CULTURE

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

「テタンジェ」といえば高級レストランで見かける機会が多いシャンパーニュ(シャンパン)です。世界ではシャンパーニュの代表的なメゾンとして高い人気を誇ります。
テタンジェの魅力は品質の高さとテタンジェ家による家族経営ならではの独自性です。どのようなメゾンなのか詳しく紹介しましょう。

 

テタンジェの特長について紹介

テタンジェが登場するまで、シャンパーニュは黒ブドウを主体としたやや重たい味覚が主流でした。

しかし、テタンジェはあえてシャルドネ種を主体にすっきりしとしたシャンパーニュを造り、ワイン通を虜にしたのです。

今でもそのエレガントな味わいは「シャンパーニュ界の伯爵」と高く評価されており、フランス大統領の公式レセプションでも飲まれています。

グレープフルーツに少しスパイスの風味が感じられる「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」。柑橘系のフレッシュさの後に白桃の風味が広がる「プレリュード グラン・クリュ」。

みずみずしい味わい、そして果実の甘い香りがする「ノクターン」などバラエティ豊かです。

テタンジェは華やかな香りとすっきりとした飲み口が特長なので食前酒としても楽しめます。

料理と合わせるなら刺身や魚のソテー、スモークサーモンなどの魚介類が合うでしょう。チキンやオードブルとの相性も抜群です。ほんのり甘さのあるノクターンはデザートやフルーツと一緒に楽しめますよ。

価格は、ブリュット・レゼルヴが税抜で6,000円台から。記念日や大人のホームパーティーなど特別な機会に飲みたいですね。レストランでは料理に合わせチョイスしてみましょう。

2019年より、テタンジェは「食べるシャンパン。」というテーマでガストロノミーを追求してきました。ガストロノミーとは、古代ギリシャ語のガストロス(消化器)とノモス(学問)を語源とした、食事や料理と文化の関係を考察する美食学のことです。

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

相性の良い料理と味わうことによって、シャンパーニュそのものの味わいや奥行きを発揮させます。美味しいものが大好き!という方は、ぜひテタンジェのシャンパーニュでガストロノミーを追求してみてください。

テタンジェの歴史

テタンジェが誕生したのは1932年のこと。この年、創設者のピエール=シャルル・テタンジェはシャンパーニュの老舗ワイナリーであるフォレスト=フルノー社を買い取りました。

ピエールは第一次世界大戦(1914~1918)時に、フォレスト=フルノー社があったシャンパーニュ地方のマルケットリー城に駐留しており、いつか自分のものにしようと決めていたのです。

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

ランスのサン・ニケーズの丘にあるテタンジェの本社敷地内には地下18メートルに「カーヴ」と呼ばれるセラー(地下貯蔵庫)があります。

歴史は古く、サン・ニケーズ修道院跡地としても有名です。元々は白亜質石灰石を切り出していた場所であり、2世紀のガリア時代より存在する地下洞(石灰窟)を再利用したものです。4世紀頃からサン・ニケーズ修道院の地下礼拝堂として信仰を集め、当時すでに修道士たちがシャンパーニュの貯蔵庫として使うほど最適な環境が整っていました。

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

残されている回廊は、ベネディクト派の修道士達がそうしてきたように、現在もテタンジェの地下貯蔵庫として活用されています。シャンパーニュは涼しく適度な湿度に包まれ、じっくりと熟成しながら眠り続けているのです。

2015年7月4日には、「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」がユネスコ世界遺産に登録されました。もちろん、テタンジェの地下セラーも含まれているため、世界遺産の中で熟成されているという、何とも贅沢なシャンパーニュを味わうことができます。

他にはない特別なシャンパーニュを生産するテタンジェは、家族経営によるシャンパーニュメゾンです。メゾンとはフランス語で『家』をさし、シャンパーニュの生産者は伝統的にこのように呼ばれます。

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

製造方法の複雑さから、家族経営による製造業者が大半を占めていたことが由来ですが、今日まで血縁者による経営を続けるシャンパーニュメゾンは多くありません。テタンジェは創業以来、家族経営を貫く数少ない生産者なのです。

2020年1月より、5代目社長を務めるヴィタリー・テタンジェは、先代のピエール=エマニュエル・テタンジェの長女です。2019年12月31日の父の退任により社を受け継ぎ、アーティスティック・ダイレクターとしての経験を活かし、ブランドイメージをさらに向上すべく活躍しています。

