CULTURE

ワインのプロ、ソムリエになりたい!

ソムリエさんが格好良くワインを注いで、説明をする姿って憧れますよね。どうしたらソムリエになれるのか調べてみました。

ソムリエの資格を持っているとどんなシーンで役立つのか、メリットについても解説しています。ソムリエに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

ワインのプロ、ソムリエになりたい!

ソムリエの資格試験を行っている団体はふたつある

資格には大まかに分けて国家資格と民間資格があります。日本においてソムリエの国家資格はないため、必然的に民間資格を受験することとなります。

国内でソムリエの資格試験を行っている団体は、「日本ソムリエ協会」と「全日本ソムリエ連盟」のふたつです。

日本ソムリエ協会

日本ソムリエ協会(J.S.A.)は、日本でのワインの普及、知識・サービスの向上、食品衛生を目的とし、ソムリエの育成、資質向上を目指しています。また国際ソムリエ協会などとも連携して海外交流に関する事業も行っています。
会長は1995年に世界最優秀ソムリエコンクールで優勝した田崎真也氏です。田崎氏は2017年6月まで国際ソムリエ協会会長も兼任されていました。

日本ソムリエ協会が開催する試験は、「J.S.A.ソムリエ・J.S.A.ワインエキスパート呼称資格認定試験」です。

ソムリエを受験するには、職務経験の規定があります。アルコール飲料に関する業務に通算3年以上(J.S.A正会員又は、賛助会員所属者は2年以上)従事しており、第一次試験日おいても従事していることが条件になります。賛助会員となっている企業に勤めている場合は、会員特典として受験料が値引きされることがありますので、事前に確認してみましょう。

ワインのプロ、ソムリエになりたい!

ソムリエの受験資格に条件が満たない方や、業務経験のない方は、業務経験などが問われず誰でも受験できる「ワインエキスパート」の資格がおすすめです。同時期に開催される資格試験で、ソムリエ試験の対象となる職種に就いているものの受験に必要な経験年数が少ないという方も受験可能です。

先にワインエキスパートの試験に合格しておくと、5年以内であればソムリエの資格試験時に第一次試験・第二次試験を3回まで免除される特典があります。ソムリエ試験で先に合格した方がワインエキスパートの資格を受験する場合も、条件は同様です。

全日本ソムリエ連盟

全日本ソムリエ連盟(ANSA)は、独自のカリキュラムを導入し、ワインのプロフェッショナルを提供する「ワインコーディネーター/ソムリエ」の育成をしている団体です。受験資格は特になく、経験を問わず受験することが可能です。
受験時もしくは専用の講座プログラムを申し込むときに、ワインコーディネーターとソムリエのどちらかを選択します。どちらの資格も、ワインに関する基礎知識とテイスティングはもちろん、ワインのセールスプロモーションや接客力を身につけたい人におすすすめの資格です。

また、「テイスティングは自信がないけれど、知識があることを認めてもらいたい」という方は、同じく全日本ソムリエ連盟が開催する「ワイン検定」はいかがでしょうか。試験内容はマークシートによる択一選択方式で、テイスティング試験はありません。

ただし、ワインを含めた飲酒や地域の歴史・文化・地理・造り方・マナー・楽しみ方と、幅広く出題されるため、確かな知識が求められます。1級~3級あり、1級ともなれば酒類全般について詳しくなければ合格できないほどのレベルです。

認定証書も発行され、「知識ならソムリエにも負けません」とアピールすることができます。ちなみに、ソムリエ資格を持つ場合はワイン検定を2級から受験することができるため、知識レベルの再確認をしたいというソムリエの人にもおすすめです。

日本ソムリエ協会で取得できるソムリエ資格

ワインのプロ、ソムリエになりたい!

受験資格は、20歳以上で通算3年以上(ソムリエ協会会員は2年以上)アルコール飲料に関する業務に従事していることが条件です。
具体的には、レストランスタッフ(調理師を含む)、ワインショップスタッフ、ワインインポーター、ワインセミナー講師、ワインコンサルタントなども含みます。

また飛行機の客室乗務員もワインを提供する機会があることから、受験資格を有しています。

2015年までショップスタッフやインポーター、講師などには「ワインアドバイザー」の呼称を認定してきました。

しかし、実質の仕事は世界的に見ると同じ内容であることから、2016年からは「ソムリエ」の呼称に統一されました。

受験の流れは以下の通りです。(2020年3月時点)

第一次試験(7~8月):筆記(選択方式)
第二次試験(10月):テイスティング、論述試験(第三次試験として審査される)
第三次試験(11月):サービス実技

ワインのプロ、ソムリエになりたい!

