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食材探検隊

「だしの王様」の異名を持つ たもぎ茸。

 北海道や東北地方に自生するたもぎ茸。地元では「だしの王様」と言われるほど、旨みが詰まったキノコだ。ここ数年は機能性の高さも注目され、ヘルシー食材としてとくに女性から高い支持を集めている。

黄色く鮮やかなキノコ

 黄色の鮮やかな傘が印象的なたもぎ茸は、主に北海道や東北地方に自生するキノコ。そうした天然物はほとんどが地元で消費され、市場流通に乗ることはめったにないが、旨みがたっぷりと詰まったたもぎ茸は、地元では『だしの王様』として知る人ぞ知るキノコなのである。
「たもぎ茸はグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸といったうまみ成分をバランスよく含みます。複数のうまみ成分を掛け合わせると旨みの深みが増す。それが『だしの王様』と呼ばれる所以です」ときのこマイスターの露木 啓さんは説明する。
たもぎ茸は北海道ではよく知られたキノコで、スーパーマーケットの店頭に並ぶことも多い。「たもぎ茸は柔らかく、火の通りも早い。そのぶん手早くだしがとれますから、冬場は鍋の具材として活躍し、たもぎ茸のみそ汁が食卓に並ぶご家庭も多いようです」と露木さんは言う

たもぎ茸はヒラタケ科のキノコであり、天然物は初夏に旬を迎えます。さまざまなうまみ成分をバランスよく含んでいるのが特長で、複数のうまみ成分を掛け合わせると料理の旨みが深くなりますから、たもぎ茸は「だしの王様」とも言われています。また、抗酸化成分のエルゴチオネインを豊富に含んでいるため、とくに女性からの注目度が高まっているヘルシー食材でもあります。

人工栽培の技術開発

 天然のたもぎ茸は収穫量が少なく、収穫時期も旬の初夏に限定される。「だしの王様」でありながら、「幻のキノコ」とも言われたたもぎ茸をより手軽に食べられるようにするため、1985年に人工栽培の技術開発に着手したのが北海道・南幌の㈱スリービーだ。
「キノコは菌を培養して栽培するわけですが、同じ菌を培養するにもかかわらず、たもぎ茸は生育のスピードに個体差が大きい。サイズが揃ったたもぎ茸を生産するのは相応の手間がかかりますから、大量生産にあまり向かないキノコなんです」と同社の石田真己社長は説明する。
人工栽培の技術が確立され、北海道内でたもぎ茸は通年流通するようになった。また、同社は給食用のたもぎ茸製品も手がけ、道内の小学校、中学校では多くの子供たちが給食でたもぎ茸を味わっている。

機能性に注目が集まる

 旨みに秀でるたもぎ茸だが、ここ数年はその機能性にも注目が集まっている。「たもぎ茸に含まれるエルゴチオネインは活性酸素の働きを抑える抗酸化成分。免疫力アップの効果を期待できるβ グルカンも豊富なため、ヘルシー食材としてとくに女性から支持されています」と露木さんは説明する。
エルゴチオネインは水溶性で水に溶け出しやすいが、「そういった点でも煮汁も一緒に味わう鍋やみそ汁はたもぎ茸にぴったりの料理」(露木さん)といえよう。お勧めレシピにはそうしたたもぎ茸の特長を活かしており、商品開発のヒントとしてお役立ていただきたい。

  • 天然のたもぎ茸の写真。北海道は主に南部、東部に自生する。
  • スリービーがたもぎ茸の栽培で使用している種菌。
  • 刈り取り直前のたもぎ茸。芽出しから7~ 10 日間ほどで収穫に適したサイズに生長する。
  • 芽出しから1日後。
  • 芽出しから5日後。
  • エゾカラマツを詰めた瓶に種菌を植え付け、およそ10 日間かけて菌を培養する。写真左は植え付け直後、同右は植え付け10 日後の瓶。
  • たもぎ茸は育成のスピードに個体差があるため、手作業で瓶を入れ替えてたもぎ茸のサイズを揃える。 
  • 適切なサイズに生長したたもぎ茸は刈り取り機にかけ、パック詰めする。
  • 全国的にはまだ知名度が低いたもぎ茸ですが、旨みが濃く、栄養価も高いため、飲食店様の料理にもいろいろと活用できる食材だと思います。北海道にはさまざまな名産品がありますが、多くの人にその魅力を知っていただくことで、北海道の名産品のひとつにすることをめざしています。
    (株)スリービー代表取締役社長石田真己さん
  • 北海道の中部に位置し、札幌市に近接する南幌町は、約81.5㎢の総面積のうち、65%以上を農地面積で占める農業の街だ。千歳川、夕張川、旧夕張川に囲まれ、3つの川によってもたらされる肥沃な土壌を利用した米や小麦などの栽培が活発に行われている。米の主要銘柄はきらら397、ななつぼしなど。キャベツも南幌の特産品のひとつで、2016年からは街の飲食店や直売店などが参加する「なんと!キャベ博スタンプラリー」を開催している。
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