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Interview

Developer’s Story

さらなる充実感や満足感を求めてリニューアルを実施「99.99」開発ストーリー

「研ぎ澄まされたうまさ」というコンセプトのもと、ご好評いただいている「99.99(フォーナイン)」が4月6日にリニューアル。どのように開発され、そしてどのように変わるのか。その狙いや背景を開発担当者である黒柳真莉子が語った。
99.99 Development Manager
Mariko Kuroyanagi

手軽さとしっかりした飲み応えで近年大きく市場を伸ばしている缶チューハイの市場に「99.99(フォーナイン)」が登場したのは2018年8月のこと。「研ぎ澄まされたうまさ」というコンセプトのもとにご好評いただいているこの商品が4月6日にリニューアルを迎えます。はたして「99.99」はどのように開発され、そしてどんな風に変わるのか? その狙いや背景を開発担当者である黒柳真莉子が語った。

「99.99」はお客様が求める「本物志向」への答え

発売が2018年8月ということは、開発がスタートしたのはもっと前ですよね?
どんな経緯で「99.99」の開発はスタートしたのでしょうか?

黒柳真莉子(以下、黒柳):開発のスタートは2017年ですね。当時は缶チューハイ、なかでも「ストロング」と呼ばれる8%や9%とアルコール度数が高めの商品の人気が高まっていました。そのような中で「サッポロらしい視点で缶チューハイに新しい価値を生み出したい」という思いから開発がはじまりました。

調査した結果、お客様は「丁寧に作られていることが感じられるもの」「飲み飽きないもの」「本物感が味わえるもの」といった商品を求めているというデータがあり、そのご要望を満たすことが最初の目標でした。

アルコールの高さだけでは納得していただけない段階に来ていたわけですね。

黒柳:缶チューハイにも「本物志向」の流れが来ていました。加える果汁を吟味することで飲みやすさを追求するのが、缶チューハイとしては一般的な手法です。でも「99.99」では、ベースとなるお酒の味に磨きをかけることで、すっきりとした飲み飽きない味を作ろうというのが狙いでした。

アルコールの高さを果汁ではなく、お酒そのものに着目して一線を画すのが狙いでしょうか?

黒柳:そうですね。お客様が求める「本物志向」への答えとして、「99.99」ではお酒自体に主軸を置いて味をブラッシュアップさせることを選択しました。

ベースとなるお酒の味に磨きをかけることで他の缶チューハイとの差別化を図ったという。その結果として採用されたのが、商品名のもとにもなっている「純度99.99%のウォッカ(※1)」だ。

  • ※1 エタノール以外の有機物割合が0.01%未満のウォッカを純度99.99%と当社として規定。

「引き算」によって味を研ぎ澄ませた「99.99」

「お酒に磨きをかける」ことの結果として、商品名のもとにもなった「純度99.99%のウォッカ」が採用されていますが、ウォッカが選ばれたのはどんな理由からでしょうか?

黒柳:いろんなお酒を検討していくなかで、求めている「すっきり感」や「飲みやすさ」にもっともマッチしていたのがウォッカでした。

「純度99.99%のウォッカ」というと、ずいぶんと濃いお酒のようなイメージを抱かれるかもしれませんが、そうではなく、あくまでも「不純物がほとんど含まれない(※1)」ということです。この純度は、白樺の炭を使って2回濾過をすることで実現しています。

つまり、ベースとなるお酒の雑味のなさが、「99.99」のすっきりとした飲みやすさの秘密なんです。

缶チューハイというと、香りや甘味でフルーティーさを演出したりと「足し算」で味を調えているイメージでした。でも「99.99」は「引き算」で味をバランスさせているのですね。

黒柳:そうですね。「お酒の味に磨きをかける」というのは、まさにその引き算を重ねて味を突き詰めていく作業でした。

パッケージ、つまり缶のデザインも、「引き算」を意識しています。余計な要素を排除して、シンプルに魅力を伝えたいとデザインを考えました。

おかげさまで、こちらが意識していた「飲み飽きない味」や「すっきり感」、そして缶のデザインもお客様からご好評をいただくことができました。

定期的に期間限定商品が登場するのも「99.99」らしさですが、これは当初から計画されていたものなのでしょうか?

