イタリアワインで高品質なものを楽しみたいなら、ピエモンテ州とともにトスカーナ州は外せません。
今回は、トスカーナ州のワインに焦点をあてて、その魅力をご紹介します!おすすめのトスカーナ産ワインもピックアップしたので、ぜひ試してみてくださいね。
トスカーナとは
トスカーナは、イタリア中部に位置する州で、州都は芸術の都と呼ばれるフィレンツェです。ミケランジェロのダビデ像やサンタ マリア デル フィオーレ大聖堂など、各地に美しいルネサンスの名残が残っています。
トスカーナは現代のイタリアワインに影響を与えた州でもあり、その品質の高さからピエモンテ州と並ぶイタリアの代表的なワイン醸造地として知られています。フィレンツェからトスカーナの中心を抜け、シエナへ続くキャンティジャーナル街道は、トスカーナのワイン街道として多くの観光客に人気です。
ちなみに、トスカーナと肩を並べるピエモンテ州の州都はトリノ。ピエモンテにもバローロワイン街道というワイン街道があり、どちらもワイン好きさんなら一度は訪れていただきたいスポットです。
トスカーナの歴史
トスカーナ大公コジモ3世によって、キャンティやカルミニャーノなどの生産地の線引きが行われた1716年は、原産地呼称制度の歴史の始まりでもあります。
19世紀ごろ、トスカーナのベッティーノ・リカーゾリ男爵が、キャンティワインのベースとなるブドウ品種の構成と比率を定めました。『リカーゾリ(男爵)の公式(Formulaeフォルムラ)』と呼ばれ、キャンティが現在まで世界的に愛されるきっかけとなりました。
1970年代から始まった「イタリアワイン・ルネッサンス」というイタリアワインの近代化のけん引役を果たしたのはトスカーナの生産者たちでした。それまでの規則にとらわれない自由な発想で生み出した近代的スタイルのワインは、『スーパー・トスカーナ(スーパータスカン)』と呼ばれました。格付けとしては、テーブルワインに分類されるのですが、有名ワイン雑誌が開いたブラインド・テイスティング・イベントで、フランス・ボルドーの著名シャトーを破ったことで、一躍国際的な知名度を得ました。
この出来事をきっかけに、世界中がイタリアワインに注目するようになったのですが、スーパー・トスカーナはワイン法の規格外として一目を置かれる位置付けであり続けています。
ここでいうワイン法とは、フランス同様にイタリアでもワインの個性や品質を保つために定められた格付けのルールです。1963年に4つの格付け(D.O.C.G、D.O.C、I.G.T、V.d.T.)が作られ、2010年から施行されているEU新ワイン規則に則った新しいワイン法により、3つに変更されました。
2010年以降の3つの格付けは、以下のD.O.P・I.G.P・VINOです。
・D.O.P…保護原産地呼称ワイン(従来のD.O.C.G、D.O.C)
・I.G.P…保護地理表示ワイン(従来のI.G.T)
・VINO…テーブルワイン(従来のV.d.T.)
いずれもボトルのどこかに表記されています。
イタリアワインは従来の格付けの表示も認められているため、D.O.C.G、D.O.C、I.G.Tなどの表記は覚えておくと便利です。
トスカーナワインの種類
トスカーナワインで最も有名なものは、キャンティです。サンジョヴェーゼ種をベースにした幅広い料理と合わせやすい赤ワインで世界的に人気があります。チェリーやすみれのイキイキとした香りがあり、果実味・酸・タンニンのバランスが良いことが特長です。
しかし、あまりの人気にキャンティ地方以外にも生産地が拡大した結果、粗悪なものも生まれるようになりました。「品質の確かなキャンティを!」の思いで本来の産地であるキャンティ地方は、キアンティ・クラシコを名乗るようになりました。
他には、イタリアの在来品種のブドウにカベルネ・ソーヴィニヨン種をブレンドした赤ワインのカルミニャーノ、サンジョヴェーゼ種100%の力強い赤ワインであるブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ボルゲリのスーパータスカンとして名を馳せているサッシカイアなどもあげられます。
赤ワインで有名なトスカーナ州において、白ワインといえば、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ。世界遺産として認定されている美しい「百の塔の町」、サン・ジミニャーノ周辺で作られている個性的なトスカーナの白ワインです。
トスカーナワインで主に使用されるブドウ品種は、赤ワインと白ワインそれぞれ以下のとおりです。
■赤ワインのブドウ品種
赤ワインで使用されるのは、イタリア原産のサンジョヴェーゼ種、カナイオーロ・ネーロ種の他、フランス原産のカベルネ・ソーヴィニヨン種やメルロー種です。
・サンジョヴェーゼ種
・カナイオーロ・ネーロ種
・カベルネ・ソーヴィニヨン種
・メルロー種