1952年にはグラン・クリュの畑で収穫されたシャルドネ種のブドウのみで造られたコント・ド・シャンパーニュ・ブラン・ド・ブランを発表し、シャンパーニュ界に新風を巻き起こしました。

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

それまでのシャンパーニュはシャルドネとピノ・ノワール、ムニエを合わせていたのに対し、「コント・ド・シャンパーニュ」は厳選されたシャルドネだけで造られたのです。

ちょうど料理界でもシンプルで素材の味わいを活かした「ヌーベル・キュイジーヌ」が台頭していた頃です。軽くてすっきりしたテタンジェのシャンパーニュはその流行とマッチしていました。

今でもテタンジェ家がオーナー兼経営者である企業ならではの独自性を保ちながら、料理コンクールを開催したりアートや音楽との融合を計ったりするなど、文化や芸術の発展にも力を入れています。もちろん、その中心に優れたシャンパーニュがあるのはいうまでもありません。

テタンジェが育つブドウ畑

テタンジェは自社でブドウ畑を保有しており、総面積は37区画288ヘクタールにも及びます。これは東京ドームが61個入るほどの広さです。

約50%という高い自給率によってブドウの品質を保ち、クオリティの高いシャンパーニュを生み出しています。

残り50%はシャンパーニュ地方で優良なブドウ畑を持つ複数のワイナリーや協同組合から供給してもらっているため、安定してシャンパーニュを製造できるのです。

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

自社畑で栽培されている品種の約4割がシャルドネ種です。その中でもグラングリュに格付けされている「コート・デ・ブラン」で栽培されたシャルドネ種がテタンジェのシャンパーニュの個性になっています。

その代表が一番搾りの果汁のみで造られたコント・ド・シャンパーニュです。
コート・デ・ブランで栽培されたシャルドネ種はミネラル分が豊富です。涼しくて程良い湿度のセラーで長きにわたって熟成させると、繊細でありながら深みを増した味わいのシャンパーニュになります。

テタンジェの取り組みや実績

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

テタンジェはシャンパーニュの生産だけに限らず、食事から文化、芸術、スポーツ、外交まで、さまざまな分野で目覚ましい活躍をしています。これまでどのような取り組みや実績を残してきたのか、詳しくご紹介します。

テタンジェの取り組み・功績

テタンジェは芸術にも高い関心を持ち、ボトルにもその一端が現れています。例えば「テタンジェ・コレクション」です。

これはプレステージ級のシャンパーニュだけが詰められるもので、1978年の初ヴィンテージ発売から2018年1月までにリリースされたのは、わずかに13種類だけです。その時々で話題の芸術家がデザインを担当しています。

さらに2014年のFIFAワールドカップでは初の公式シャンパーニュに選ばれました。2016年には50周年を迎えたモントルー・ジャズ・フェスティバルを記念したスリーヴァーボトルを販売しています。

2017年には第30回東京国際映画祭の公式シャンパーニュになるなど、スポーツやイベントにも積極的に関わっています。

テタンジェは食文化の発展にも熱心です。その一環として1967年から「ル・テタンジェ国際料理賞コンクール」を開催しています。

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

フレンチの若手シェフにとっては登竜門ともいえる大会で、その厳格さと公平さによって「ガストロノミー【美食学】のエベレスト」とも呼ばれるようになりました。第53回を迎える2019年から名称が改められ、現在の名は「ル・テタンジェ賞国際シグネチャーキュイジーヌコンクール」です。

外交の場面においても、テタンジェのシャンパーニュが使用されています。エリゼ宮殿にて開かれるフランス政府の公式晩餐会で使用される他、2014年からは6年連続でシャンパーニュ テタンジェがノーベル賞授与式の晩餐会で提供されました。

・2014年…テタンジェ ブリュット レゼルヴ

・2015年…テタンジェ ブリュット ミレジメ2008

・2016年…テタンジェ コント・ド・シャンパーニュ2006

・2017年…テタンジェ ブリュット レゼルヴ

・2018年…テタンジェ ブリュット ミレジメ2013

・2019年…テタンジェ レ・フォリ・ドゥ・ラ・マルケットリー 

 

食前酒や魚介類の料理と合わせるのはもちろん、『テタンジェ ブリュット ミレジメ2013』のように肉料理とのマリアージュを楽しめる一本もあります。

テタンジェの影響力

長い歴史を持つテタンジェの影響力は計り知れないもので、有名な文学作品や映画の中にもその一端が見られます。

文学作品においては、アレキサンドル・デュマの「三銃士」でテタンジェのシャンパーニュを示唆するような台詞が登場しています。

 

