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注目トレンド更新日:2018年8月1日

いま“ラム”が注目される理由

いま外食業界でにわかに起こっているのがラム(仔羊)ブーム。肉ブームの商材のひとつとして注目されている面もあるが、見逃せないのはラムという食材の持つ潜在力を生かしたさまざまなメニュー開発や業態開発の動きが見られることだ。強みとして挙げられるのは食材のヘルシーさや栄養素の豊富さで、女性客にアピールする要素を備えているが、それだけではない。肉料理の枠を超えて、新しいマーケット開拓の可能性を予見させるラムブームの現状を追ってみた。

これまでになかったラム料理の価値を提案

ラムダック東京

 さまざまな肉バル業態を開発しマーケットに新風を巻き起こしている㈱エッジオブクリフ&コムレイドが、ここにきてラムを核商品に据えたコンセプトを強化している。2015年7月にラムに特化したワインバル「ラムミートテンダー」を東京・神保町に出店し大ヒット。これを受けて2016年7月には、ラムと鴨肉のグリルを二大看板に掲げた「ラムダック東京」を東京・神楽坂にオープンしている。店に入るとまず目に飛び込むのがオープンキッチンの中央に設置された炭火の焼き台。肉料理はここでダイナミックに焼きあげ、ライブ感抜群だ。最大の名物商品が「『ソルトブッシュ』ラム(420~500g)」3900円。潮風にさらされた牧草で飼育されたオーストラリア産の「ソルトブッシュラム」と呼ばれる食材を使用しており、ラムのフレンチラックをおよそ40分かけて炭火で焼きあげる。ミディアムレアに仕上げ、柔らかさと香りのよさが身上だ。骨付きのままテーブルに運び、スタッフが切り分けて提供。他に「ラム肉の自家製ソーセージ レンズ豆」850円などラムを使った一品料理も充実しており、客単価は5100円を確保。連日予約だけで客席が埋まる繁盛店だ。

東京都新宿区神楽坂6-8 松崎ビル1F ℡03-6823-4014
営業時間/17 時~L.O.22時30分(土・日曜・祝日は16時~) 月曜定休(月曜が祝日の場合は翌火曜休)
店舗規模/20坪47席

店舗は奥行きのある細長い形状をしており、客席は厨房を隔てて入口寄りに9席、店内奥に38席を配置している。来店客の主要客層は30~50代で、女性客比率は6割にのぼる。ラムと並ぶ看板商品の鴨肉料理でも、炭焼き台でダイナミックに焼きあげたグリル料理が売れ筋だ。

ビストロ マチュリスタ

 炭火で焼いたラム舌、ラムチョップ、ラム肩ロース肉を盛り合わせた「ラム オールスターズ!!」3400円のテーブルオーダー率は40%近く。月間出数が160食を超えるこの看板商品を武器に大ヒットを飛ばしているワイン食堂が「ビストロ マチュリスタ」である。東京・神保町の裏路地に立地し、23坪45席が連日満席。客単価5800円で月商800万円を売り上げている。2016年9月のオープン当初は牛肉の炭火焼きを看板としていたが、その3ヵ月後にメニューを刷新してこの商品を投入。ラム料理の品数はそれほど多くないが、インパクトのあるメニューを揃えることで売れ筋に育て、店の個性を強化することに成功している。もうひとつの人気メニュー「ラムシャンクのロゼワイン煮込み」3500円は、大ぶりの骨付きスネ肉をロゼワインで4時間煮込んだ、見た目も味わいもインパクトのある商品。さらに2017年8月からはラム肉を使ってシャルキュトリーを自家製し、「シャルキュトリー盛合せ3種」1280円などとして提供している。牛肉より原価が低いラムを売れ筋とすることで、原価率はメニュー刷新前の38%から27%に低下。収益性も向上した。

東京都千代田区神田小川町3-14 第2万水ビル1F ℡050-8882-5774
営業時間/18時~22時30分(土・日曜・祝日は17時~23時) 月曜定休
店舗規模/23坪45席

全37品のグランドメニューのうちラム料理は4品。「選択肢を狭めて売りを明確にしたほうがコンセプトが伝わる」(オーナー・日賀野俊雄氏)という狙いだ。アルコールの主力は100種を揃えるワインで、ボトル2800円~の価格設定。アルコールの売上げ比率は40%を確保する。

悟大withサッポロ 八重洲口店

ラムといえばジンギスカンを連想する向きも多いが、この業態も着実に進化している。そう実感させてくれるのが居酒屋企業大手の㈱大庄が展開する「羊肉酒場 悟大」だ。2016年から展開をスタートした新業態で、首都圏を中心に現在10店を展開。エイジング加工した壁に短冊メニューを下げ、テーブルはビールケースとベニヤ板の組合せという庶民的な大衆酒場の雰囲気を打ち出す。最大の特徴は、羊肉をいわゆるジンギスカン鍋でなく網焼きで提供していること。肉汁が閉じ込められジューシーに仕上がるとともに、網から落ちた脂で肉が燻され独特の香ばしさがつく。肉は品質に定評がある北海道・千歳の食肉生産・加工会社の㈲肉の山本から直接仕入れており、看板商品の「生ラム特上肩ロース」850円や「生ラムショルダー」650円などは抜群のお値打ち度だ。2017年4月にオープンした「悟大withサッポロ 八重洲口店」は客席数120席と最大規模の店で、規模を生かした広がりのある空間が魅力。ドリンクのメインに打ち出すサッポロ黒ラベルの「どでか!(720ml)」680円、「筋トレ(1000ml)」880円といった大ジョッキを傾けるサラリーマンの姿が目立つ。

東京都中央区八重洲1-8-3 黒龍八重洲ビル5F ℡03-6262-7560
営業時間/17 時~23時 日曜定休
店舗規模/65坪120席

「ジンギスカンと生ビール」という鉄板の組合せをコンセプトの柱にした新しいジンギスカン業態。肉を焼いた後にタレをつける「後付け」と、タレに漬け込んだ肉を焼く「味付け」の2種の味わいを提案する。厚切りの肉はテーブルで従業員がカットするなどサービス面にも注目。

「おいしさ」こそがマーケット拡大の原動力

 いまラムが注目されているのは、先述したように食材自体が現代の消費者にアピールする要素を備えていること。それに加えて見逃せないのが、食材のクオリティが格段に上がったことである。今回紹介した事例に共通しているのもその点だ。たとえば悟大で提供している生ラムは、ジンギスカンの“羊臭い”という固定概念を覆す品質のもの。このことが女性客をはじめとする新しい客層、さらには新しい利用動機の開拓につながっているのである。食材こそ商品開発の生命線であり、「おいしさ」はマーケット拡大の最大の原動力。現在のラムブームはそのことをあらためて教えてくれる。

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