供。炭火焼きは火鉢に炭を立て、そこで串刺しにした魚を丸ごと焼きあげるスタイルをとっており、お客からの注目度も高い同店の名物料理だ。刺盛りでは、その日に入った魚介7種を盛る「刺盛」(2人前1280円)が売れ筋で、テーブルオーダー率は80%にのぼる。刺身のツマに酒のアテになる野菜のニンニク漬けを盛るなど、細かな部分で満足度を高めている点も見逃せない。満席で入店を断ることも多いが、入れなかったお客には135mlの缶ビールを渡して再来店を促す。こうした取り組みによって着実にファンを掴んでいる。

東京都杉並区西荻南3-11-11 ℡03-5941-6279
営業時間/17時~翌1時(金・土曜~翌3時) 不定休
店舗規模/14坪34席

経営母体の㈱バカワライは2012年に東京・吉祥寺に鉄板焼き酒場「BAKAWARAI じゅん粋」をオープンしており、すっぴんは2号店となる。主客層は30代の地元住民で男女比率は4対6。「縁日」をテーマに、カウンター前には氷づけにした魚介、厨房には盛り置きした料理などを並べて賑やかさを演出する。

大衆酒場 酒呑気まるこ

 13坪のスペースに37席と5人収容の立ち飲み席を詰め込み、カウンター内にはドリンクの小瓶を氷水につけた「どぶ漬け」を設える。2015年8月に東京・渋谷にオープンした「大衆酒場 酒呑気まるこ」は典型的な大衆酒場の雰囲気ながら、「しっかり食べて飲む」というニーズを吸収して客単価3000円を確保する注目の居酒屋だ。フードメニューは400円台を中心に62品で構成するが、商品の8割を占める魚介料理は素材を高知・宿毛の漁港から直送。看板商品は藁焼きで提供する「カツオ塩タタキ」650円で、藁から豪快に上がる炎でお客の注目を集める。食事ものにも手抜きはなく、「おいしい白米」1合400円や「鯛めし 2合(味噌汁付き)」1600円は生米から炊きあげて提供。熱伝導率が高く10分で炊きあがる萬古焼きの釜を使用することで、ツーオーダー調理ならではの高いクオリティを実現した。一方、ドリンクは日本酒27銘柄を120ml450円の均一価格で揃えたり、お客がどぶ漬けから好みの割材を取って酎ハイやサワーをつくるセルフスタイルを打ち出すなど気軽さを追求。これがドリンクの出数を高め、アルコールの売上げ比率は45%を確保する。

東京都渋谷区道玄坂1-18-4 和田ビル102 ℡03-5784-1626
営業時間/16時~23時30分 無休
店舗規模/13坪37席+立ち飲み5人収容

気軽な雰囲気とリーズナブルな価格設定で20代後半~30代のお客を取り込む一方、週末の早い時間帯は年配客も吸収。お客の男女比率は5対5で、1日平均30組を集客する。経営母体は東京・吉祥寺で「呑・喰・燃 じぃま」、高円寺で「CRAZY×COENZY まんまじぃま」を展開する㈱コジマ笑店。

大衆酒場 スシスミビ

すしと焼とりは、老若男女問わず好まれる外食の王道というべきジャンルだ。この2つをフードメニューの柱に据えて抜群の集客力を発揮しているのが、東京・三軒茶屋の「大衆酒場 スシスミビ」である。2017年11月にオープン以来、40坪100席でいきなり月商1200万円を売り上げ、居酒屋激戦地で繁盛店の仲間入りをした。グランドメニューはすし30品、焼とり8品を主力とする焼き物17品の他に、一品料理15品、揚げ物9品などを揃える。すしはカテゴリー原価率50%を投じた「超鮮魚メニュー」を日替りで3~7品ラインアップ。すし1カン200円、刺身599円などメニューの中では高額だが、こうした高付加価値商品が品揃えの独自性につながっている。またユニークなのが店づくりで、店内に設置したオープンキッチンのカウンターの両端にすし場と焼き場を設置。ここで職人がすしを握ったり、炭火で串焼きを焼きあげるといった調理のライブ感を演出し、看板商品のバリューを高めている。客席もカウンター席、テーブル席、座敷席とバリエーションをもたせて幅広い客層を吸収。客単価3000円で高い満足度を提供していることが地元客からの支持の要因だ。

東京都世田谷区三軒茶屋1-40-10 ℡03-6805-2255
営業時間/17時~翌2時(土曜15時~、日曜・祝日15時~翌0時) 無休
店舗規模/40坪100席

オープン翌月に月商1200万円を達成した後も、安定して月商1000万円をクリアする繁盛店。ソフトクリーム299円を導入したり、21時30分まで全席禁煙にするなどでファミリー客の誘引にも成功している。今後の課題は深夜帯の集客強化で、同業者の就業後の飲み需要を狙っていきたい考えだ。

ターゲットは大衆でも“特別感”がある

 今回紹介した事例はいずれも大衆をターゲットとしており、ごく一部の客層やハレ的な動機を狙った店では決してない。しかし商品やサービス、店づくりには、ある種の“特別感”がある。その店ならではのものや他では得られない満足感を、大衆に手が届く価格で提供していることが支持の要因であり、また客単価3000円以上を確保するうえでのポイントなのだ。商売においてはお客と店が「ウィンウィン」の関係になることが成功の鉄則だが、それを高いレベルで実現しているところが今回の事例の注目すべき点といえるだろう。

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