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利益を生む収支計画

繁盛店のように見えて利益を出せずに撤退するお店がある一方で、それほど繁盛していないように見えて、きちんと利益を出して長く続くお店も。この両者にある大きな違いは、正しい収支計画です。健全な経営のカギを握る二つの経費、固定費と変動費を理解して、継続的に利益を出せる正しい収支計画の立案を目指しましょう!

固定費と変動費

Q固定費と変動費とは?
 お店には売上が0円でも必ずかかる経費(固定費)と、それ以外の経費(変動費)があります。金額が大きくなればなるほどお店の赤字リスクが高まる固定費の中でも、構成比が大きいのは家賃、社員人件費、減価償却費、リース料など。対して、代表的な変動費は原価(原材料費)、パート・アルバイトの人件費、水光熱費、クレジットの手数料、消耗品などです。
Q固定費と変動費の仕分けは?
 まずは、お店の1カ月の損益計算書(収支実績)を勘定科目(費用の項目)ごとに、固定費と変動費とに分けてみましょう。売上が0円でもかかる費用は固定費、それ以外は変動費としてください。分け終わったら固定費、変動費の合計金額を出しましょう(左頁の損益計算書サンプル参照)。
Q変動比率の求め方は?
 固定費は売上に関係なくかかる費用ですが、変動費は売上と連動してかかってくる経費です。この変動費の合計金額が売上に対して何% を占めているかが変動比率で、これは(変動費の合計金額÷売上)の式で求めることができます。
Q黒字確定金額の算出方法は?
 固定費と変動費率がわかれば、黒字確定金額(損益分岐点売上高)がわかります。損益分岐点売上高を求める計算式は、固定費÷(1-変動費率)。例えば月間の固定費合計金額が180万円、変動費率が50%の場合、このお店の損益分岐点売上高は360 万円となります。お店の営業日数が25日の場合、必要な売上は1日最低14万4千円。つまり、1日の平均売上が14万4千円に到達していなければ、固定費か変動費率を下げる必要があるわけです。
Q固定費を抑えるには?
 固定費が下がれば損益分岐点が必然的に下がるため、まずは固定費の金額を抑える努力や計画が必要です。難しいかもしれませんが、家賃交渉や作業の見直しによる省力化、月極め契約の見直しなどを検討してみましょう。
Q変動費を抑えるには?
 変動費を抑える方法としては、原価やパート・アルバイトの人件費コントロール、水光熱費の節約、その他消耗品等の節約などが挙げられます。原価についてはまずロス(廃棄)管理、ポーションコントロール、単価設定によってコントロールを行います。とはいえ、値段に見合わない単価設定を行うとお客様の支持が得られませんので品質、ボリューム、価格の設定は慎重に。相場感を見ながら行いましょう。パート・アルバイトの人件費コントロールについても、人員を抑えすぎるとお客様にご迷惑がかかり機会損失に繋がります。またスタッフへの負担が大きくなり離職にも繋がりますので、基準を持つことが重要です。水光熱費や消耗品についても、お客様にご迷惑のかからない範囲で節約しましょう。

利益を増やすために

Q利益を増やす方法は?
 「あと30万円利益が必要」という場合、固定費や変動費率を抑える、売上を増やすといった方法が考えられます。中でも固定費はダイレクトに利益に繋がりますので、固定費を30 万円削減すれば30万円利益が増えます。
Q売上や変動費で利益アップ?
 売上を増やす、変動費率を抑えるといった場合は、必要利益÷(1-変動比率)の計算式を使ってください。変動費率が50% の場合、30万円の利益を増やすなら、30万円÷(1-50%)で、60万円の売上が必要になることがわかります。変動費を抑えるなら、例えば原価率を5%コントロールすれば変動費率が45% になり、30万円の利益を増やすために必要な売上は、30万円÷(1-45%)で約55万円となります。
このように利益を増やすためには、固定費と変動費それぞれのコントロール、または売上向上で実現できます。お店の状況からどこをどうコントロールすべきか改めて考えてみましょう。
忙しいのに利益が思うように出ていない場合、まず固定費と変動費率を算出すること。損益分岐点売上高を算出して、どこに利益が出ない課題があるのか、今の客数をキープしながらどう利益を出していくのかといった、収支計画の見直しを行いましょう。もちろん、売上を最大化することと並行して行う必要がありますが、そもそも利益が出る収支計画になっているかを見極めることが重要です。

※2017年rise春号より抜粋

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