2017年度に創業99周年を迎えるクオリム㈱は、佐世保市内に独自性の高い飲食店5店を展開。その3号店に当たる「ささの離」は割烹の機能を付加した居酒屋として、とりわけ年配のお客様から厚い支持を獲得している。
「庶民の料亭」を標榜する居酒屋「ささいずみ」、九州の日本酒に特化した立ち飲み酒場「注し連め蔵ぞう」、鮮魚料理がフードの柱である洋風居酒屋「Flattoriatita」。
1918年に酒販店「酒見商店」として創業したクオリム㈱は、2008年に飲食店の多店舗展開に乗り出すと、独自性の高い業態で出店を進め、現在は長崎・佐世保で飲食店5店を展開する。
「ちょっと贅沢なささいずみ」をコンセプトとし、同社の3号店として2010年9月にオープンしたのが「ささの離」だ。両店とも活魚が売りだが、客単価はささいずみが3700円、ささの離が4200円。ささの離は路地裏の隠れ家的な立地にお店を構え、客席は個室が中心。フードも付加価値の高い商品を幅広く揃え、料亭としての機能を強化することで、接待や“小バレ”のニーズなどささいずみが摑みきれていなかった利用動機を吸収している。
フードは活造り、さしみ、寿司、肉、即肴などのカテゴリー別に約120 品を揃える。看板商品である活造りは、佐世保で通年にわたって水揚げされるカワハギ、サバ、アジ、イカを中心に活魚7~8種を常備。活魚は仕入れが不安定になりがちだが、同社は自社トラックで平戸、生月、舘浦といった近隣の漁港を巡り、漁船と直接取引きするなど、活魚を安定供給する仕入れルートを構築している。
長崎で水揚げされる本マグロやアナゴなどの鮮魚類、長崎産の和牛、長崎県川棚町で生産される「野中のたまご」などフードには地場食材を積極的に活用。その上で「高い調理技術を持った料理人が手間をかけて高品質を追求しています」と代表取締役社長の酒見慎一朗さんは言う。
たとえば、エソとアジのすり身を使った「すり身揚げ」は佐世保では馴染みの料理。ささの離、ささいずみ、注連蔵の3店でもすり身揚げをメニューに加えているが、レシピは店ごとに異なる。各店の料理長が考案した独自の配合比率で毎日すり身を混ぜ合わせ、注文ごとに調理して揚げたての商品を提供している。
ささの離は年配のお客様をメインターゲットにしており、来店客の主要年齢層は40~60代。「年配の方は飲食経験が豊富で、ニーズも幅広くなります。そのため、サービス面ではあえてマニュアルを設けず、お客様一人ひとりのご要望に臨機応変に対応できるようにしています」と酒見社長は言う。
佐世保では祝い事で食されることが多い鯛しゃぶ。地元で水揚げされた活の真鯛を身は造りにし、アラはだしに使用。造りを鯛の旨みが染み出しただしにくぐらせ、柚子の名産地である土佐の柚子ぽんにつけて食べる。価格は7500円(4~5人前)で、要予約。
生け簀に泳ぐ活魚が売り。毎朝、自社トラックが近隣の漁港を巡って漁船などから直接活魚を仕入れ、活魚7~8種、活のエビやアワビなど7~8種を揃える。
活魚、鮮魚の他にも長崎和牛や「野中のたまご」といった地場食材を積極的に活用。地場食材を柱にしながら幅広い商品を揃え、多様な客層のニーズに対応する。
地元で馴染みの料理であるすり身揚げは、お店独自の配合ですり身を合わせ、注文ごとに調理。枝豆豆富もお店で仕込むなど、徹底した手づくりで品質を追求。
店名/ささの離
住所/長崎県佐世保市塩浜町3-10 1・2F
電話/0956-23-3933
店舗規模/64坪120席
営業時間/17:00~23:00(22:10L.O.)
定休日/火曜日
客単価/4200円
1日平均客数/120人