近年は海外の有名ワインに負けずとも劣らない人気を誇る、日本ワインが多く生産されています。
その中でも、甲州ワインは長い歴史を持つ日本固有の品種から造られた、まさに日本を代表する存在です。
ここでは甲州ワインの歴史や魅力について、まとめています。おすすめの甲州ワイン情報もご紹介しているので、甲州ワインを選ぶときの参考にしてみてください。
目次
甲州ワインとは
甲州ワインの生産は、海外に比べると歴史が浅いようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
確かに、ワインとしての歴史は欧米諸国には叶いませんが、原料となるブドウの歴史から見てみると、意外にもその歩みは長いのです。
甲州ワインについて
甲州ワインに使用されているのは、甲州種というブドウです。甲州種はヨーロッパを起源とする日本固有の品種で、栽培の歴史は1000年を超えるといわれています。
シルクロードを通って、日本に伝来した甲州種。発見した人物については、行基(ぎょうき)説と雨宮 勘解由(あめみや かげゆ)説の2種類の逸話が現代まで伝わっています。
行基説は、718年、高僧行基の夢の中にブドウを持った薬師如来が現れたことがきっかけとされています。薬師如来の姿を木彫りにして安置した山梨県の柏尾山でブドウの樹を発見し、当時は薬草として村人たちに広まりました。
雨宮勘解由説は、1186年に山梨県 勝沼の山中にて他とは異なるブドウの樹を発見し、育てたものが発祥とされている説です。
どちらの説でも、舞台が甲州(山梨県)の勝沼となっている点は共通しています。
歴史
甲州ワインの生産が始まったのは、1870年のこと。当時は醸造技術が未熟だったために、最初のワイン製造はわずか2年で早々にとん挫してしまいました。1877年には大日本葡萄酒会社が設立され、技術を学ぶために2人の日本人が本場フランスへ旅立ちました。
それから絶えず研究を重ねた結果、2010年にはワインの国際的審査機関「OIV」に甲州ワインが登録されるほどにまで成長しました。
以来、甲州ワインは世界でも注目されるようになり、日本国内のコンクールだけではなく、イギリスなど海外でも毎年のように高評価を得ており、今後も多くの受賞が期待できるワインです。
甲州ワインの特長
その名のとおり、甲州(山梨県)から広まった甲州種は、現在もなお山梨県が栽培面積1位を維持。果物王国でもある山梨県は日照量が多く、あらゆるフルーツの栽培に適しています。カビや雨に弱い甲州種を育てるのにも、好条件な環境です。
太陽光をたっぷりと浴びて育った甲州種は、生食用としても利用されます。種の周りに強い酸味があるため、現地では種ごと飲み込むのが一般的です。甲州種の果皮は淡い紫色をしており、白ワインの原材料として使われます。
甲州ワインの香り・味わい
甲州種のブドウはもともと糖度が上がりにくい品種であったため、多くの醸造家がワインの品質を上げるために補糖を行わなくてはなりませんでした。近年は栽培技術の進歩によって糖度の高いブドウが育つようになり、品質が良く糖度も高い甲州ワインが流通するようになりました。
甲州ワインは甘口の味わいが主流でしたが、近年は辛口のほうが多く造られています。無発泡のスティルワインの他、スパークリングワインなどもあり、バリエーションを楽しむことができます。
甲州種の特長は、フレッシュで爽やかな和柑橘系の香りにあります。酸味は上品で穏やかなため飲みやすく、スッキリとした味わいです。香りには梨のニュアンスもあり、瑞々しく繊細な印象です。
甲州ワインの製法
甲州ワインは、さまざまな製法で造られています。多岐にわたる製法も特長のひとつで、主に以下の4つの製法があげられます。
■シュール・リー製法
シャンパーニュやロワーヌなどフランスの産地で採用されていることの多い製法です。樽に沈殿した澱を取り除かず、一定期間ワインと接触させ、澱による複雑味やうま味を加えます。甲州ワインでは辛口タイプの生産で多く採用されています。
