創業60年を超える大阪おでん店の老舗として知られる「ひとくち」。おでんと土手焼、大阪庶民の定番料理2つを看板商品に据えつつ、一品料理も充実させて長年通う常連客だけでなく、接待需要も吸収している。
看板商品のおでんは大根250円や竹輪200円など27品を150~800円でラインアップ。湯葉やまぐろねぎま各350円といった近畿地方特有のおでんダネも人気だが、タネにカレー粉を加えてオリジナリティを打ち出したロールキャベツ350円も常連客からの注文が多い売れ筋商品のひとつだ。
おでん出汁のベースは花かつおと真昆布でとった出汁と鶏ガラを炊いてとった出汁を合わせたもの。ここに前日に使用した出汁をていねいに漉したものを少量加える。伝統の出汁を"隠し味"とすることでフレッシュで澄んだ上品さと奥行きのあるコクを併せもった風味に仕上げている。
「お客様はひとくちの味を求めていらっしゃいますから、具材もレシピも先代から受け継いだまま変わらぬ味を提供するよう努めています」と二代目店主の常廣尚平さん。
一品料理の充実ぶりも見逃せない。刺身はタイやマグロなど5~6種を日替わりで揃え、天ぷらは海老やアナゴ、焼き物は、肉では但馬地鶏や和牛、魚ではキンキやノドグロと、高品質なアイテムがズラリと並ぶ。こうした一品料理が品質本位をアピールする役割を担い、外食経験が豊富なお客様にも選ばれるお店となっている。
お客様の大半がファーストドリンクに注文するというビールにはヱビスの樽生650円、中瓶620円を用意。これに夏季はヱビスマイスター700円、冬季はヱビス スタウト クリーミートップ650円を用意して季節感を打ち出している。この他、常廣さんがセレクトする日本酒20種前後を500~1500円の価格レンジで揃えており、注文を伸ばしている点も見逃せない
創業当時からの面影を色濃く残すレトロな佇まいも魅力の一つだ。1階は1人客も気軽に利用しやすいカウンター席とテーブル席だが、2階は畳敷きながら座面の低い椅子とテーブルを配した個室4室を設えており、接待利用のお客様を獲得。
また長年通う常連客や親、子、孫の三世代で利用するお客様も多い。「前回来店時に伺った会話の内容を忘れないようにするなど、お客様との距離の近い接客を心がけています」と常廣さんは語る。
おでんと土手焼、大阪庶民の定番料理2つを看板商品に据えており、大半のお客様が両方を注文する。名物 土手焼380円は和牛すじとこんにゃくを各1本のセットで提供。白味噌をベースにした大阪伝統の調味を踏襲しながら、後味の軽い上品な甘口に仕上げているのがひとくちの持ち味。牛すじはプリプリとしながら柔らかく、こんにゃくは絶妙な味の染みこみ具合に仕上げている。
大阪庶民の定番料理であるおでんと土手焼を看板商品に据えて気軽に通えるお店を演出。おでんの出汁、土手焼の味噌ともあっさりした上品な味を追求している。
一品料理ではタイやマグロの刺身、アナゴや海老の天ぷらといった高品質なおもてなし料理を揃える。2階に個室もあることから接待で利用するお客様も多い。
1955 年の創業から60年を経た今も当時の佇まいを残し、趣ある雰囲気を醸している。これが長年通う常連客の愛着にも繋がっている。
店名/ひとくち
住所/大阪市北区西天満4-5-25
電話/06-6361-9048
店舗規模/90坪60席
営業時間/17:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日/土・日曜日、祝日
客単価/5000円
1日平均客数/30人