「箱根駅伝への想いをつなぐ」インタビュー特集
箱根駅伝の歴史を伝える〝聖地〟のひとつ
箱根駅伝ミュージアム

ミュージアム館内を巡り、箱根駅伝の秘話や
世界へ羽ばたいた選手たちの経歴や思い出などを語り合う

柏原竜二さん(東洋大学OB・現 富士通)×勝俣真理子さん(箱根駅伝ミュージアム館長)

芦ノ湖畔、箱根駅伝往路のフィニッシュ地点、復路のスタート地点のすぐ横にある“箱根駅伝ミュージアム”。
ミュージアム内には、箱根駅伝の歴史を伝える数々の展示物があり、箱根駅伝ファンはもちろん、箱根の観光スポットとして多くの人々が訪れる〝聖地〟のひとつだ。
今回はそんな箱根駅伝ミュージアムに、東洋大学時代に5区で4年連続区間賞を獲得した柏原竜二さんが訪問。
柏原さんと勝俣館長が、ミュージアム内を巡りながら語り合った。

前編後編

箱根駅伝ミュージアムの誕生秘話

今や新春の風物詩となっている箱根駅伝。その大会の歴史を伝える箱根駅伝ミュージアムを運営しているのは、箱根を代表する老舗・富士屋ホテル株式会社だ。一見関わりのなさそうな2つの取り合わせ。一体なぜ?ミュージアム誕生の経緯を勝俣館長に尋ねてみた。

「もともと、ここには富士屋ホテルが営むレストランがありました。箱根駅伝往路のフィニッシュ地点に建物が隣接していたため、何か関連したものができないかということで、関東学生陸上競技連盟様にもご理解とご協力をいただき、2005年3月に箱根駅伝に関する展示物や資料を集めたミュージアムを開館することになったんです。2018年には来場者が年間7万人を超えるなど、多くの方にご来場いただいています。それこそ、柏原さんたちが走って5区の箱根の山上りが注目されるようになって、来場者数がぐーんと増えました。スター選手が生まれるとやはり違いますよね!」(館長)

箱根駅伝の誕生については、ヒストリーゾーンで詳しく確認できる。

大河ドラマ『いだてん』のモデル・金(かな)栗(くり)四三(しそう)らは、「オリンピックで活躍できる日本人マラソン選手の育成のためにアメリカ大陸横断駅伝を実現させよう」という構想があり、その予選会の位置付けで箱根駅伝が誕生した。有料ゾーン入口から続くヒストリーゾーンでは、1920年(大正9年)に開催された第1回大会から現在に至るまでの歴史がスペシャルダイジェストで、年表パネルでわかりやすく綴られている。

芸者衆が宮ノ下の富士屋ホテルの前で観戦する様子や、箱根の街並みの遍歴なども見られ、箱根駅伝の歴史と伝統の重みを感じられるエリアだ。また、第1回大会の早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、東京高等師範学校(現 筑波大学)の4校から始まり、順に参加校が増えていく様が頭上に飾られたタペストリーで表現されているなど、展示方法も工夫に富んでいる。

出場大学が着用するユニフォームの裏話~ユニフォーム展示コーナー~

ヒストリーゾーンを抜けると、出場大学のユニフォーム展示コーナーだ。前回大会(第95回大会)でシード権争いを制し、見事にシード権を獲得した10校のユニフォームとたすきが飾られているこのゾーンでは、すぐ間近にそれらを見ることができる。箱根駅伝ミュージアムでは、2005年から現在までの出場校のユニフォームを所蔵していて、それを毎年入れ替えながら展示しているそうだ。

「ユニフォームのデザインってちょくちょく変わるんですよ。デザインやロゴが変わるとその都度、大学側にご提供いただいて、最新のものを展示しています。実際に監督が持ってきてくださることもあります。選手にとってユニフォームとシューズは大事ですよね。柏原さんは、ユニフォームに対するこだわりはありましたか?」(館長)

「僕は5区を走るとき、いつも半袖Tシャツにアームウォーマーで、取り外しやすく、体温調節ができるように対策していました。小田原から箱根だと気温が5度ぐらい違います。冬の箱根なので半袖だと寒い。でも、長袖だとまくれない。雪が降った翌日に走って低体温症になってしまった選手もいます。僕は腕振りの感覚が変わってしまう気がして手袋はしなかったのですが、最初は良かったのにてっぺんぐらいには手がかじかんで痛かったこともありました。

また、ユニフォームやTシャツのデザインが変わっても、僕だけはこのTシャツで4年間いきたいからとわがままを言って、質感や生地を変えずに4年間着続けました。だから僕の場合、ユニフォームじゃなくてTシャツへのこだわりです(笑)。」(柏原)

箱根駅伝で履いた靴~柏原さんの並々ならぬこだわりとは~

ミュージアム内には、歴史を物語る展示物として、過去の名選手たちのユニフォームやシューズなどが陳列されている。2009年、1年生で出場した第85回箱根駅伝でチームを9位から往路優勝へと導き、鮮烈デビューを飾った柏原さんのシューズもあった。思い出の詰まったシューズを前に、熱いシューズ談義が続いた。

「実はこの靴は本番とその前、2回ぐらいしか履いてないそうで、すごく状態がいいんです(笑)。ずっと合宿所に飾ってあったものを優勝記念企画でお借りして、そのままこちらに寄贈していただきました。このシューズ、柏原さんが気に入っているところは?」(館長)

「この鉄紺色と〝東洋大学〟という刺繍を入れてもらったところでしょうか。今でこそ厚底シューズもありますけど、この時代、シューズで各メーカーさんが重視していたのが軽さです。刺繍ひとつにしても入れるか入れないか思案したものです。このシューズ、持ってみるとびっくりするぐらい軽いんですよ。」(柏原)

「柏原さんはずっとミズノさんのこのデザインだった? あんまり靴の色を変えている印象がないよね。」(館長)

「そうですね、試合の時はだいたいこの色で。僕はマメができやすいので、土踏まずのところに綿を詰めてもらって。ここだけ厚くなっています。土踏まずと外側がキュッとフィットするように。僕の足は1Eという人より足幅が細いサイズですが、それでもずれてマメができるので、1年ぐらいかけてミズノさんの担当さんとマメができる度にひたすらやりとりして試行錯誤の末にやっとできあがった靴です。とてもありがたいシューズで思い入れがあります。」(柏原)

「左右からクロスするように2本ラインを入れてもらって母指球にマメができないようにフィットさせてもらったり。クルーズソール(※)を勧められても僕はエキデンソール(※)の方が履きやすかったので、わがまま言って作ってもらったり。ミズノさんの凄さは、さらに靴底を何ミリ足してくださいというと細かく対応してくれました。海外メーカーだとそのまま履いてくださいとなりますけど、そこは日本のメーカーさんの技術力、強いところかなと思います。」(柏原)
※「クルーズソール」、「エキデンソール」は、ミズノ製品の種類を指す。

箱根駅伝ミュージアムについて:

住所・お問い合わせ先:

〒250-0521 神奈川県足柄下郡箱根町箱根167

TEL 0460-83-7511
FAX 0460-83-7511

開館時間

・平日:10:00~16:30
・土日祝:9:30~17:00
共に入館は閉館の30分前まで

休館日:無休

※冬期営業については直接お問い合わせください