FUJIYAMA SENJIROU “役の者”になるから役者。僕が突き詰めていかなあかんのはそこやと思っています。

06 FUJIYAMA SENJIROU 松竹新喜劇 藤山 扇治郎


ふじやま せんじろう
1987年京都府生まれ。関西大学卒業後、青年座研究所を経て、2013年に松竹新喜劇に入団。以降、劇団の人気役者として活躍。祖父は喜劇王と称された藤山寛美。


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舞台も映像も気持ちで演技することには変わりはない。
それを現場で経験できたことが大きかった


最近は松竹新喜劇だけじゃなく、他のお芝居に客演されたり、映画にもご出演されたそうですね。

藤山 2017年5月公開の山田洋次監督の作品『家族はつらいよ2』で、おっちょこちょいの新米警察官をやらせていただきました。山田監督の作品は笑いを狙った演技やセリフじゃなく、本人はまじめに言っているつもりが端から見たら面白いという、必然性の喜劇であり、人と人との絆を描いた人情劇を撮られる監督さんなので、松竹新喜劇とも通づるところがあって大変勉強になりました。それに山田監督というと大御所というイメージなのに気さくに祖父との思い出や喜劇について分かりやすく話をしてくれたことも感謝しています。

やはり映画と舞台とではかなり違いましたか?

藤山 お芝居は稽古を幾日も積み重ねるじゃないですか。でも、映画は本番が1回だけで、それが一生残るんですよね。それはコワかったかな(笑)。また、舞台と映画の違いを感じたのは、舞台はお客さんの反応を見ながら役者がその場でつくっていく部分が大きいけれど、映像は監督に主導権があって、いかに監督の要求に応えられるかが大事だということ。舞台のようなライブ感はないけれど、集中力や柔軟性が必要なんだと実感しました。でも、作品の作り方や、お客さんの前かカメラの前かという違いはあるけれども、喜劇といってもドタバタではなく、泣き笑いを交えて人の心の喜び悲しみを丁寧に描いている点はまさしく松竹新喜劇と同じ。楽しく演じさせていただきました。

映画経験を経て、それが喜劇役者としての糧になりそうですか?

藤山 喜劇ってむちゃくちゃ難しいもんやと思うんです。いろんなことを経験させてもらったから、それがすぐ自分の実力になるのかといえば、そう簡単なことではないし。ただ、舞台であれ映画であれ、気持ちで演技するという点は共通なんで、それを映画という現場で経験できたことは大きかったし、もっと出てみたいという気持ちは強くなりました。それとやっぱり映像は多くの人に藤山扇治郎を知っていただける機会になるので、舞台を見に来ていただけるきっかけになればありがたいですね。

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若い人やまだ松竹新喜劇をみたことがない方にも、
「こんな面白い芝居があるんやな」と思ってもらえるような芝居をしていきたい


松竹新喜劇は大阪を舞台にして人情味溢れる喜劇を描いてきましたが、扇治郎さんの中で大阪はどんな存在になりましたか?

藤山 僕は生まれも育ちも京都なので、松竹新喜劇に入って改めて大阪のよさを感じています。子どもの頃はヒョウ柄のシャツ着たおばちゃんとか、ウルサい人ばっかりやなあと思ってましたが(笑)、大人になってみると、心が温かくて周りへの気配りがものすごくできる人が多くて。世話好きで明るくて、喜怒哀楽も激しいけれど、人情派で、まさに松竹新喜劇そのものだと思います。
最近はご近所同士の繋がりが減ってきている中でも、コミュニティがしっかりあるのが大阪のよさで、都会なのに田舎のようないい部分も残っているし、商売人が多いから人付き合いが上手なところもあるし、そういう意味では大阪は最高の街じゃないですか。
あと、松竹新喜劇は昔ながらの大阪の言葉を大事にしています。今ではきちんと話せる人が少なくなってきていることもあり、大阪弁を残していくためにも、自分もきちんと学んでいかないといけないと思っています。

今後、扇治郎さんは目指す役者像と、松竹新喜劇で描きたいご自身の未来を教えてください。

藤山 僕が青年座の研究所に通っていた時にいわれたのが、「役者は『役になる者』と書くでしょう。自分の個性とか見た目は人間誰もが違うけれど、その役になれないといけないよ」という言葉でした。当時は「そんなん当たり前やないか」と思ってたんですけど、新喜劇に入っていろんな役をさせてもらう中で、今はその言葉の奥深さを痛感しています。社長やったら社長に見えないといけないし、ちょっと抜けた丁稚さんならそう見えないといけない。やっぱり生で舞台を見た時にお客さんに共感して納得して頂くには、その役になりきらないといけない。お客さんに喜んで頂くには、突き詰めていかなあかんところはそこやなあ、と。
僕は役のものになれる役者になりたい。これが一つの大きなテーマであり、これからずっと芝居をしていく中で一番目指していかなければならない大きな部分だと思っています。そして、僕が役者になりたいと思ったきっかけは、やっぱり祖父なんですね。だから祖父がやってきた役をやらせて頂きたいし、それと同時に今の世情を取り入れた新しい作品もぜひやっていきたいと思っています。
松竹新喜劇は先輩方が築いてきた功績があるから、それをきちんと引き継いで、若い人やまだ松竹新喜劇を見たことがない方にも、こんな面白い芝居があるんやなと思ってもらえる芝居をしていきたい。そして、ゆくゆくは「藤山扇治郎はええ喜劇役者やな」といって頂けるように頑張りたいです。

大阪松竹座

大阪府大阪市中央区道頓堀1-9-19
TEL:06-6214-2211
営業時間・定休日は公演により異なる
http://www.shochiku.co.jp/play/shochikuza/
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道頓堀という繁華街にありながら、趣のある佇まいが目を引く大阪松竹座は、大正12年(1923)、関西初の洋式劇場として誕生。平成9年(1997)に正面玄関を残して全面改装された。現在は松竹新喜劇の定期公演をはじめ、歌舞伎や伝統芸能、ミュージカルなど、あらゆる舞台芸術を上演。

【取材協力】

法善寺横丁 ほてい

大阪府大阪市中央区難波1-1-20
TEL: 06-6211-5000

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《 一人暮らしの心細さを癒してくれたのは、
泣き笑いとともに人情を描いた松竹新喜劇だった。