おいしいビールの原料
ビールの主な原料は麦芽とホップと水です。麦芽由来の成分が発酵により炭酸ガスとアルコール、そしてビールの香りや味の成分を形成し、ホップの成分はビールの苦味と香りを生み出すことで、ビール独特の味わいが誕生します。麦芽やホップの種類によってビールの味は大きく変わるので、原料選びはとても大切です。また、それ以外に米やコーン、スターチなどの副原料と呼ばれるものがあり、さまざまな副原料を加えることで、味をすっきりさせたり香味を調整し、ビールの味のバリエーションを拡げています。
大麦
ビール醸造用の大麦
製麦
麦芽の種類
ホップ
ホップの特性
ホップの役割
ホップの産地
ホップの栽培は、世界的にはドイツ東南部のハラタウ地方とチェコ西部のザーツ地方が名産地とされ、アメリカのワシントン州、ニュージーランド等でも栽培されています。ホップは日本でも野生で見られ、北海道開拓使時代のビールづくりでは、アメリカから来た化学技術士アンチセルが、北海道で野生のホップを発見したことをきっかけに、北海道でもホップの栽培が始まりました。日本では東北地方や北海道で栽培されており、サッポロビールの北海道原料研究グループで育成されたホップは地元上富良野の特産になっています。
ホップの種類
ホップの種類は醸造特性によって3つのタイプにわけられます。
ファインアロマ
- 特徴
- ホップの香りは他のアロマタイプやビタータイプに比べて穏やか。 ビールになってからの苦味も穏やかで上品。
- 代表的品種
-
ザーツァー(チェコ)
テトナンガー(ドイツ)
アロマ
- 特徴
- ホップの香りはファインアロマに比べて概して強い傾向。
- 代表的品種
- ハラタウトラディション(ドイツ)
ペルレ(ドイツ)
シトラ(アメリカ)
カスケード(アメリカ)
ビター
- 特徴
- ファインアロマやアロマタイプが香りを重視しているのに対し、苦味質含有量が多いタイプの品種。
- 代表的品種
-
ヘラクレス(ドイツ)
マグナム(ドイツ)
ホップの加工
かつて、収穫し、乾燥されたホップはそのままビール工場に運ばれ、使われていました。しかし、輸送の際にかさばることや保存中に苦味質の損失がある等の理由により、現在では粉砕後、顆粒状のぺレットに加工して使われることが多くなっています。加工に際してはルプリン粒をふるいわけ、ルプリンを多く含んだ濃縮ホップぺレットとすることもあります。また、ルプリンの苦味質、精油等を抽出してペースト状のホップエキスと呼ばれる製品へ加工されることもあります。
水
工場に供給される水(原水)は、井戸から汲み上げた水や一般家庭と同様に水道水など、工場の立地環境によって異なります。サッポロビールでは、その水に高度処理を施しビール製造に適した水質となるように磨(みが)いています。
また、工場内で使用する水には、ビールの醸造用水以外にも、工程用水として設備や容器類の洗浄・殺菌や加熱・冷却等の用途があり、ビール1kLに対して約6.5kLの水が必要になります。サッポロビールでは、持続可能な水資源利用の実現を目指し、水資源の3R [※1] を推進し、用水使用量の削減 [※2] に取り組んでいます。
- [※1] 水資源の3R:Reduce(節水)、Reuse(再利用)、Recycle(再生利用)
- [※2] 2030年までの中長期目標として、生産工場における水使用総量の2013年比10%削減を目標として掲げています。(サッポロビール、ポッカサッポロ)
副原料
副原料の定義
副原料の役割
主要な副原料
副原料には主要なものに、米、コーン、スターチ、糖類があります。日本では古くからビールの原料に米が使われてきました。米はスターチ含有量が多く、スターチ補充原料として使われています。コーンはとうもろこしを粉砕したもの、スターチはコーン由来のスターチで、共に味をすっきりさせる役割があり、香味を調整する役割も果たしています。
糖類の代表には、コーンシロップが挙げられます。これはコーン、スターチを酵素により液化・糖化させ、ろ過や脱色、濃縮などの工程を経て製造されたもので、糖組成を変更することにより、最終製品の香味、発酵度などをコントロールする事が可能です。