インタビュー

生まれた時から、

“山”は身近なもの。

山大工/名越 康博 氏

「博多祇園山笠」、その祭のメインを飾るのは「山笠」と呼ばれる山車。町中を走り回る「舁き山笠」と飾ることを目的にされた高さのある「飾り山笠」の2種類がある。この山笠は、昔から山大工と呼ばれる地元の大工さん達が作っている。山笠の台座部分「山笠台」と呼ばれる部分の制作は「棒締めぼうじめ」と呼ばれ、山笠作りのメインイベントだ。

 

登場いただくのは、この山大工の名越なごし康博やすひろさんである。山笠は、30名を超える男たちによって担がれるので頑丈であるのはもちろん、速さが競われるので、各流かくながれで細かくカスタマイズされている。では、そんな山笠台がどのように作られるのかを伺ってみた。

― 小さいころからのご自身の山笠への関わり方をお聞かせください

うちは、もともと、爺さんの代から大工で、自分の誕生日も山(※彼らは山笠を親しみを込めて「山」と呼ぶ)の期間中の7月14日なので、生まれた時から、山は身近なものでした。今は東流ひがしながれ取締とりしまりという現場責任者もやっています

― この山笠はどのような過程で作られるのでしょうか?

博多どんたくが終わる頃から組み始めます。だいたい3人くらいで組みはじめます。この上に人形が乗るのですが、それは人形師の先生が指示して山大工が取りつけます。

― 山笠を作る上で一番難しいというか気を使うところはどんなところでしょうか?

この山笠台は6本の舁き棒かきぼうと呼ばれる棒がありますが、これらを釘を一本も使わず、くさびと麻縄だけで固定していきます。使われている木材は、ヒノキや樫などでこれは、各流かくながれによっても違ってきます。この組み上げる作業を、棒締めぼうじめといい、最低でも20名くらいで行います。縄をぬらしながら均一にテンションをかけていきます。

― この山笠台の部分は各流かくながれによってかなり違うものなのですが?

大きくはどこも同じですが、細かくは流れによって違います。7年に一度大きく作り変えるのですが、舁き手の身長に合わせて、5mm単位で微妙に高さを変えたりしています。それは身長が低い人が中に入り、外に行くにしたがって高い人が舁くためです。

― 山笠が他の祭と一番違うところはどこでしょうか?

やはり、速さを求めるところですね。台座の一番下の部分、これは東流では、鉄でつくりますが、ずっと引きずられているので、祭も後半に差し掛かると、2cmくらいすり減っていることがあります。期間中も山大工としていろいろメンテナンスの仕事があります。

― 昔と今を比べて祭は変わったところはありますか?

今でも小学校では朝から学校で自分の流が何秒だったという話になっているようなので基本的には小さい時から変わらないと思いますが、自身の関わり方でいうと取締になったので責任が変わりました。無茶ができなくなったというか…(笑)そう思うと今の若い人たちはおとなしいと思いますよ。お酒の飲み方なども。

― 最後に祇園山笠と普段のお仕事の関係についてお聞かせください。

基本的な柱の組み方や縄の結び方などはここから学んだものもあり、活かされていると思います。また祭に出ていると街中ほとんどの人たちと顔見知りになりますしね。