後述する瓶内二次発酵でも瓶の中で同じくシュール・リーが行われており、産地やワインによっては法律で最低熟成期間が決められているものも珍しくありません。
■スキンコンタクト
果皮を果汁に長く浸漬させて果皮の成分を多く抽出させる、白ワインの製法のひとつです。一般的な白ワインの製法はブドウの破砕・圧搾後に果皮と果汁を分けますが、スキンコンタクトは果皮と長く接触させるため、ポリフェノールなどが多く含まれます。
甲州種は皮が厚く果皮由来の成分を多く含んでおり、しっかりと抽出するためにはスキンコンタクトが適した製法です。
■樽熟
小樽で熟成させる製法が、樽熟と呼ばれます。バニラ香など樽由来の香りが加わり、複雑味を感じるワインに仕上がることが魅力です。
樽で発酵させた後に継続して熟成させる方法や、先にステンレスタンクで発酵させてから移し替えて樽で熟成させる方法など、生産者によってさまざまなスタイルがあります。
■瓶内二次発酵(スパークリングワイン)
スパークリングワインの場合に、用いられる製法です。スパークリングワインの製造には他にも後から炭酸ガスを吹き込む方法やステンレスタンク内で発酵させる方法があり、それらに比べると瓶内二次発酵は手間がかかります。
その名のとおり、瓶詰めした後に酵母のはたらきを利用して二次発酵させるスタイルで、本格的な製法で造られたスパークリングタイプの甲州ワインは世界的にも高い評価を得ています。
甲州ワインに合う料理
甲州ワインはフレッシュな味わいが特長のため、こってりとした味付けよりも淡泊な味わいの料理によく合います。外国の料理と合わせるのも素敵ですが、ワイン好きとしてはやはり定番の「ワインの産地と同じ国の料理とマリアージュ」を試したいですね。
繊細な味付けが多い和食は、甲州ワインが持つ和柑橘の香りに最適です。出汁を思わせるニュアンスもあるため、たとえば京料理など出汁文化が生み出した味付けと合わせてみてはいかがでしょうか。
素材の味を邪魔しないため、魚介類の刺身や寿司にもおすすめです。薄い味の出汁や醤油を使った煮物とも、互いの魅力を引き立て合う組み合わせです。
■おすすめレシピ
甲州ワインとの相性ぴったりな料理を2品ご紹介します。どちらもディナーの一品としてはもちろん、ホームパーティーでも活躍する料理です。ぜひ家族との団らんやパーティーで甲州ワインとともに楽しんでみてください。
・あじの干物スパゲッティ
たらこパスタが実証しているように、意外と和風の食材とパスタは相性抜群です。あじの干物も、ひと手間かけることで臭みのない美味しいスパゲッティに大変身します。
基本的な手順は、以下のとおりです。
1.あじの干物をグリルでしっかりと焼く
2.粗熱をとり、骨と皮を外して身をほぐす
3.トマトのヘタを取り、1cm角に切る
4.パスタをゆでておく
5.オリーブオイルでにんにくを炒める
6.干物・トマト・ケッパー・パセリの順に入れ炒める
7.スパゲッティを加えてさらに炒める
8.粗びき黒コショウ・チャイブを散らして完成
詳しい作り方と材料の分量(2人分)は、詳細ページで作り方の写真とともにご紹介しています。チャイブは無理に用意せずとも、あさつきで代用可能です。
https://www.sapporobeer.jp/feature/recipe/0000001268/
・鯛と帆立のセビーチェ
セビーチェとは、ペルーやメキシコなど南国で愛される魚介のマリネです。手軽で作れるうえ、さっぱりとした味わいは日本人の口にもよく合います。
作り方の手順は、以下のとおりです。
1.トマトはヘタ・種を取り5mm角に切る
2.しし唐辛子を輪切りにする
3.玉ねぎはみじん切りにし、塩・砂糖でしんなりさせる
4.鯛をそぎ切りにし、帆立は半分に切る
5.ボウルに材料すべてを入れ、レモン果汁をかける
6.塩を加えてよく混ぜ合わせる
7.冷蔵庫で10分以上置く
写真つきの詳しい作り方と材料の分量(2人分)は、こちらの詳細ページにてご紹介しています。
https://www.sapporobeer.jp/feature/recipe/0000001627/
