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ワインの印象を左右するブーケとは?アロマとの違いもあわせてご紹介

ワインの説明をする時によく使われるのが、アロマという単語です。語感から何となくワインの香りについて説明されているのが分かりますよね。では、アロマの分類の1つ、「ブーケ」についてはご存知でしょうか?今回は、アロマとともにワインの印象を左右するブーケについてご紹介します。

ワインのアロマとブーケは何が違うの?

ワインの印象を左右するブーケとは?アロマとの違いもあわせてご紹介

アロマとブーケはどちらも香りに関係する言葉ですが、元をたどるとちょっと違うものなんです。アロマは果実香のこと。ブドウそのものがもつ香りや、発酵中に生まれてくる果実の香りです。それに対して、ブーケはワインの熟成によって生まれる香り、熟成香のことを言います。

つまり、同じ品種で同じ畑から収穫されたブドウを使って発酵・醸造されたワインでも、熟成方法や用いられる樽などが違えば、ブーケはまったく別のものになる可能性が高くなるんです。

ワインから感じとった香りが、どの段階からのものなのかを理解できると、ブドウ品種の特性やワインの醸造方法、熟成具合、ワイン産地などが推測できるようになりますよ。香りを意識しながらワインの経験値を増やすと、もっとワインの世界が広がるということですね。

ちなみに、アロマとブーケはどちらも多種多様な香りがありますが、系統で分けることができます。

ワインの香りの分類

まずは、ワインの香りの表現で使用する要素を見ていきましょう。主な香りは以下の10種類に分けられます。

・植物
・花
・果実
・香辛料
・森林木
・芳香性
・焦臭性
・化学物質
・エーテル
・動物

主な香りの系統は、この10種類。

それぞれさらに複数の種類に分けられます。例えば、果実はさらに「イチゴ」「グレープフルーツ」「ザクロ」など。他にも香辛料なら「シナモン」や「ナツメグ」。焦臭性なら「タバコの煙」や「コーヒー」などもあります。

少し変わったところだと、動物に分類される「濡れた犬」なんていうのもあります。
果物や香辛料の香りならまだしも、タバコの煙や濡れた犬まであるなんて、ワインの香りの奥深さには驚いてしまいますね。

アロマでよくある香りの種類

ブドウの種類によって変化するアロマは、みずみずしさやさわやかさ、甘さなどの表現が多くあります。また、ブドウの種類が一緒でも、栽培地の土壌や気候など、土地に由来する要素によってアロマは変化します。

・果実(干して乾燥したもの。干しブドウ、プルーンなど)
・ナッツ(アーモンド、クルミなど)
・スパイス(バニラ、黒胡椒など)
・焦臭(燻製香など)
・動物香(革など)
・植物(キノコ、下草など)

オークや杉の他、バルサ材のような樹木の香りに、シナモンやバニラなどスパイス系の香り。

焦香は「ロースト香」「トースト香」「焙煎香」と呼ばれることもある香りです。珈琲豆やトーストのように焦香らしい香りの他、チョコレートやキャラメルなどもこの分類です。

ワインに奥深さや複雑な印象を与えるのが、キノコ、苔、土の香りを指す、森の下草系の香りとなめし革などの動物香。熟成期間が長くなれば長くなるほどでやすい香りです。

第一と第二があるワインのアロマ

ワインの印象を左右するブーケとは?アロマとの違いもあわせてご紹介

ブーケについての解説で、ワイン好き方の中には「それって第三アロマのことじゃないの?」と思った方も多いかもしれません。

そう、実はブーケとは第三アロマとも呼ばれている香りのことです。第三があるように、もちろん第一や第二もあり、一般的なアロマはこの第一と第二のアロマを指します。

・第一アロマ…ブドウそのものがもつ香り
・第二アロマ…発酵・醸造に由来する香り

第一アロマと第二アロマは、ワインをグラスに注いだだけの状態で感じることのできる香りです。グラスを動かさずに嗅いでみましょう。果実や花、植物、ミネラルの香りを感じることができます。

それに対し、グラスを回して、ワインを空気に触れさせると立ちのぼってくるのが第三アロマ、つまりブーケです。熟成中に生まれる成分の香りなので、熟成の仕方や熟成度によって多種多様な香りが現れます。

ワインの香りを楽しむ時のポイントは、年代モノのワインはあまりグラスを回しすぎないこと。香りが飛ぶリスクがあるので、香りの変化を確認できる程度に回してみてくださいね!

アロマやブーケを感じるワインの扱い方

ワインの印象を左右するブーケとは?アロマとの違いもあわせてご紹介

アロマやブーケを楽しんでこそ、お気に入りのワインを見つけられるというもの!

そのためには、正しいアロマやブーケを感じるためのワインの取り扱い方法を知っておきましょう。

ワインのブーケは、グラスに注いでサーブする時の温度が重要です。温度が低すぎるとブーケが立ちのぼりにくく、逆に高すぎるとアロマに悪影響がでてしまいます。

高い温度はワインの酸化にもつながるので、香りと味の両方のためにもワインそれぞれの最適な温度を意識しましょう。

・若い白ワイン(辛口)、スパークリングワインなどは7~11℃
・ボリューム感や骨格がある白ワイン(辛口・甘口)は9~12℃
・赤ワインの若いものは13~15℃
・しっかり熟成したワイン(ボルドー)は15~17℃

急激な温度変化にも注意しましょう。ゆっくりと冷やすと、ワインそれぞれの香りをきちんと楽しむことができます。

まとめ

ワインは第一アロマ、第二アロマ、第三アロマ(ブーケ)の三段階で香りを楽しみましょう。

特に第三アロマとも呼ばれるブーケは熟成によって生まれる香りなので、とっても複雑です。ワインごとの最適な温度で試して、自分だけのお気に入りワインを見つけてみてくださいね。