黒柳:そうですね。フレーバーを選ぶ楽しさも缶チューハイの魅力のひとつです。「99.99」のよさはそのままに、そのときどきでしか味わえないものを出していくことは開発当時から考えていました。

開発にはある程度の時間が必要だと思いますが、期間限定商品は発売のどれくらい前から企画されているのですか?

黒柳:年間の計画がある程度は決まっていて、お客様の動向を見ながら発売していくのですが、ひとつを開発するのに10ヶ月くらいかかります。企画開発段階では、数多くのフレーバーを検討しますが、実際に発売されるのは限られたごくわずかのフレーバーなので、タイミングを見計らいつつ、実際に発売するかどうかを見極めています。

「99.99」が目指す“理想の飲みやすさ”とは?

4月6日に実施される今回のリニューアルでは、どんなことがテーマになっているのでしょうか?

黒柳:この1年と少しのあいだで生活環境が大きく変わり、自宅にいる時間の充実度に目が向けられるようになりました。自宅でお酒を楽しむ時間もより重要になってきていると思います。

そこで、「99.99」が持つ良さ、魅力はそのままに、もっと満足感や充実感を追求したいというのが今回の狙いです。

「引き算」でシンプルさを追求してきた「99.99」だけに、リニューアルには難しさもあったのでは?

黒柳:今回のリニューアルでは、お客様が「99.99」のどんなところを好まれているのかをまず確認しました。
スッキリ飲みやすく飲み飽きない味わいとシンプルでスタイリッシュなパッケージデザイが評価されており、発売当初からお客様から支持いただいているポイントが不変であることが分かりました。
開発担当者として、初心に立ち返る思いでした。

「変える」ことを意識すると、どうしても何かを足したくなってしまいます。でもブランドコンセプトから外れることはせず、今回も引き算に徹しています。

具体的に味についてはどういった違いがあるのでしょうか?

黒柳:もともと「飲みやすさ」についてはご好評をいただいているのですが、リニューアルにあたり、あらためて「『99.99』が目指す理想の飲みやすさを定義」しています。それが「満足感ある飲み口」と「雑味を感じないキレのある後味」です。

「99.99」らしい雑味のなさ、キレのある後口はそのままに、飲みはじめの香味の強さが増しています。そのため、従来のもの以上に満足感を感じていただけるのではないでしょうか? すっきりしているからといって飲み足りなく感じるようなことはないはずです。

商品の顔とも言える缶のデザインもゴテゴテしたものではなく、「引き算」によってシンプルにまとめることを心がけたという黒柳。リニューアルでは商品名の「99.99」という文字と星印がより目立つものとなった。

大切な時間を共に過ごすパートナーとして選んで欲しい

シンプルというイメージはそのままですが、缶のデザインもかなり変更されていますね。

黒柳:中身のブラッシュアップだけでなく、そこもリニューアルで力を入れたポイントです。見比べていただければ、デザイン的な構成要素はむしろ減っていることがわかると思います。そのかわり、サッポロをイメージする「星」や「99.99」のロゴを大きくし、主張すべきところをしっかり目立たせるようにしました。

サッポロビールの商品は星が目立つパッケージが増えて来た印象です。

黒柳:弊社が大事にしている「ものづくりへのこだわり」はお客様にも共感いただけていると自負しています。星はそうした「サッポロらしさ」の象徴でもあります。

開発担当者として、リニューアルした「99.99」を楽しんでいただくオススメのシーンなどはありますか?

黒柳:前述のようにパッケージもシンプルなものを心がけ、その空間の邪魔をしない、どんなシーンにも馴染むものにしています。たとえば趣味の時間であったり、日常生活のなかで、お客様それぞれが大事にされている時間のパートナーとして「99.99」が選ばれればうれしいですね。

パッケージについては開発当初からあった「日常生活のなかにあってうれしいデザイン」というコンセプトをさらに推し進めているので、そこも楽しんでいただきたいです。

99.99開発担当
黒柳 真莉子
Mariko Kuroyanaga
Profile
2015年サッポロビール株式会社に入社。サッポロビールで3年、東海北陸エリアのマーケティングを経験した後、2018年新価値開発部に着任し3年間RTD(レディ・トゥ・ドリンク:購入してすぐに飲める缶やペットボトル入りの飲み物)の商品開発に従事。キレートレモンサワーや新商品の開発を担当。2019年から99.99の商品開発を担当している。
文=稲垣宗彦 写真=志田彩香