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注目トレンド更新日:2017年4月3日

コンセプトの勝負になった焼肉業界

品質をめぐる競争が激しくなってきた焼肉業界。BSE騒動などにより消費者の安全・安心志向に拍車がかかり、低価格の焼肉業態はすっかり勢いを失った。それに代わるように支持を集めてきたのが、食材のクオリティを前面に打ち出した業態。日本の焼肉市場は着実に成熟が進んだといえるが、そこで一歩進んだ差別化策として「売り方」が大きくクローズアップされるようになってきている。いかにお客のニーズに近づくかという、外食市場全体で問われる課題にどう応えるか。その最新の取り組みを追った。

顧客ニーズを見据えた売り方の工夫

肉喰ホルモン すすむ

 いま外食業界において見逃せなくなっているのが「お一人様マーケット」。一人で食事したいというニーズに応える業態が支持されているが、そこで注目したいのが大阪・天満の「肉喰ホルモン すすむ」だ。駅高架下の立飲み街に立地し店舗規模は7.5坪、すべて立ち席で22人収容という規模で月商480万円を売り上げている。鹿児島産黒毛和牛をはじめとする高品質な食材を使い、カイノミは1皿4切れで約60g、極上ハラミは1皿5切れで約75gなど、少人数客でも使い勝手のよいポーションに設定。さらに1人客のニーズに対応すべく、2~3切れで30~45gとさらに小ポーションのSサイズメニューも用意した。すべて新鮮な国産を使用するホルモンについても同様で、ウルテや炙りハートなどは1皿170円という低価格に設定。Sサイズは1人客の他に女性の2人客にも好評で、客層の拡大に大きな効果を発揮している。客単価は2500円で推移。肉は注文を受けて肉塊から切り出して提供するなど、演出効果の高い売り方にも注目だ。
人気の理由は、平均原価率40%を投じた商品のバリュー。フードの主力は高知・宿毛漁港直送の魚介を使った料理で、月間出数が600食を超す「カツオの藁焼き」650円をはじめ魅力あるメニューが並ぶ。他のグランドメニューは中心価格を300~500円として値頃感を訴求。こうした商品戦略が、料理の値打ちにシビアな30代の働く女性にアピールした。食事メニューでも「鯛めし」900円(1合)を置くなど品揃えに手抜きがなく、こうした点も女性客からの支持を得ることにつながっている。

大阪府大阪市北区天神橋5-6-22 ℡070-5659-0993
営業時間/17時~翌0時(日・祝日16時~翌0時) 無休
店舗規模/7.5坪22人収容

大阪・天満で2007年から営業する「電撃ホルモン ツギヱ」の2号店として2013年5月にオープン。7.5坪の細長い空間に約5m×2mのコの字型カウンターを配置し、最大22人を収容する。お客の男女比は半々で、年齢は20代~60代と幅広い。アルコールの売上げ比率は40%で推移している。

焼肉あかみうし

 2014年に東京・恵比寿にオープンした「焼肉あかみうし」は、店名の通り赤身肉が主力の焼肉店だ。ヘルシー感のある赤身肉への関心は業界全体で高まっているが、同店は定番であるカルビを置かず、正真正銘の赤身肉一本で勝負している。食材はA5ランクの黒毛和牛の赤身肉に限定し、常時十数種類をラインアップ。中でも希少な部位や高級部位を「本日のプラチナビーフ」として店内のボードに明記している。注文率ほぼ100%の売れ筋メニューが「本日のあかみうし6種盛り」(1人前1960円)。入荷によって変動するおすすめ部位をバランスよく盛り合わせるが、部位ごとの味わいをより楽しめるように、各部位に合わせるタレや薬味をきめ細かく提案する。他にも、七輪で焼きあげた赤身肉をすしネタに使った「和牛赤身にぎり」などユニークなメニューを揃えた。これらの取り組みが奏功し、客層の6~7割を女性客が占め、とくに20~30代の女性客の圧倒的な支持を獲得。30坪36席の規模で、客単価4000円、夜のみの営業で月商700万~800万円を売り上げている。

東京都渋谷区恵比寿西1-7-15 2F ℡03-3496-4129
営業時間/16時30分~23 時30分(L.O.23時) 無休
店舗規模/30坪36席

1975年に東京・御徒町で創業した「焼肉もとやま」の2号店で2014年2月にオープン。焼肉もとやまで培ってきた独自の仕入れルートにより、高品質な肉をリーズナブルに提供する。平日も予約必須の繁盛ぶりで、週末には36席が3~4回転。暖色系を基調色とした落ち着きのある内装も好評だ。

焼肉 冷麺 味楽園

兵庫・尼崎の「焼肉 冷麺 味楽園」は骨付きカルビとタンソルト、冷麺が3大看板の地域密着型焼肉店。2007年に店舗を建て替えたが、これを機に近隣のファミリー客をコアターゲットとする営業方針に転換し大成功を収めている。ベビーカーが入りやすいよう店内の通路を広くとり、サービス面でも全面禁煙にしたほか幼児向けの食器や椅子などを揃えた。食器はプラスチック製で、子供の小さい口にも入りやすく安全な形状のフォークやスプーンなどを用意。看板メニューの骨付きカルビはスタッフがテーブルについて焼きあげるが、子供客の年頃を見て小さめに切るなどきめ細かな心遣いも徹底している。遊び心でつくった骨付き特上カルビそっくりの食品サンプルも好評。それを見たファミリー客が楽しそうに記念写真を撮ってSNSにアップし、口コミでさらにファミリー客が増えるという好循環をもたらしている。近隣ではマンション建設や駅前開発が進み、ヤングファミリーや3世代ファミリーが増加しており、そのニーズを見事に掴んだ形。現在は来店客の半数以上をファミリー客が占めている。

兵庫県尼崎市南竹谷町2-1 ℡06-6411-9329
営業時間/17時~翌0時30分(L.O.翌0時) 月曜休(祝日は営業し翌日休)
店舗規模/80坪90席

1964年オープンと創業50年を超える老舗だが、常に顧客ニーズを見据えた店の進化に取り組んできたことが変わらぬ繁盛の要因。ファミリー客のニーズに応える2007年のリニューアルもそのひとつだ。さらに、タレの味や肉のカッティングを常に見直し「旨い肉」を提供するための研究も怠らない。

問われているのはコンセプトの精度

 焼肉は日本の外食における代表的な「ご馳走」のひとつ。低価格業態に代わって食材にこだわった業態が支持を集めているのは「どうせ食べるならいいものを」というニーズの高まりを示している。しかし消費者ニーズが高度化したいま、食材だけでは決定的な差別化につながらない。今回紹介した事例は、狙いとする客層と利用動機にしっかりとフォーカスし、それに応える業態をつくっているという共通点がある。お客にどのような満足度を提供するのかというコンセプトの精度が、焼肉業界でも問われるようになってきた。

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