インタビュー

もっとも山笠のことを考え、
山笠に生き、
山笠を知る人物。

博多祇園山笠振興会 会長/豊田侃也氏

各流には総務と呼ばれるトップがいる。これら各流の総務をまとめ、祭り全体を取り仕切っているのが、博多祇園山笠振興会である。この博多祇園山笠振興会の豊田侃也とよだかんや会長にお話を伺った。

豊田会長はお父様が、1950年結成の千代流の初代総務で、ご自身も5歳の頃から参加し、各流のトップである総務なども歴任。いま博多でもっとも山笠のことを考え、山笠に生き、山笠を知っている人物である。

― 小さい頃の山笠の思い出などお聞かせください。

戦後すぐに始まった千代流れ、その流れが出来た時、私は5歳で、そこから参加しています。私は親父がの初代総務でその親父の法被の後ろを掴んで走っていくような感じでした。博多では山の風にあたると無病息災だとも言われており、博多っ子は生まれた年から両親に抱っこされ山笠に参加する子がたくさんいます。

― いわば千代流れの生き字引なのですね。これまでずっと山笠に関わられてきて、最近の山笠はどう変わりましたか?

ここ数年、山を舁きたいという方々が増えてきています。他の祭りでは担ぎ手が減り、地元以外からアルバイトなどを手配し存続させているのに対して、博多祇園山笠では、この地域と関わりのある方々だけで続けられているのは大変嬉しく誇りに思っています。それだけ地元の方に愛されている祭りなのです。

― それほどまでに博多っ子を魅了する山笠の魅力って何ですか?

山笠の魅力は一般の方は「なんが魅力で、よかですか?」と言われるのですが、ほかの祭りの山車や神輿や山鉾などと比べてみると、それらは博多の山笠より大きかったり、煌びやかだったりします。
博多の山笠は、そういう点でみると人形は見事ですが決して大きくないです。しかし、一旦動き出すと全然違うんです。5kmを30分で走るんですよ。車がついている訳ではないのにこのスピード。これは魅力ですよね。
そしてこの舁き手が走りながら整然と交代しながら舁いていくというところも見どころです。6本の棒を舁く舁き手が怪我なく交替していくのです。これは台上がりと呼ばれる台の上に上がっている人が一番わかるのですが。

― 台にあがってみようと思うと、大変ですね(笑)。会長はこれまで、総務、事務局、副会長、会長と歴任されていますが、これから、この山笠をどのようにしたいと思われますか?

昨年静岡の家康四百年祭に遠征しました。静岡は聖一国師の生誕の地で、700年以上経って初めて里帰りのような形になったのです。このような遠征は20代30代前半の方々にとっては初めてのことでした。

すべての流の法被が揃って1つの山を一緒に舁くというのは、普段の祭りではないことなので良い経験だったと思います。今後もこういった遠征なども計画しております。また社会の変化によって、少しずつその形を変えていかなくてはいけないと思っています。これまでも行政や警察と一緒に迷惑をおかけしないように集団山見せのコースを変更するなどしてきました。時代に合わせ、少しずつ変えていったからこそ700年以上も続いているのです。

― 山笠があるから、やはり博多は違う!というようなことは何かありますか?

よく言われることは、警察やPTAなどから、子供達の非行などが少ない。と。子供山笠では小学校高学年の子が低学年の子達の面倒をみます。兄弟含めてみんな顔がわかる。小中学校の先生も参加しているので、子供達を両親だけでなく、先生、地域のみんなが知り合いになるので、地域で子育てが行われていて、一つの町内になっているのだとおもいます。
若い人たちも祭りに参加する時は、真面目やね。真剣で顔が違うよね。昔から、山には決まりごとが多くて大変だと思いますが、それがやはり社会のルールに則って迷惑をかけないように、となっているのだと思います。

― そういった町の一体感を生むのにお酒というのはどのような存在でしょうか?毎日の終わりにお酒や料理を囲むことを直会なおらいと呼ぶそうですが、その辺りを教えてください。

山笠期間中は、舁き山笠行事が済んだ後、各町に戻った舁き手はに直会なおらいに臨みます。昔は乾杯は日本酒と決まっていたようですが、最近はビールのところが多いんじゃないでしょうか。一日中走り回った後ですので、自然とお酒がすすみます。そこで、まず今日1日舁いた時の反省をします。そしてそのあと、肩を見せ合い、どれだけ頑張ったか、その血だまりを自慢したりします。山を舁いていて一番楽しいのは、そんな時のビールを飲む時かもしれませんね。

― 最後に今年見に来られる方に一言お願いします。

私は、みなさまに言っていることがあります。
それは『山を舁く人も見物される方もぜひお土産には感動を持って帰ってください。』と。

山大工 名越 康博人形師 中村 弘峰舁き手 黒葛川 絢一舁き手 岡崎大地