CULTURE

ワインのヴィンテージって何?当たり年を見つけるポイント

ヴィンテージという言葉の響きから、「古いもの」「高級なもの」というイメージをもたれがちなワインのヴィンテージという表現。しかし実際の意味は異なることをご存知ですか。
今回は、おいしいワインを選ぶ時に欠かせないヴィンテージについて紹介します。

ワインのヴィンテージって何?当たり年を見つけるポイント

ヴィンテージワインっていったい何?

日本では、「ヴィンテージワイン」というと長く熟成され、プレミアの付いたワインという意味合いで「ヴィンテージ」という言葉を使いますが、ワインにおけるヴィンテージには全く異なる意味合いがあります。

ワインのヴィンテージって何?当たり年を見つけるポイント

ヴィンテージとは

ヴィンテージというのは、ブドウの収穫年のことを指します。つまり、ヴィンテージ表記に「2015」とあれば、2015年に収穫されたブドウを使ったワインということです。スーパーで手に入るワインでも、ラベルにヴィンテージ表記されているものがありますよね。ヴィンテージが書いてあるからといって、それだけで「すばらしいワイン」というワケではなく、あくまで収穫年が限定されているワインということなのです。

例えば、2013年に収穫されたブドウで醸造されたワインであれば、「2013年ヴィンテージのワイン」と呼ばれるわけです。そして「ワインのヴィンテージは?」と聞かれたら、「2013年です」と答えれば良いのです。

「ヴィンテージワイン」というのは、ブドウの収穫年が特定できるワインということ。「ヴィンテージ」という言葉から、「古くて高級なワイン」と早合点しないように注意しましょう。

ヴィンテージはなぜ大事?

ブドウはその年によって、出来の良い年と悪い年があります。天候に左右されて、ブドウの成熟度が変わるからです。収穫年によってワインの仕上がりが異なるので、ヴィンテージを表記しておくことが大事なのです。同じアイテムのワインでもヴィンテージによって違いを楽しめるところが、ワインの面白さでもありますよね。また、ヴィンテージをチェックすることで、当たり年のワインかどうかを判断することもできます。

当たり年の基準は?

ブドウの当たり年を知るうえで、おさえておかなければいけないのは、「当たり年は産地によって違う」ということです。同じ年でも、国や地域によって、気候は変わります。なので、一律にこの年が当たり年とは言えないのです。国もしくは地域ごとに当たり年を把握する必要があります。

そこで参考にしたいのが「ヴィンテージ・チャート」。これは、ブドウの収穫状況やブドウの良し悪しを年別に総合的に評価した産地ごとのチャートです。

ただし、同じ地域でも生産者や品種、畑によってワインの出来は異なるので、ヴィンテージ・チャートで当たり年だと書いてあったとしても、必ずしも全てのワインがすばらしい出来かどうかは、分かりません。記念日用のワインを選ぶ時や、大切な人にワインを送りたい時の参考程度に見ておきましょう。

ヴィンテージ・チャートは、ボルドーワイン委員会の公式サイトなどを参考にしてみてくださいね。

「ヴィンテージ」が付いていれば高級ってこと?

ワインのヴィンテージって何?当たり年を見つけるポイント

一般的に「ヴィンテージワイン」という言葉は高級でおいしいワインという意味合いで使われることも多いですが、前述のような本来の意味であれば必ずしも「ヴィンテージが古いワイン=高級」ではないことが分かります。

また、今年のヴィンテージのワインを手に入れて、例えば10年自宅で保管しておいたからといって、熟成が進んでおいしくなるわけではないことに注意してください!ワインの熟成はふさわしい環境があってこそ。さらに、熟成させずに飲んだ方がおいしいワインもたくさんあります。迷う場合には、お店の人に聞いてみましょう。

ヴィンテージ表示ができないワインも中にはある

ワインのヴィンテージって何?当たり年を見つけるポイント

ワインの中には、ヴィンテージ表記のない「ノンヴィンテージ」のワインもあります。使用しているブドウが複数年号のものであったり、生産国のワイン規定を満たしていなかったりするものはヴィンテージを表記できない決まりになっています。

よって、良いワインであってもノンヴィンテージのものがあります。毎年の品質を安定させるために複数のブドウをブレンドして使用しているものもありますので、ノンヴィンテージだから品質が低い、と決めつけてはいけません。

例えば、ノンヴィンテージの良質なワインで代表的なのがシャンパンです。シャンパンは味の理想に近づけるため、複数年のワインをブレンドして造りあげることが多いです。ヴィンテージ・ノンヴィンテージだけではワインの質は決められないということですね!

古いヴィンテージのワインを飲む時の注意点

ワインのヴィンテージって何?当たり年を見つけるポイント

古いヴィンテージのワインを飲む時には、次のことに注意しましょう。

飲む前の保存方法

手に入れてすぐに飲むのはNG。最低1週間はボトルを立てて澱(おり)をボトルの底に沈めておいてください。長期間熟成したワインは澱ができやすく、すぐに開けてしまうと澱がグラスに入りやすくなってしまうからです。

コルクは丁寧に抜く

長い熟成によってコルクが劣化してもろくなっていることも多々あります。コルクを抜く時にはゆっくり丁寧に引き抜きましょう。無理やり抜こうとすると、コルクが折れたりボロボロになってボトルにコルク片が入ってしまったりします。

澱が入らないようにグラスへ注ぐ

グラスに注ぐ時には、澱が入らないよう静かにボトルとグラスを傾けます。勢いよく注ぐのは厳禁!難しい場合には、デカンタージュするときれいに注ぐことができますよ。

デカンタージュの詳しい方法はこちらのページをご覧ください。

まとめ

「ヴィンテージ」は収穫年を指す言葉であって、「高級なプレミアワイン」という意味ではないことを解説しました。

ヴィンテージが古いから良いもの、というわけでもありません。ただ、長期の熟成に耐えられるブドウは高品質であることが多いので、そういったブドウから造られたワインがおいしいのはある意味当然といえば当然ですね。

ブドウの出来は毎年異なり、出来の良い年、悪い年がどうしても発生してしまいます。良いブドウができた当たり年のヴィンテージを知っておくと、ワイン選びの幅が広がりますよ。ただ、当たり年は地域によって異なるので注意をしてくださいね。

本当に良いワインかどうか確かめたい時にはヴィンテージ・チャートを利用しましょう。おいしいワインと出会うために、自分がおいしいと感じる国と地域、そしていつが当たり年のヴィンテージか覚えておくと良いでしょう。