(株)バリューボックスの1号店として2014年11月にオープンした魚島屋久茂地本店。独自ルートで仕入れる鮮度の高い魚介を商品力の要とし、圧倒的なお値打ちの名物メニューによってずば抜けた集客力を発揮している
カラン、カランと大きな鐘の音が鳴ると、「エイサー」というかけ声とともに客席に運ばれてくるのが、魚島屋の看板商品である桶刺し5品盛りだ。生の本マグロの大トロ、中トロ、赤身が4切れずつ、旬の鮮魚4種が2切れずつの計7種の刺身が桶の上に高々と盛られているが、これで価格は999円。
目玉商品はこれだけではない。客席で焼き上げる活蝦夷あわびの踊り炉端焼きは350円、長さ40cmはあろうかというビッグサイズの北海でかキンキは1280円など、メニューには驚きの価格の商品がずらりと並ぶ。
経営母体は魚島屋など海鮮居酒屋5店とラーメン店1店を沖縄県下に展開する(株)バリューボックス。屋良竜紀社長は前職で飲食企業の物流システムを構築した経験があり、独立するとまず2013年7月に鮮魚卸売店「丸辰鮮魚店」を那覇市内に開業した。そこで全国の漁協や漁師から鮮魚を直接仕入れる物流網を整備すると、魚島屋久茂地本店を2014年11月にオープンしたのである。
それまで沖縄には本マグロを売りにしたお店がほとんどなかった。そこで本マグロの刺身を魚島屋の看板商品に据えたが、「お客様には名物商品を必ず注文してもらいたいため、破格の値付けを打ち出しました」と店長の神田裕仁さんは価格設定の狙いについて説明する。
丸辰鮮魚店は沖縄産のやんばる地鶏や北海道産和牛のもとぶ牛など鮮魚以外の仕入れも手がけ、魚島屋でもそれらを使用した肉料理、野菜料理、豆腐料理など幅広い商品を揃える。
2017年秋季に新たにメニューに加えた朝〆山やん原ばる鶏皮巻一本串190円はやんばる地鶏のモモ肉を皮で巻いて串に刺した手の込んだ焼鳥。トロトロ島豆腐厚揚げ490円は地元の老舗豆腐店から仕入れる島豆腐を独自の調理方法で表面をサクサクに揚げた一品。調理を一工夫して素材の特性を引き立たせるなど、とことん商品力を磨きあげることにより、地元住民や観光客など多様な客層の支持を獲得している。
999 円という破格値を打ち出し、テーブルオーダー率がほぼ100%におよぶ看板商品。沖縄、高知、愛媛の各漁港から直送する生の本マグロの大トロ、中トロ、赤身の他、本日の鮮魚4種を盛り付ける。取材当日は北海道産の天然ブリと水ダコ、熊本産の真アジ、ザトウクジラ。マグロ以外の刺身も付加価値の高い鮮魚を使用している。
那覇市内に鮮魚卸売店「丸辰鮮魚店」を自社で運営。全国各地の25 カ所の漁港や漁師などと直接取引のルートを築くことにより、原価を抑えながら、鮮度の高い魚貝を仕入れている。
生の本マグロをたっぷりと盛った桶刺し5品盛り、アワビの踊り焼き、大ぶりなキンキの炉端焼きが名物商品。そこに単品原価率50%超を投じることによって圧倒的なお値打ちを打ち出している。
鮮魚以外にも地鶏や和牛、滋養卵など高品質な食材を使用。鶏モモ肉を皮で巻いて串打ちした焼鳥を新たに投入するなど、調理方法にもさまざまな工夫を施して商品力に磨きをかけている。
店名/本マグロ炉端劇場 魚島屋 久茂地本店
住所/沖縄県那覇市久茂地3-15-19
電話/098-869-7204
店舗規模/26坪38席
営業時間/17:00~25:00
定休日/無休
客単価/3500円
1日平均客数/40人