ニュースリリース

世界初、乳酸菌から分泌される「ポリリン酸」に プロバイオティクス効果を発見

~サッポロビール、旭川医科大との共同研究で~

2011年09月05日

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 サッポロビール㈱は、「さっぽろバイオクラスター“BIO‐S“※1」(事務局:公益財団法人 北海道科学技術総合振興センター)を通じて、旭川医科大学医学部の高後裕教授と共同研究を行い、乳酸菌が分泌する「ポリリン酸」にプロバイオティクス効果があることを世界で初めて突き止めました。
 今回の発見により、「ポリリン酸」は乳酸菌体内にて生産されるので、乳酸菌が腸まで届く前に死滅しても、残存する「ポリリン酸」によってプロバイオティクス効果が期待できることがわかりました(模式図1)。
 「プロバイオティクス」効果とは、腸内バクテリアの排除、免疫力の亢進、腸の「バリア機能※2」向上などをさし、「善玉菌」と呼ばれる乳酸菌はこの効果があるといわれています。日本におけるプロバイオティクス乳酸菌を用いた研究開発では、ヒトの腸内での乳酸菌の付着、増殖を目的とした研究が進んでいました。サッポロビールと旭川医科大の研究グループは、サッポロビールが開発した「乳酸菌SBL88※3」由来の機能活性物質が腸管上皮の「バリア機能」を高めることを見出し、この活性成分を探索してきました。この結果、乳酸菌から分泌される「ポリリン酸」が大腸細胞表面に作用し、痛んだ細胞を保護するという特性を発見しました。「ポリリン酸」は、腸管上皮に発現している「インテグリンβ1」という細胞表面タンパク質を介して、腸のバリア機能を高めることが考えられます。
 研究グループの成果として具体的には,酸化ストレスによる腸管バリア機能の障害に対して,ポリリン酸は強い予防・改善効果を発揮することが,マウス正常腸管を用いた実験から証明され,ポリリン酸には様々な外的ストレスに対する腸管保護作用の可能性があることがわかりました。さらに、人工的に腸炎を発生させたマウス腸炎モデルに10μgのポリリン酸を注腸投与することにより,腸管障害および出血の予防・軽減効果が認められました。
 なお、本研究成果は米科学誌「プロスワン」(電子版)に8月15日(月)に掲載されました。
 研究チームでは、「ポリリン酸」を体内で多く産出する乳酸菌の開発も進めています。今後は、研究成果をサッポログループ全体での商品開発につなげ、健康食品市場において新たな提案を繋げたいと考えています。

※1:「さっぽろバイオクラスター“BIO‐S“」(事務局:公益財団法人 北海道科学技術総合振興センター)
 文部科学省「知的クラスター創成事業(現::地域イノベーション戦略支援プログラム)」のひとつとして、2007年からスタートした産学官連携プロジェクト。BIO‐Sとは、Biocluster for Success from Science at Sapporoという事業スローガンに由来。当該事業では、既存の医薬品、機能性食品、サプリメントのカテゴリーにとらわれず新たに開発する新素材のメリットを複合的に活用して製品化することを目指す。

※2:「バリア機能」
バリア機能とは、有害物質や病原菌等による上皮細胞の損傷の回復力を高めることで、ストレスなどによる腸へのダメージを緩和させる機能である。ヒトの腸は食物の消化・吸収に働くと同時に、口から入り込んだ有害物質や病原菌などの攻撃から体を守る最前線の防御機構としての役割を担っている。すなわち、正常の腸細胞は強いスクラムを組むことで城壁のような構造をとり、有害物質や病原菌の侵入を遮断している(これを「バリア機能」という)。また、このバリア機能や攻撃を受けた細胞の修復機能は、腸内に生息するたくさんの細菌群(これを腸内細菌叢という)との共同作業により成り立っている。

※3:「乳酸菌SBL88」
 サッポロ社独自の乳酸菌バンクから探索された生理活性の強い乳酸菌(普通の乳酸菌と比べ乾燥や低栄養などに強い、栄養の少ない環境でも生存可能)。これまでに、抗アレルギー性体質改善機能を持つことが明らかとなっている。

【模式図1】「ポリリン酸」によるプロバイオティクス効果
模式図につきましては、添付のPDFをご覧ください。

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