サンジョヴェーゼ種は、イタリアで最も広範囲で生産されているブドウ品種。イタリア各地で生産されていますが、トスカーナ地方では特に高品質なワインが多く造られています。カルミニャーノでカベルネ種・ソーヴィニヨン種とブレンドされるのも、このサンジョヴェーゼ種です。それほど濃くないルビー色で、スミレ、チェリーの香りがあり、酸とタンニンがしっかりしていることが特長です。
カナイオーロ・ネーロ種は、サンジョヴェーゼ種とブレンドされることが多く、ワインに柔らかさをあたえる品種です。
カベルネ・ソーヴィニヨン種は、世界で最も栽培されている赤ワイン用ブドウ品種で、単一品種でワインになるケースが少なく、メルロー種などとブレンドされます。
カベルネ・ソーヴィニヨン種でしっかりとした骨格を出し、メルロー種でやわらかい印象を加えることで、バランスのとれたワインとなります。
■白ワインのブドウ品種
白ワイン用のブドウ品種で代表的なものは、以下の2品種です。
・ヴェルナッチャ種
・トレッビアーノ種
ヴェルナッチャ種は、しっかりとした酸をもったブドウ品種。サン・ジミニャーノの地でさらに13世紀ごろより高品質化したものとして、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ種があります。かのミケランジェロのパトロンであった法王パウルス三世をも魅了した品種で、ワイン醸造はサン・ジミニャーノ地区近郊でのみ行われています。
トレッビアーノ種は、フレッシュな早飲み用のワインに適した白ワイン用のブドウ品種。イタリア全土で広く栽培されています。
さらに、トレッビアーノ種の1種として、トレッビアーノ・トスカーノ種やトレッビアーノ・ロマニョーロ種、トレッビアーノ・ジャッロ種などがあげられます。
独特の香りとさっぱりとした味わいが特長で、以前は赤ワインのキャンティにもブレンドされていました。
■トスカーナを代表するワイナリーとおすすめのワイン
トスカーナワインの中でも、由緒正しいワイナリーのひとつが、カステッロ・ディ・ガビアーノです。
12世紀に創設されたカステッロ・ディ・ガビアーノは、フィレンツェのキャンティ地区から少し南へずれた位置にあります。1124年から守られ続けた自社畑での栽培は、今や約130ヘクタールにも及びます。
高名な醸造家を迎え入れ、メルロー種でも名をあげるなど、常に変革を続けてきたワイナリーです。現在は2011年に迎え入れた醸造家、フェデリコ・チェレリのもと、最新技術と伝統を融合させたワイン生産で、科学的にも最高品質のワイン造りを行っています。
そんなカステッロ・ディ・ガビアーノが誇るワインの中でも、おすすめをご紹介します。ぜひ一度試してみてください。
・ベレッツァ・キャンティ・クラッシコ・グラン・セレツィオーネ
(参考小売価格:税抜6,300円)
ベリーとシトラスのフルーティな香りに中に、スパイシーなバニラが漂います。アクセントとなる酸味のおかげで、複雑さがありながら飲みやすい一本です。ラザニアやミートソースパスタなど、濃厚な味とのマリアージュがおすすめ!
・キャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ(参考小売価格:税抜3,800円)
チェリーの甘い香りと、ハーブの香りが折り重なった、コクのある味わいが特長。タンニンと酸味のバランスが良く、ローストした肉におすすめ。ちょっぴりクセのある熟成したチーズや、鹿フィレ肉とも合わせてみてください。
・キャンティ・クラッシコ(参考小売価格:税抜2,500円)
チェリーやプラムなど熟した果実の甘い香りと、まろやかさのあるタンニンが特長的な一本。余韻が力強く、クセの強い鴨肉のラグーソースパスタにも
合わせやすい味です。もっとあっさり楽しみたいなら、赤身の焼き鳥も
おすすめです。
・キャンティを気軽に飲みたいなら!
より気軽に楽しみたいときは、タンニンと酸味のバランスが良く、ほど良い余韻を楽しめるこちらの一本はいかがでしょうか。
・シェンク・イタリア カポラボーロ キャンティ(参考小売価格:オープン価格)
イタリア国内に4つのワイナリーを所有しているシェンク・イタリア社のワイン。
肉料理はもちろん、ペッパーやガーリックのきいた料理や、チキンシーザーサラダともよく合います。がっつり系料理を食べたいときにワイン選びで迷ったら、ひとまずコレを選んでおけば失敗しない!そんな一本です。
※ワインについては、記事掲載時点での情報です。
まとめ
トスカーナのワインはキャンティをはじめとした高品質なものが多く、ピエモンテ州と並ぶイタリアの2大産地のひとつです。ルネサンスの名残を残す美しい街並みと、どこまでも広がるブドウ畑の景色がイタリアワイン好きにはたまりません。
カステッロ・ディ・ガビアーノなど由緒あるワイナリーも多いので、イタリアワインに興味を持ったら、トスカーナワインも一度味わってみてくださいね。
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