おいしいビールの原料

おいしいビールの原料

ビールの主な原料は麦芽とホップと水です。麦芽は発酵により炭酸ガスとアルコール、そしてビールの香りや味の成分を形成し、ホップの成分はビールの苦味と香りを生み出すことで、ビール独特の味わいが誕生します。麦芽やホップの種類によってビールの味は大きく変わるので、原料選びはとても大切です。また、それ以外に米やコーン、スターチなどの副原料と呼ばれるものがあり、さまざまな副原料味を加えることで、味をすっきりさせたり香味を調整し、ビールの味のバリエーションを拡げています。

大麦

ビール醸造用の大麦

左からふたつが二条大麦
左からふたつが二条大麦

ビールの原料となる麦芽は、大麦からつくります。大麦は穂の形から、二条大麦と六条大麦に大別されます。大麦の穂を上から見たとき、穀粒が二列に並んでいるものを二条大麦、六列のものを六条大麦と呼びます。日本のビールは、麦の一粒一粒が大きくて、でんぷんをたくさん含んでいる二条大麦を主に使用しており、ビール醸造用につくられた二条大麦は別名「ビール麦」とも呼ばれています。ビール麦は長く繊細な芒(ノゲ、ノギ、ボウ)をもっているため、穂が出た後の畑はビロードを敷いたように美しく輝き、風にたなびく姿を見せます。

製麦

製麦途中の大麦
製麦途中の大麦

大麦を発芽させて麦芽をつくる作業を「製麦」と呼びます。大麦はこのときに十分な水を吸い発芽を始め、胚乳の中にあるでんぷんやタンパク質などの栄養分を自らのエネルギーに変えていきます。発芽中の大麦は「緑麦芽」と呼ばれ、その中ではビール醸造に必要なたくさんの酵素が働いており、その酵素が十分にでてきたところで、焙燥させて発芽を止め、麦芽をつくります。
よい麦芽は、よい大麦からしかつくれません。よい大麦とは、すべての穀粒が均一で、張りがあり、健康な光沢をもって元気に発芽している、適当量のタンパク質を含んだ大麦のこと。もちろん、そのためには天候に恵まれたよい産地で、農家の管理が行き届いていることが必要になります。

麦芽の種類

さまざまな色のビール
さまざまな色のビール

日本では大麦麦芽でビールをつくるのが一般的です。ところが、世界には小麦麦芽や、ライ麦麦芽、ソルガム麦芽など、大麦以外の穀物で造った麦芽や、燻製したラオホ麦芽など、さまざまな麦芽が存在し、多種多様のビールがつくられています。また、ロースター(焙煎機)を用いてつくられたカラメル麦芽や黒麦芽などは、ビールに芳醇な香りや豊かな色、深い味わいを醸し出します。

ホップ

ホップの特性

成長したホップ畑
成長したホップ畑

ホップはアサ科の宿根性多年生植物です。雄株と雌株が別々になっており、ビールには球花(きゅうか)と呼ばれる雌株の花が使われます。 ホップは受精するとその苦味や、香りが劣化するため、雄株は全て排除し、受精させないようにします。ホップは、地上に出ている部分は冬に枯れますが、根の部分は残り、春になると芽を出します。出てきた芽は、ホップ生産者によって選芽されます。 ホップは、つる性の植物で6~8mの棚からつるした紐に巻きつけます。巻きついたつるは、どんどん生長し、8~9mほどの長さになり、8~9月に収穫されます。

ホップの役割

ホップの球花
ホップの球花

ホップの成分は、ビールの苦味と爽快な香りを生み、ビールの泡持ちを良くします。また、過剰なタンパク質を沈殿させるのでビールの濁りを取り除く作用もあります。さらに、雑菌の繁殖を抑え、ビールの腐敗を防ぐ作用もあります。
ホップの雌花は生育すると松かさ状になることから、「球花」(きゅうか)と呼ばれています。成熟と共に球花を形成している各ホウのつけ根に黄色い油滴状のルプリンと呼ばれる粒が形成され、このルプリンにビールの苦味のもととなる樹脂や香りの成分の精油が含まれています。
ホップには催眠、鎮静、利尿、食欲増進、消化促進といった、薬理的作用がよく知られていますが、実際にはビール醸造以外はほとんど使われていません。

