外国人との正しい付き合い方
東京労働局高齢化や人口減少に直面する日本の飲食店にとって、いま大きな問題となっているのが人手不足。その解決策となるのが、外国人労働者の雇用です。今回は、そうした外国人アルバイトの採用時に覚えておきたいルールや留意点に加え、引き続き増加が予想される、日本を訪れる外国人のお客様への対応のポイントをご紹介します!
外国人労働者の戦力化を
東京労働局が発表した2019年11月の求人・求職バランスシートを見ると、飲食物管理の求人倍率は7.47倍、接客・給仕の仕事の求人倍率は8.67倍にもなっています。これは一人を採用するのに7~9社のライバル店舗が存在するということ。つまり現在はパートやアルバイトの採用自体が非常に困難な状況にあるのです。そうしたなか、2019年4月に改正出入国管理法が施行され、日本で働く外国人の受け入れ枠が広がりました。
2009年には東京都で働く人の50人に1人だった外国人労働者も、ここ最近では18人に1人にまで増えたとされています。法改正や人手不足などの状況もあり、今後は飲食店も益々外国人労働者への依存度が高まっていくはず。まだ外国人アルバイトを採用していないお店も、いまからしっかり準備をして、外国人アルバイトの確保・戦力化に努める必要があるのではないでしょうか。
外国人スタッフの採用
外国人スタッフを採用するには、主に以下のようなルールを遵守する必要があります。
雇い入れ・離職時
在留資格、資格外活動許可の有無などを確認し、ハローワークへ届け出る。
雇用管理
・公平な採用選考/国籍等での差別をしない。
・適正な労働条件の確保/賃金、労働時間など均等待遇、労働条件の明示。
・安全衛生の確保/安全教育の実施(災害時想定)、健康診断の実施。
外国人の雇用に関しては他にも様々なルールがあるので、まずは表1のチェックリストをチェック。詳細については、厚生労働省のホームページを参照してください。
外国人採用後の留意点
外国人スタッフの働きやすい環境を整え、早期の戦力化を図るためには、面談やハウスルールの整備、トレーニングなどが有効です。
受け入れ時面談
それぞれの国の習慣や宗教などに関して、譲れないことや配慮すべきことなどをきちんと聞き取っておきましょう。
ハウスルールの整備
日本の文化や風習、マナーなどの教育に加え、衛生面や接客対応、時間管理等の明確なハウスルールを整備し共有。説明の際は各国語での対応ができればベストです。
トレーニング
調理や接客などのトレーニングについては、写真や動画のマニュアルを準備。外国語のカードや字幕をつけるなど、こちらも各国語での対応がベストです。
既存スタッフの教育
既存の日本人スタッフに対して、各国の文化や風習、宗教観について事前に教育しておく。また、簡単な外国語の教育や定期的なコミュニケーション(親睦会等)の機会創出も効果的です。
訪日外国人客への対応
2019年の訪日外国人は過去最多の3188万人強。2020年にはそれを上回る外国人の訪日が予想されています。飲食店でもたとえば、各国語で簡単な挨拶ができるようトレーニングをしたり、中国の春節のような大型連休を把握しておいたり、あるいはクレジットカードだけでなく各国のキャッシュレス(アリペイやウィーチャットペイ等)に対応しておくことが重要です。
また、経済成長が著しいシンガポールやマレーシア、インドネシアなどの人に多いイスラム教の教えでは、ハラーム(不浄)とされるものを口にすることが禁じられています。そのため、飲食店でも豚肉が含まれていないかなど、ハラール(不浄じゃない)対応のメニューかどうかを説明できるようにしておく必要があります。さらには、飲食物の店内持ち込みや喫煙等、禁止事項を各国語で明記した注意書きを準備して、予め想定できる様々なトラブルに備えておくことも大切。外国人のお客様に口頭で注意する際も、そうした注意書きを提示しながら丁寧な説明をするよう心がけましょう。
2020年以降も増え続けることが予想される外国人労働者と訪日外国人。高齢化や人口減少に直面する日本の飲食店にとっては、労働力としてもお客様としても外国人は不可欠です。お店でもいますぐ取り組みを始めて、人材確保や売上げアップを実現させてください。
※2020年rise春夏号より抜粋