ここでは鯛と帆立のレシピをご紹介していますが、他にもタコやむきエビなど、さまざまな魚介類で作ることができます。ぜひお好みの組み合わせを見つけてみてください。
おすすめの甲州ワインを紹介
1000年以上も昔から日本に根付いている甲州種を、磨き上げられた技術で世界レベルのワインへ。山梨県を中心に今や多くの甲州ワインが生産されていますが、その分、どれから試してみれば良いのか迷ってしまいますよね。
最後におすすめの甲州ワインを、日本ワイン「グランポレール」からご紹介します。国内のみならず海外でも毎年多くの賞を獲得している、間違いなしのブランドです。
グランポレールの受賞歴について詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.sapporobeer.jp/wine/gp/award/
グランポレールの紹介
グランポレールは、フランス語の『偉大さ(グラン)』と『北極星(ポレール)』を合わせて名付けられました。ラベルにはどの星よりも眩い北極星があしらわれ、グランポレールこそが日本ワインの星であることを示しています。
数あるグランポレールシリーズの中でも、今回は以下の3ボトルをピックアップしました。
・グランポレール 山梨甲州〈樽発酵〉 (参考小売価格:税抜2,500円)
http://www.sapporobeer.jp/product/wine/LD04/
甲州種のブドウが発見されたと伝わる、勝沼で造られたワインです。
甲州種の華やかですっきりとした味わいに、樽発酵ゆえの奥深さが加わった1本。辛口で酸味をしっかり感じられる一方で、果実由来のほのかな甘みが優しく舌に残ります。
おすすめの料理は天ぷらです。
塩を少しつけて、素材本来の味を楽しむときにぴったり。
購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
・グランポレール 甲州 辛口(小売価格:税抜1,800円)
http://www.sapporobeer.jp/product/wine/MF53/
澱引きしないまま熟成するシュール・リーで、発酵後もじっくり味わいを深めていった1本。辛口ゆえのキレに、熟成後のコクがバランス良く含まれています。
低温でじっくりと発酵させたブドウ果汁によるフルーティーな香りと、飲み口をスッと爽やかにする適度な酸味が特長的です。
合わせるなら、白身魚の刺身や寿司など、あっさりした料理がおすすめです。
購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
・グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 泉‐SEN‐
(参考小売価格:税抜1,500円)
http://www.sapporobeer.jp/product/wine/PZ69/
山梨県産の甲州種に、岡山県産のマスカット・オブ・アレキサンドリアをブレンドした、やや辛口のワインです。
爽やかな酸味と香りの中に、ちょっとした渋みのアクセントが大人な味わいを演出します。気取らない、日常使いにぴったり。
基本的に日本の食卓向けなので、あらゆる料理とのマリアージュを楽しめます。
購入はこちらから(外部サイトにリンクします)
※ワインについては、記事掲載時点での情報です。
まとめ
日本ワインを語るうえで、甲州ワインは外せません。シルクロードを渡って伝来したとされる甲州種のブドウは、1000年以上もの歴史を持っています。
本格的に日本ワインとしての生産に成功し、世界的に注目を集めるようになったのは近年ですが、既に多くのコンクールで受賞を重ねている、今後も期待大のワインです。
こちらでご紹介したグランポレールをきっかけに、ぜひさまざまな甲州ワインを楽しんでみてください。
おすすめの甲州ワインの購入はこちらから
ご紹介ブランドの購入はこちらから(外部サイトにリンクします)