熱戦! トワイライト・ゲームス
国内トップ選手が多数出場した
〝真夏の祭典〟をレポート

第15回トワイライト・ゲームスは7月28日(日)、神奈川県横浜市の慶應義塾大学日吉陸上競技場で開催された。関東学生陸上競技対校選手権大会(通称・関東インカレ)や日本選手権で上位に入った選手など、招待された選手だけが出場できるこの大会。午後3時30分スタートの大会名の通りの〝トワイライトゲーム〟はお祭りムードの様相を呈し、4種目で大会新記録が誕生するなど大盛り上がりで幕を閉じた。

男子やり投で小南が快投
自身2度目の〝大台乗せ〟となる81m11

男子やり投は日本のトップ選手が多数そろう豪華ラインナップで行われた。そんな中でひと際存在感を発揮したのが、6月末の日本選手権で3位だった小南拓人(筑波銀行)だ。1投目は71m58と失敗したものの、続く2投目に会心の投てき。「身体が開くことなく、変な力みもなく、きれいに押し出せた」というやりは、80mラインをわずかに越えて着地。日本歴代では7位のままだが、昨年9月の全日本実業団対抗選手権でマークした自己記録80m18を1m近く更新する81m11の大会新で優勝した。

「(競技前に)岡田先生(雅次/国士舘大学陸上競技部監督)から『力を抜いていけ』と言われ、いい感じにリラックスして臨めました」と振り返る小南。その後は69m09、ファウル、ファウルと不発だったものの、最終投てきでは77m98と再び盛り返し、修正能力の高さを見せた。

今後は8月下旬の韓国遠征と、9月1日に富士北麓陸上競技場(山梨)で開催される競技会に出場予定で、あと1m89と迫ったドーハ世界選手権の参加標準記録を狙うという。

「今日はいつもより助走路が短い中で81mを投げられた。スピードに乗った中で投げられれば83mは見えてくる」と小南。北海道・札幌第一高校時代にインターハイを制し、国士舘大学時代には日本学生対校選手権(通称・日本インカレ)で優勝を飾るなど世代のトップを走り続けてきた24歳が、初の世界選手権代表に意欲を見せた。

男子やり投で81m11の大会新記録を樹立して優勝した小南拓人(筑波銀行)

大学生の自己新相次ぐ
女子走高跳の竹内が1m78で殊勲のV

この大会は関東学生陸上競技連盟主催とあって、大学生が多数出場。蒸し暑く、風が強いコンディションにもかかわらず、自己ベストを更新する選手が続出した。
女子走高跳は竹内萌(大東文化大学3年)が1m78で優勝。5月の関東インカレで優勝した時に成功した自己記録1m77を1cm更新し、日本選手権2連覇(2017年、18年)の実績を誇る仲野春花(ニッパツ/1m75で2位)を破った。

1m78の自己新で女子走高跳を制した竹内萌(大東文化大学3年)

竹内は埼玉・熊谷荒川中3年時に全日本中学校選手権を制した逸材。本庄第一高校時代はたび重なるケガに苦しみ、高3のインターハイでは3位に食い込んだものの、高校卒業後は再びスランプに陥った。それでも、大学3年目を迎えた今季は3度も自己ベストを更新して勢いに乗っている。

女子走幅跳でも漁野理子(早稲田大学4年)が自己記録を7cm更新する6m12(+1.4)をマーク。最終6回目の試技で村上南帆(九州共立大学4年)が6m06(+0.5)でトップの漁野を逆転したが、その直後に漁野が再び首位を奪い返すドラマチックな展開だった。

豊田将樹(法政大学4年)が50秒15で優勝した男子400mハードルは、2位の高田一就(同)が50秒21、3位の川越広弥(城西大学4年)が50秒32と、ともに自己ベストを塗り替えた。特に高田は前日の2019オールスターナイト陸上(実業団・学生対抗)でも50秒25と、2夜連続の自己新。4年前の和歌山インターハイ優勝時の記録(50秒27)を4年ぶりに上回った。

最終6回目に6m12(+1.4)の自己新をマークして優勝した漁野理子(早稲田大学4年)

ほかにも女子400mでは上位を占めた学生3選手がそろって自己記録を更新。6月の日本学生個人選手権200mを制した宮園彩恵(国士舘大学4年)が54秒68で優勝し、中央大学のルーキー・大島愛梨が54秒77、5月の関東インカレでは予選落ちだった浜田真衣(立教大学3年)が55秒15と躍進した。

女子400mは上位3人が自己記録を塗り替える好レース。54秒68で宮園彩恵(国士舘大学4年、中央)が快勝した

世界選手権代表入りを目指す選手が多数出場
ウォルシュ、田中らが熱走

今大会の目玉として注目を集めたのが、今年の秋に開催されるドーハ世界選手権の代表入りを狙うトップ選手たちの熱演だ。男子400mでは日本選手権覇者のウォルシュ・ジュリアン(富士通)が45秒78の大会新で4連覇を達成。世界選手権の参加標準記録(45秒30)を破れば〝即内定〟となっただけに、フィニッシュ後はタイムを見てがっくりとうなだれた。レース後は「全体的にスピードが足りない」と反省点を挙げ、「あと1か月でみっちり鍛えていきたい」と代表入りに意欲を燃やした。

45秒78の大会新で4連覇を遂げた男子400mのウォルシュ・ジュリアン(富士通、右から2人目)

日本選手権優勝者では、男子やり投で日本歴代2位の86m83の記録を持つ新井涼平(スズキ浜松AC)が出場。日本選手権後に気管支炎を患い、「1週間ほど寝込んだ」影響があったのか、76m84で3位に終わった。今後は8月24日の東海選手権、9月1日に山梨県で実施する競技会で〝ラストチャンス〟に懸けるという。

女子1500mでは、5000mで世界選手権参加標準記録(15分22秒00)を突破している田中希実(豊田織機TC)が、大会記録を5年ぶりに1秒34更新する4分18秒52で貫録勝ち。女子最優秀選手に選出された。田中は今大会で2位に食い込んだチームメイトの後藤夢とともに、同志社大学に通いながら豊田自動織機のサポートを受けて競技を続けている。8月末までは「練習に専念する期間」とするそうで、代表選出の可能性が残る世界選手権については「出られたら自己新を狙いたい」と話した。

女子1500mは田中希実(豊田織機TC、手前)が大会新記録となる4分18秒52で貫録勝ち

男子走高跳は佐藤凌(東日印刷)が2m25で大会新V。日本選手権では3位だったが、7月上旬のポーランド遠征で自己ベストを2m27に伸ばし、好調を維持している。9月1日には山梨県での競技会で世界選手権の参加標準記録「2m30」を狙うという。

また、男子砲丸投では日本選手権で12回の優勝経験を誇る前日本記録保持者の畑瀨聡(群馬綜合ガードシステム)がシーズンベスト&年齢別日本最高の18m00で「V8」を達成。今年の12月で37歳を迎える大ベテランが、衰え知らずのパワーを炸裂させて会場を盛り上げた。

もともと2004年アテネ五輪に向けた「プレオリンピック・トライアル」として始まったトワイライト・ゲームス。国内の競技会では見られない演出と雰囲気で、これからも陸上競技の発展と普及に貢献してくれることだろう。

文/松永貴允
写真=月刊陸上競技/陸上競技社

大会MVPに選ばれた男子の小南(左)と女子の田中