帝国データバンク、「TDB景気動向調査(全国)-2025年4月調査-」を公表
帝国データバンクは、全国 26,590 社を対象とした 2025 年 4 月の国内景気動向を調査・集計し、景気 DI として発表した。 4 月の景気 DI は、前月比 0.8 ポイント減の 42.7 と 2 ヶ月ぶりに悪化、コロナ禍の終盤にあたる 2023 年 2 月以来の水準まで低下した。国内景気は、「トランプ関税」による自社業績への影響や先行き不安から個人消費も伸び悩み、景況感が急速に冷え込んだ。
4 月は、トランプ関税の影響で金融市場が乱高下し、先行きへの警戒感が高まった。規模や業種・地域を問わず景況感が悪化し、特に自動車・鉄鋼関連では、輸出の停滞が目立った。海外経済の減速や税関手続きの混乱も重なり、荷動きは低調だった。個人消費の弱さや原材料価格の高止まりも逆風となった。他方、インバウンド需要は堅調を維持し、人手不足対応の業種は安定していた。
業界別では、 10 業界中 9 業界が悪化となった。トランプ関税に対する警戒感が強く表れ自動車関連を中心に幅広い業種で景況感を下押しした。加えて、原材料価格の高止まりや苦戦する人材確保などもマイナスに作用した。「小売」 (38.6) は、前年比 0.6pt 減と 3 ヶ月ぶりに悪化。「医薬品・日用雑貨品小売」 ( 同 5.2pt 減 ) や百貨店を含む「各種商品小売」 ( 同 3.5pt 減 ) は落ち込みが目立った。他方、「飲食料品小売」 ( 同 2.2pt 増 ) は値上げに伴う売上増は景況感を押し上げた。また、「サービス」 (48.4) は同 0.3pt 減と 4 ヶ月連続で悪化。そのような中、インバウンドが下支えする「旅館・ホテル」 ( 同 0.9pt 増 ) や、飲食機会の増加にともない好調さが表れた「飲食店」 ( 同 1.1pt 増 ) は 2 ヶ月連続で改善した。
地域別では、 10 地域中 9 地域が悪化し、「北海道」のみ改善した。都道府県別では 35 都府県で悪化した。トランプ関税に対する先行き不安が強まり、設備投資の慎重な動きや工事の中止・延期などが、地域の景況感を下押しした。
今後の国内景気は、トランプショックの影響を見極めながら、実質賃金の増加と個人消費の回復がカギとなる。米中など海外経済の減速や世界貿易量の縮小は輸出産業の下押し要因となり、為替動向、家計の節約志向も懸念材料だ。他方、インバウンドの継続、減税や物価高対策、大阪・関西万博、 IT 関連の設備投資が下支え要因となる。また、大型連休の旅行需要も注目される。世界経済の不確実性が高まるなか、国内景気は当面、弱含みで推移すると見込まれる。
記事配信・制作協力/外食ドットビズ
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