YABUUCHI MIYAKO 自分たちが作り上げたい未来をクリエイティブを通して形づけられるように。

04 OSAKA HOSHI アートディレクター 薮内 都


やぶうち みやこ
1988年生まれ、徳島県出身。
京都造形芸術大学こども芸術学科卒業後、2012年よりpoRiff代表としてディレクション開始。複数の福祉施設にデザインスタッフとして関わりながら現場に特化したインクルーシブな活動を行う。


カラフルでポップなプロダクトブランド「poRiff」は、使用済みのビニール袋を原材料にした100%リサイクルなアイテムだ。そのデザイン性の高さはもちろん、商品が生まれた背景が注目され、今、静かな話題を呼んでいる。なぜなら、この商品を制作しているのは大阪の福祉施設で働く障がいを持った人たちだから。そして、このpoRiffの活動を支えているのがアートディレクターの薮内都さん。なぜ、彼女は福祉施設の人たちと共にものづくりを行っているのか。大阪発のアップサイクルブランドが目指す未来とは。

Digest Movie
line

poRiffは障がいのある人たちが彼らの手で100%作っている商品。
だからこそ私も胸を張って広めていける。


まずは、poRiffについて詳しく教えてください。

薮内 poRiffの原材料は主に買い物をした時にもらう買い物袋です。本来は捨ててしまうものですが、それらを切り抜き、コラージュしたものに熱を加えて圧着させることでシートが出来上がり、これをミシンで縫って、カバンやポーチなどを制作しています。カラーはすべて買い物袋そのままの色。これを組み合わせることで、一つ一つ味わいが変わってくるので、そのおもしろさが魅力だと思います。

これらをすべて福祉施設の方たちが制作されているんですよね。

薮内 poRiffはもともと大阪・岸和田市にある精神障がいのある人たちが通う福祉施設で生まれました。今は岸和田と東大阪の2つの福祉施設で、すべての工程を障がいのある人たちの仕事として行われています。作業は分担制で、性格や個性によってできること、やりたいことが違うので、それを探してやってもらっています。ハサミがうまく持てないけれどビニールを置くことができる人はコラージュを担当するし、人と話をするのが好きなら、袋の回収を手伝ってもらうことも。回収の仕事は結構人気があるんですよ(笑)

そのデザインを薮内さんが担当しているんですか?

薮内 私を含め、本部スタッフはショップやお客さんのニーズに合うよう、商品や形など、最小限のことは決めますが、カラーリングとか材料を切ったり貼ったりする作業に関しては一切お任せです。「ここの色はヘンやから」と変えてしまったり、私たちが余計な口出しをしたりすると、彼らが作った熱量とかけ離れたものができてしまうので。poRiffは誰かの手を介するわけではなく、きちんと本人たちの意思を持って、彼らの手で100%作られているからこそ気持ちがいいし、嘘がない商品。だから私も胸を張って広めることができるんですよ。

image2
line

商品自体に魅力があり、きちんとした背景もある。
それをきちんと伝えていきたかった。


そもそも芸大出身の薮内さんが、なぜ今の活動に携わることになったんですか?

薮内 最初はイラストや絵本が作りたくて京都造形芸術大学のこども芸術学科に入学したんですが、保育士資格が取れる学科だったので、実習先で児童養護施設などに行ったんです。そこで障がいのある子どもと出会ったことから、その子たちの将来や生活環境について考えさせらたことが今の活動の原点です。人対人として自然にコミュニケーションが育まれている場所があれば、そうじゃない場所もあって…。たくさんの施設を見たことで、彼らと寄り沿う人たちの意識の違いで、障がいのある人たちの環境は大きく変わるんだと感じさせられました。そういった経緯から、東大阪の特定非営利活動法人活動センターいっぽと出会い、福祉施設での商品のデザインやワークショップに関わることになり、その後、大学院に入った頃、poRiffの活動を紹介されて少しずつ関わることになりました。

その出合いを通して、薮内さんはpoRiffとどんな風に関わりたいと思ったんですか?

薮内 当時、すでに商品化されていたものの、きちんとした販路がないことから余り売れておらず、売れないことで作り手のモチベーションも上がらず、活動するメンバーも次第に減ってきているという状況でした。一般的に福祉施設で作っているものは、どちらかといえばチャリティ的な感覚で「買ってあげる」という要素が少なからずあると思うんですよね。でも実際、poRiffはアイテムとして魅力があるし、普通にいいなと思って手に取ってもらえる商品です。そして、どんな人たちが作っているんやろと思って調べたら、ちゃんとしたストーリーを持った商品です。それをきちんと伝えられないのは本当にもったいない! 私がそれをやるとすれば、ニーズに合った形を決めたり、販路を探したり、ワークショップを開いたりができるかも。そう思ったことが今に続いています。私自身、福祉とデザインの間で揺れ続けていましたが、今はその間にいてる感じです。どっちかではなく、どっちも。ちょうどいい折り合いのある場所が見つかったと思っています。

  • 1
  • 2
NEXT

》 商品が売れることはもちろん大事。
でも、その先にある自信や出会いこそが本当に重要なこと。