ニュースリリース

サッポロビール(株)が2018年度農芸化学技術賞を受賞

~ホップの育種・栽培技術から商品開発まで、一気通貫した取り組みが評価~

2018年03月15日

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 サッポロビール(株)は、(公社)日本農芸化学会から「2018 年度農芸化学技術賞」(注1)を受賞しました。授賞式は3月15日の同学会2018年度大会(注2)で行われています。

 この受賞は、長年にわたるホップ品質の多角的な解析とその応用の取り組みが高く評価されたもので、「ホップの栽培安定化へのグローバルな貢献」「優良ホップ品種の継続的な育種開発」「ホップ特有の成分に関する多角的解析」に関する当社の実績が決め手となりました。同学会におけるビール醸造技術テーマでの同賞受賞は、2000年、2015年に続き3回目となります(注3)。

 当社は、ホップの基礎研究・育種からそれらを用いた生産技術・商品開発まで、自社による一気通貫した取り組みを通じてホップの可能性を広げ、それらの技術を活かした魅力的な商品を提供していきます。

サッポロビール(株)のホップ品質解析と応用の取り組み

 

授賞式

 

◆受賞テーマ表題 「ホップ品質の多角的な解析とその応用」

 

◆研究概要

「ホップの栽培安定化へのグローバルな貢献」

世界的にその高品質が認められているファインアロマホップ品種のザーツ産ザーツ種(以下、SSA)は、1980年代に蔓延したウイルス病により収量、品質の両面で危機に陥りました。当社は原因ウイルスの特定、ホップ茎頂培養によるウイルスフリー化技術(注4)の現地指導によって収量・品質の両面から産地・品種の危機を救いました。

さらに、ウイルスフリー苗を生産する現地との合弁会社「V. F. Humulus社」を設立し、その後の生産安定化と品質の向上に貢献しました。近年もホップのウイルス病に関する研究を継続的に行ない、基盤技術として今でも世界中のビール会社で使用されているSSAの安定生産に寄与しています。

 

「優良ホップ品種の継続的な育種開発」

「信州早生」種は当社の前身である大日本麦酒(株)が1910年代に選抜し、現在もなお国内で多く商業栽培されているホップ品種です。当社はその後も現在に至るまで継続的にホップ品種の育種を行ってきました。当社が1984年に品種登録した「ソラチエース」は、現在米国等でも栽培されており、このホップで醸造したビール特有の柑橘系の香味が近年注目を集め、クラフトビールで世界的に利用されています。

当社のホップ育種は、19世紀から蓄積してきた数百にもおよぶホップ遺伝資源の多様性を活かしています。さらに、後述するホップ香気研究の成果も活用し、個性的な香りの品種の育成を継続的に進めています。

 

「ホップ特有の成分に関する多角的解析」

ホップ球花の内部に蓄積される黄色の粒であるルプリンの内部には苦味の素となる樹脂成分、芳香の素となる精油成分等が特異的に生合成されます。当社ではその特性に着目し、樹脂成分や精油成分、機能性を有するフラボノイドなどの生合成に関与するルプリン腺で特異的に発現する遺伝子群の同定や発現機構に関する基礎研究をいち早く行ってきました。

2000年代以降、伝統的なホップの香りと一線を画する「フレーバーホップ」等と呼ばれる個性的な香りをもつホップが開発され、これらを活かしたクラフトビールが世界的にブームとなっています。当社では、これらの品種に着目し、香気に関する基礎研究を行ってきました。以下に実例を挙げます。

・白ワインの香りがするといわれるニュージーランドの品種「ネルソンソーヴィン」から、その香りのキーとなる新規の香気成分(「チオール」類に属する)を発見しました。

・ライムの香りを呈する米国の品種「シトラ」の香りは、原料ホップ中の「ゲラニオール」と、酵母の作用で「ゲラニオール」から変化する「β-シトロネロール」の相互作用で形成されることを解明しました。

これらの知見から、ホップの品種ごとの特性を活かすとともに、ホップ品種のブレンドで異なる香気成分間の相互作用を活用する技術も開発し、実際の商品開発にも活用し始めています。

 

(注1) 1968年から設置された歴史ある賞。農芸化学分野において注目すべき技術的業績をあげた会員に授与される極めて権威ある賞。(公社)日本農芸化学会ホームページ:http://www.jsbba.or.jp/

(注2) 日本農芸化学会2018年度大会(2018年3月15日~18日 会場:ホテルナゴヤキャッスル・名城大学)にて授賞式並びに受賞者講演が行なわれました。

(注3) 過去2回の当社受賞テーマは以下の通り。

2000年  抗酸化製造法の展開-ビール品質劣化の理論的解明からその応用まで

2015年  ビール泡品質向上への一貫した取り組み

(注4) ウイルスに未感染の茎頂点を組織培養し、ウイルスに感染していない(=ウイルスフリー)苗を作製する技術。

 

以上

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