じゃらんリサーチセンター、「じゃらん宿泊旅行調査 2023」を発表

リクルートの観光に関する調査・研究、地域振興機関「じゃらんリサーチセンター(JRC)」は、全国15,572人の宿泊旅行者を対象に2022年度(2022年4月~2023年3月)の宿泊旅行実態を4月7日~4月21日期間で調査し、「じゃらん宿泊旅行調査 2023」として発表した。本調査は、観光などを目的とした宿泊を伴う国内旅行実態(出張・帰省・修学旅行などを除く)を調べるもので、今年で19回目となる。
■国内宿泊旅行を実施した人は44.2%、コロナ前の2018年度と比べて12ポイント差まで回復
2022年度の1年間に宿泊旅行を実施した18~79歳の割合は44.2%。2021年度より約10ポイント増加し、コロナ前の2018年度と比較すると、その差は12ポイントまで縮まった。実施者における年間平均旅行回数は2.88回と過去最高値、1回の旅行当たりの平均宿泊数は1.82泊であった。実宿泊旅行者数の推計値は4189万人、延べ宿泊旅行者数は1億2064万人回と3年ぶりに1億超え。延べ宿泊数は2億2049万人泊となり、2021年度比で45.7%増。3年ぶりの2億人泊超えとなり、2018年度と比較して▲16.5%まで持ち直した。性・年代別では若年層の回復が早く34歳以下の宿泊旅行実施率は5割以上だった。
■1回の宿泊旅行にかかった費用は平均62,400円で過去最高を記録
国内宿泊旅行にかけられた費用総額は、推計で7兆5296億円。2021年度比で60.8%増。2018年度比では▲12.9%まで回復した。1回の宿泊旅行にかかった費用は平均62,400円で過去最高値となった。内訳を見ると、宿泊・交通費が37,500円で2021年度より3,300円増加、現地消費額が24,900円で2,200円増加。特に個人旅行における増加が目立ち、総額では平均60,600円で2021年度から5,800円の増加、宿泊費は単価19,900円で、年々微増傾向にある。
■都道府県別の延べ宿泊旅行者数が多かったのは東京都・北海道・大阪府がトップ3
都道府県別の延べ宿泊旅行者数が最も多かったのは東京都、次いで2位に北海道。3位の大阪府は2021年度の倍近い旅行者数を獲得し2ランクアップ、4位の神奈川県、6位の京都府、10位の沖縄県など人気観光地を擁するエリアが順位を上げた。その他、5位静岡県、7位長野県、8位千葉県、9位福岡県がトップ10だった。大阪府と福岡県は2018年度比の増減率が10%未満で戻りが早い傾向がある。ブロック別では関東への増加が多いが、2018年度比でみると回復途上にあることが分かる。
また、都道府県別に増加率を比較してみると、宮崎県や佐賀県では2018年度を上回る結果となった。
■同行者別は「夫婦二人での旅行」、宿泊数は「1泊」がそれぞれトップ
2022年度に実施された国内宿泊旅行のうち、「夫婦二人での旅行」が25.0%。次いで「一人旅」が19.8%で続いた。「親連れ家族旅行」や「その他の家族旅行」「友人との旅行」などが微増しており、複数人旅行の回復傾向が見て取れる。宿泊数は平均1.82泊で2021年度と同程度だが、「1泊」の比率がやや減少し、「2泊」「3泊」が増加。9泊以上などの超ロングステイが減少したとみられる。
■宿泊のタイプは「1泊2食つき」は減少傾向、「素泊まり」が増加傾向
2022年度に実施された宿泊旅行の宿泊のタイプを尋ねたところ、「1泊2食つき」は全体の41.5%を占めた。しかしその割合は2020年度の53.9%から減少傾向にあり、「素泊まり」(27.3%)の割合が増加傾向にあることが分かる。個人旅行における宿の種別に傾向を見てみると、いずれの宿種においても「素泊まり」の割合は増加傾向にある。一方でシティホテル、リゾートホテル、旅館は宿泊費も増加する傾向にあり、食事のつかない「素泊まり」が増える中でも単価は上がり続けていることが見て取れる。ビジネスホテルだけは単価は据え置きに近い状態を保っている。
■費用に見合う顧客満足度を獲得し、業界の体質改善へ
JRC主席研究員の森戸香奈子氏は、『コロナ禍を乗り越え、国内旅行市場は順調に回復途上にあると言えます。旅行に行く人における平均回数は過去最高値を記録し、延べ宿泊数もコロナ前の2018年度の数値が見えてきました。他方、宿泊費においては、食事のつかない素泊まりが増える傾向が見られる一方で、増額傾向にあります。つまり宿泊単価は明確に上がり続けているわけですが、ここ数年の物価高も併せて考えると気になる傾向ではあります。業界における喫緊の問題である宿泊施設の人手不足を解消するためには、サービスの高付加価値化を実現し、従業員のサラリーへ還元していく必要がありますが、同時に高い顧客満足度を維持しなければなりません。金額に見合うサービスを提供し、お客さまの期待に応えることを忘れてはならないでしょう。』と解説した。
記事配信・制作協力/外食ドットビズ
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