ホップの産地

ホップの栽培は、世界的にはドイツ東南部のハラタウ地方とチェコ西部のザーツ地方が名産地とされ、アメリカのオレゴン州、オーストラリアのタスマニア島等でも栽培されています。ホップは日本でも野生で見られ、北海道開拓使時代のビールづくりでは、アメリカから来た化学技術士アンチセルが、北海道で野生のホップを発見したことをきっかけに、北海道でもホップの栽培が始まりました。日本では東北地方や北海道で栽培されており、サッポロビールの北海道原料研究センターで育成されたホップは地元上富良野の特産になっています。

ホップの種類

ホップの種類は醸造特性によって3つのタイプにわけられます。

ファインアロマ

特徴
ホップの香りは他のアロマタイプやビタータイプに比べて穏やか。 ビールになってからの苦味も穏やかで上品。
代表的品種
ザーツァー(チェコ)
テトナンガー(ドイツ)

アロマ

特徴
ホップの香りはファインアロマに比べて概して強い傾向。
代表的品種
トラディション(ドイツ)

ビター

特徴
ファインアロマやアロマタイプが香りを重視しているのに対し、苦味質含有量が多いタイプの品種。
代表的品種
ノーザンブルワー(ドイツ)
マグナム(ドイツ)

ホップの加工

収穫後、乾燥されたホップは以前はそのままビール工場で使われていました。しかし、輸送の際にかさばることや保存中に苦味質の損失がある等の理由により、現在では粉砕後,粒状のぺレットに加工して使われることが多くなっています。加工に際してはルプリン粒をふるいわけ、ルプリンを多く含んだ濃縮ホップぺレットとすることもあります。また、ルプリンの苦味質、精油等を抽出してペースト状のホップエキスと呼ばれる製品へ加工されることもあります。

ビール製造に使用される水は、ビール原料として使用される水以外にも、設備や容器類の洗浄・殺菌や製造工程での加熱・冷却の用途等に使用され、ビール1kLに対して7kLの水が必要になります。

用水使用量・用水原単位

サッポロビールの工場では水の使用量や発生する排水を適切に管理し、水資源の保全を継続的に推進しています。その結果、ビール製造設備の洗浄・殺菌工程における水使用の3R※1や加熱・冷却の効率化等により、1990年比 で2015年までに原単位を38%削減※2することができました。今後も、水資源の節約と有効利用を行い、水資源の保全の取り組んでいきます。

  1. 3R:Reduce(節水)、Reuse(再利用)、Recycle(再生利用)
  2. ビール1kL当り製造するために必要な水の量

副原料

ビール製造に使用される水は、ビール原料として使用される水以外にも、設備や容器類の洗浄・殺菌や製造工程での加熱・冷却の用途等に使用され、ビール1kLに対して7kLの水が必要になります。

副原料の定義

コーン
コーン

お酒の定義や分類・税率などを定めている酒税法には、副原料という言葉はありません。わかりやすくするために便宜上、使用しているものです。 日本のビールで使用可能な副原料(麦芽、ホップ、水を除いた原料)は、酒税法で、麦・米・コーン・こうりやん・ばれいしょ・スターチ・糖類・着色料(カラメル)の原料に定められています。

副原料の役割

副原料は、ビールの味をまろやかにしたり、すっきりさせたりするために使われ、副原料を使用しないビールとは、また違った味をつくることが出来ます。 副原料は、ビールの香味、発酵度などのコントロールや泡立ちの調整にも役立っています。

主要な副原料

スターチ
スターチ

副原料には主要なものに、米、コーン、スターチ、糖類があります。日本では古くからビールの原料に米が使われてきました。米はスターチ含有量が多く、スターチ補充原料として使われています。コーンはとうもろこしを粉砕したもの、スターチはコーン由来のスターチで、共に味をすっきりさせる役割があり、香味を調整する役割も果たしています。
糖類の代表には、コーンシロップが挙げられます。これはコーン、スターチを酵素により液化・糖化させ、ろ過や脱色、濃縮などの工程を経て製造されたもので、糖組成を変更することにより、最終製品の香味、発酵度などをコントロールする事が可能です。