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注目トレンド更新日:2018年4月18日

進化するエスニック酒場

外食の商材として高いポテンシャルを持っているが、"マニアック"なイメージゆえマーケットがいまひとつ広がらない。日本におけるエスニック料理は、長らくそういう存在だった。それがいま、ある業態の台頭によって急速に変わりつつある。その業態とはずばり「エスニック酒場」。エスニック料理を主力としながら、アルコールと組み合わせて楽しめるカジュアルなスタイルを打ち出し、大都市圏を中心に居酒屋マーケットを席巻しているのだ。エスニック酒場の業態づくりには、ヒット店開発のヒントが満載されている。

メニュー、業態ともに個性が際立つ

タイストリートフード

 エスニック料理における定番のひとつであるタイ料理。古くからの店も多く存在し、そこでは膨大な数のメニューを揃えるのが一般的だが、品数を絞り込むことでエスニック酒場としての個性を際立たせているのが東京・池袋の「タイストリートフード」だ。JR池袋駅のコンコース内に立地し、14.3坪34席の規模で1日最大300人以上を集客。月商約1100万円を売り上げる超繁盛店である。昼のフードメニューは「カオマンガイ」や「グリーンカレー」「トムヤムラーメン」など定番の麺・飯類5品と季節商品1品を900~1280円で提供。夜はこれに120~2160円の一品料理21品が加わる。調理効率を高めることでランチは全メニューを注文から8分以内で提供できるオペレーションを構築。一方、ディナー帯はタイ産ビールやワイン、ウイスキーなど27種の豊富なドリンクを550円から提供している。軽くつまんで麺・飯で締めるという利用動機を吸収し、夜の客単価は1630円を確保。多彩な客層が集まる駅構内という立地の強みをいかんなく発揮している。

東京都豊島区西池袋1-1-25 B1 東武イケチカDining ℡03-6914-2212
営業時間/11時~23時(L.O.22時) 無休
店舗規模/14.3坪34席

経営母体の㈱SUU・SUU・CHAIYOOは主力ブランドの「クルン・サイアム」7店をはじめタイ料理4業態12店を東京都内に展開。タイストリートフードは2016年5月にオープンした。今後はディナーのメニュー数をさらに絞り込んでオペレーションを効率化し、積極的な多店化を計画している。

ビアホイチョップ

 ベトナムでは氷を入れてガブ飲みする安価なビール「ビアホイ」。これを店名に冠しベトナム酒場のスタイルを打ち出して大ヒットしているのが東京・中野の「ビアホイチョップ」である。経営母体はフォー専門店やベトナム焼とり専門店などを都内で展開する㈱フクモクレストランサービス。ビアホイチョップでは系列店のメニューに加えて小ポーションのつまみメニューを豊富に揃えた。300~1280円で85品をラインアップするが、「茹で空心菜」や「揚げ豆腐」などの小菜12品を380円と500円の2ラインで揃え、気軽な利用動機の吸収に成功している。焼とりはベトナム・ハノイの人気店「ビンミン」直伝のミックススパイスで調味し、フォーの麺も自社開発の生麺を使用するなどクオリティを徹底追求。アルコールの主力はベトナムビールなどビール12種(350~680円)で、他にベトナム焼酎をベースにしたサワーとハイボール14種なども揃え、アルコールの売上げ比率は30%を確保する。ディナー客単価は2100円、13坪30席で月商400万円を売り上げる。

東京都中野区中野5-53-1 栗原ビル1F ℡03-5942-4532
営業時間/11時30分~15時(L.O.14時30分)、17 時30分~23時30分(L.O.23時) 無休
店舗規模/13坪30 席

業態開発にあたっては、ベトナム酒場という馴染みの薄さをカバーするため系列店の焼とりメニューやフォーを導入。それが奏功し2015年11月のオープン以来じわじわと売上げを伸ばしてきた。今後は焼とりの品数を減らし、ベトナムの大衆料理を増やして現地スタイルの再現性を高める計画だ。

カブリロス

神奈川・溝の口に2017年3月にオープンした「カブリロス」は、"カリメックス"をテーマに掲げるメキシカン酒場だ。カリメックスとはカリフォルニアとメックス(メキシコ風)を合わせた造語で、メキシコ料理にアメリカ西海岸の要素を融合させた料理やスタイルを指す。タコスをはじめとするメキシコ料理の定番に加えて、魚介類や野菜を使ったオリジナルメニューを豊富に揃えているのが特徴だ。魚介料理では「本日のセビーチェ」750円や「フレッシュムール貝とハラペーニョのテキーラ蒸し」880円など、素材の鮮度を生かしたものが目立つ。また、タコスも定番の牛肉や鶏肉に加えて、魚介や野菜を挟んだものをラインアップしている。アルコールは50種におよぶモヒートを590円の均一価格で揃える他、定番カクテルをアレンジした「マルガリータハイボール」や、スパイスやハーブをテキーラに漬け込んで炭酸で割った「テキハイ」(各490円)が売れ筋。客単価3200円でアルコールの売上げ比率は50%を確保し、40坪80席で月商1000万円を売り上げている。

神奈川県川崎市高津区溝口2-12-10 2F ℡044-850-5830
営業時間/18 時~翌4時(L.O.3時30分)、土曜17時~、日曜・祝日17時~翌0時(土曜・日曜・祝日は11時30分~15時までランチ営業) 無休
店舗規模/40坪80席

東急沿線を中心に居酒屋やダイニングなど13店を展開する㈱ファンクリックスが2017年3月にオープン。主客層は20~30代の女性客で、「お洒落な雰囲気の中でメキシコ料理とカクテルを楽しみつつ、賑やかにおしゃべりしていただく」(木月浩平社長)という狙い通りのニーズを摑んでいる。

商材の専門性に頼らない業態開発

 これらエスニック酒場のヒット店に共通しているのは、メニューや業態において明確な個性を打ち出していることだ。品数を絞り込むことで高速回転型の業態特性を鮮明にしたタイストリートフード、焼とりやフォーで専門性を打ち出しつつ小菜で気軽な利用動機を吸収するビアホイチョップ、カリメックスというスタイルで既存のメキシコ料理店との差別化に成功したカブリロス、といった具合だ。既存のエスニック料理店が商材自体の専門性に依存していたのに対して、エスニック酒場はいずれも「わが店ならでは」の売りを持っている。それこそ、現代の成熟した消費者にアピールするポイントなのだ。

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