第一次試験は、受験したその場で合否結果が分かる「CBT方式」で行われます。事前に都合の良い日時や試験会場を自身で予約し、会場で用意されたパソコンを利用して回答する方式です。

申し込み時に、第一次試験のみ複数回分(最大2回まで)を一度に申し込むことができます。仮に1回目の受験で合格できなかったとしても、2回分申し込んだ人は期間内に再び第一次試験へ挑むことができる仕組みです。

注意しなければならないのは、ソムリエ試験で第二次試験免除となっている人です。第二次試験内の論述問題は第三次試験の審査対象となるため、免除となっていても受験する必要があります。

第二次試験の日時には会場へ出向き、論述試験を受けることを忘れないよう注意してください。

試験内容は毎年刊行される日本ソムリエ協会教本に基づきます。ワインだけでなく日本酒やビール、スピリッツなどさまざまなアルコール飲料、またチーズや料理との相性などあらゆる知識が求められます。

過去3年間の合格率は次の通りです。

2017年23.5%、2018年26.5%、2019年29.8%

上記の受験資格に満たないワイン愛好家は、「ワインエキスパート」という資格認定試験を受験することができます。

求められる知識内容はソムリエと変わらず、高度なものを要求されます。論述試験とサービス実技の試験はなく、第二次試験までで合否が確定されます。

シニアソムリエは名称変更に注意

ワインのエキスパートとして、「シニアソムリエ」という資格もあります。すでにソムリエもしくはワインアドバイザーに認定されている人で、通算10年以上アルコール飲料を取り扱う業務を経験していると受験資格が得られます。

従来は「シニアソムリエ」でしたが、2019年度からは「ソムリエ・エクセレンス」もしくは「ワインエキスパート・エクセレンス」に名称が変更されました。試験は筆記・テイスティング・実技/小論文の3項目が行われます。

全日本ソムリエ連盟で取得できるソムリエ資格

ワインのプロ、ソムリエになりたい!

認定資格は「ワインコーディネーター/ソムリエ」があり、受験者が受験申し込み時に選びます。試験内容はどちらも変わりません。
20歳以上であれば誰でも受験することができ、アルコール飲料への職業従事経験は問われません。

取得までの流れは3つあります。

・通信コース:全三回の添削問題をクリアすると、試験はなく資格取得が可能
・受験コース(在宅受講):全講義をDVDで学習し、受講後1年以内に会場で受験
・受験コース(集中受講):会場にて2日間の受講と受験

生活スタイルにあったコースが用意され、いずれも専用の教本と独自のカリキュラムが用意されて合格まで導いてくれます。

カリキュラムの内容はワインの知識だけではありません。実際にワインをお求めのお客様にどうアプローチしていくのか、どのようにワインを保管するべきなのかといった、即実践できるワインを正しく取り扱う人材になることを目指した内容となっています。

ソムリエ資格を取得するメリット

ワインのプロ、ソムリエになりたい!

ソムリエの資格がなくてもワインを取り扱うお店で働くことができますが、ワインに関するお仕事に関わっている方は、ソムリエの資格を目指してみてはいかがでしょうか。

ソムリエの資格を持っていると、以下のようなメリットがあります。

・周りから信頼感を得られる
・ワインの知識が体系化され豊富になる

肩書きだけが大事ということではありませんが、ソムリエという資格を持つことで体系化された豊富な知識でお客様をもてなすことができるうえ、資格の有無がお客様やオーナーへ安心感を持ってもらえるきっかけにもなるでしょう。

ワインを取り扱うお店で働く場合、ワインの業務全般を任せてもらえる可能性も高まるでしょう。料理とのマリアージュを理解したうえで提供や仕入れができ、正しい品質管理でお客様満足度を高めることが出来ます。

ワイン関連の仕事を離れたとしても、ホームパーティーなどのワインを楽しむ場でソムリエの知識や技術が注目の的となること間違いなしです。

ソムリエ試験について興味がある、ソムリエ試験に合格したい!という方は以下の記事をご参考にしてみてください。

https://wine.sapporobeer.jp/article/sommelier_test_study_skills/

まとめ

以上、2つの団体をご紹介しました。同じくワインのソムリエと名乗ることを認定してくれる試験ですが、受験資格や試験内容には大きな違いがある印象です。
いずれにしても、資格取得を目標とすると勉強のモチベーションが上がるものです。ワインを体系的に深く知るきっかけとしてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。