5月の外食売上高、前年比67.8%とやや持ち直すも、2ヶ月連続の大幅減に
日本フードサービス協会(JF)は、会員企業(有効回収事業者数208社・店舗数38,059店)を対象とした2020年5月度の外食産業動向を発表した。なお、本調査は、新規店も含めた全店データを業界全体および業態別に集計し、前年同月比を算出したもの。
5月も、新型コロナウイルスの影響により深刻な事態が続いた。4月に全国に発令された「緊急事態宣言」は、5月14日には39県で解除されたものの、大阪圏は21日、東京圏は25日まで解除が延期されたことで、多くの外食店舗では営業時間の短縮や臨時休業が続いた。解除後も繁華街立地、夜の時間帯、休日等では客足の戻りは鈍く、5月の外食全体の売上は前年比67.8%と、4月よりいくぶん回復したものの大幅な減少となった。「持ち帰りの有無」と、「休業店舗の多少」が、業態間の明暗を分け、テイクアウトに強みのあるFFではむしろ好調なところのある一方で、休業せざるを得ず、持ち帰り対応に不向きな飲酒業態などは4月に続き、壊滅的な打撃を受けた。
全体および業態別概況は以下の通り。( )は、業態合計の対前年同月比
■全体 (売上高67.8%・店舗数98.6%・客数62.5%・客単価108.5%)
■ファーストフード業態(売上高90.7%・店舗数98.5%・客数73.9%・客単価122.6%)
4月に続き、商業施設立地の店舗では休業するところもあったが、多くは時間短縮の中で営業を続けた。FFでは特に洋風の「持ち帰り」需要が強みとなったほか、宣言解除後の店内飲食の回復もあり、全体売上は90.7%となった。
業種別の売上は、「洋風」は4月以上にデリバリーを含む持ち帰り需要が伸び110.9%と前年を大幅に上回った。「麺類」と「その他」は、引き続き商業施設立地店の休業などが影響し、それぞれ50.6%、78.8%となった。「和風」と「持ち帰り米飯・回転寿司」は、持ち帰り需要の下支えと、回転寿司の店内飲食の回復もあり、それぞれ84.8%、90.0%となった。
■ファミリーレストラン業態(売上高50.6%・店舗数99.4%・客数48.0%・客単価105.4%)
FRも、4月に続き、商業施設立地の店舗では休業したところもあったが、多くは時間を短縮して営業を続けた。宣言解除後の店内飲食が徐々に回復する中、引き続きテイクアウト、デリバリーの強化も行われ、売上回復に寄与したが、外出自粛や、営業時間短縮による落ち込みをカバーできず、全体売上は50.6%と前年を大幅に下回った。
業種別売上高は、テイクアウト・デリバリーを強化している「中華」や「洋風」は、4月より売上の減少幅が縮小し、それぞれ74.2%、48.1%。「和風」は、シニア層の顧客の戻りが鈍いこと等から40.5%。「焼肉」は、休業店舗が徐々に再開し50.9%にまで戻った。
■パブ/居酒屋業態 (売上高10.0%・店舗数95.7%・客数11.6%・客単価86.0%)
飲酒業態は、4月に続き多くの店舗が休業した。テイクアウトやランチ営業を行う店もあったが、それだけでは売上が立たず、また宣言解除後に店を再開しても、外出自粛が続く中、ほとんど集客できない店もあり、「パブ・ビアホール」は、売上4.1%、「居酒屋」は、11.5%と前月に引き続き壊滅的な状況となった。
■ディナーレストラン業態(売上高28.5%・店舗数97.0%・客数27.0%・客単価105.5%)
DRも、新しく取り組んだ高価格帯の弁当が好評で売上を下支えしたところもあったが、4月に続き休業する店舗が多く、売上は28.5%となった。
■喫茶業態 (売上高33.2%・店舗数99.8%・客数31.6%・客単価105.0%)
4月に続き、緊急事態宣言下の地域では休業する店舗が多く、宣言解除後もビジネス街立地では再開後の集客が振るわず、売上は33.2%となった。
記事配信/外食ドットビズ(2020/06/26)
制作協力/外食ドットビズ