「マルケットリーのウダール神父の方法で造った発泡ぶどう酒を持ってこい。」

(アレキサンドル・デュマ「三銃士」のダルダニアンの台詞より)

 

また、日本の作品の中でも貴重なシャンパーニュとしてテタンジェが語られています。

 

「そこまで凝るんだったら、つぎはシャンパンだね。キャヴィアなら辛口だろうね。ヴーヴ・コリコも悪くないが、テタンジェというのがある。日本ではあまり知られていないみたいだけど、これは量産品じゃないので尊重されているようだ。」

(開高 健「珠玉」より)

 

スパイアクション映画で有名な007シリーズ(「ロシアより愛をこめて」「カジノロワイヤル」)では、ジェームズ・ボンドのお気に入りのシャンパンとして、リュック・ベンソン監督の「ニキータ」では主人公の女性の贈り物として、「Shall We Dance?」(ハリウッド版)ではダンス大会のシーンで登場しています。

また、音楽や芸能方面では、シャンソン歌手で俳優のイヴ・モンタン、ロック歌手のジョニー・アリディ、世界的バレーダンサーのヌレーエフがテタンジェの大ファンとして知られています。

テタンジェのラインアップ

伝統的かつ斬新さも兼ね備えたシャンパーニュを楽しみたい方は、テタンジェの商品をぜひ一度お試しあれください!この項目では、おすすめのシャンパーニュをご紹介します。

特別な日の一杯としても、シャンパーニュ初心者さんのはじめての一杯としても間違いのないラインナップです。

■コント・ド・シャンパーニュ

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

コント・ド・シャンパーニュは、テタンジェのアイコン的役割を担っています。「シャンパーニュの伯爵」という名を冠する特別な存在は、大量生産が難しく、グラン・クリュから採れたシャルドネ種のみを贅沢に使用して造られます。

テタンジェのロゴとなっているのは、シャルドネ品種の祖にあたるブドウの苗木を持ち帰ったチボー4世のシルエットです。彼への敬意を表する意味でテタンジェの代表作は「シャンパーニュ伯爵(コント・ド・シャンパーニュ)」と名付けられました。

シャンパーニュ「テタンジェ」の魅力とは?

 

中でも1957年に誕生した「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」は、使用するブドウ品種の斬新さが業界で話題となりました。グラン・クリュのシャルドネ種100%で仕上げるという希少性の高さは、ワインにもエレガントさ・繊細さを求める時流の変化に合わせたものです。

辛口でキリリとした味わいは洗練された印象を与え、従来のシャンパーニュに甘口で重たい感想を持っていた方もゴクゴク飲み干せます。現代的なニーズに合わせた仕上がりですが、ボトルの形は修道士たちが使っていたものと同じ、フランス革命直前の頃の形です。

 

「テタンジェ コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン2008」のボトル

テタンジェ コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン ブラン・ド・ブラン 2008(参考小売価格:税抜30,000円)

洗練されたフレッシュな味わいには、しっかりと果実味があります。グレープフルーツの中にスパイスのニュアンスを感じる、生き生きとした印象の一本です。シーフードを使った前菜や、トリュフの香りによく合います。

 

 

MK02TAコント・ド・シャンパーニュ ロゼG01外観

コント・ド・シャンパーニュ ロゼ(参考小売価格:税抜39,008円)

可愛らしいロゼの外見どおり、甘く熟した香りが特長です。一番搾りの果汁のみで造られたため、長期の丁寧な熟成によりマルメロゼリーやイチジクを思わせるまろやかな味わいが広がります。

 

 

■テタンジェのシャンパーニュ

もう少し手ごろな価格で特別な味を楽しみたい、という方には、こちらのラインアップがおすすめです。公式の場に採用されることの多いものばかりなので、どれを選んでも間違いありません。

MK16テタンジェ ブリュット レゼルヴ 750mlG01外観

テタンジェ ブリュット レゼルヴ(参考小売価格:税抜6,908円)

甘さとフレッシュさを両立させた、どこかデリケートな果実や蜂蜜の印象を与える一本です。濃厚な果実やブリオッシュ、バニラのような甘さに、白桃や白い花のキュートなニュアンスを加えています。基本的な魚介類の料理はもちろん、エビやカニを使った一皿にもおすすめです。

 

 

 

MK06テタンジェ プレリュード グラン・クリュG01外観

テタンジェ プレリュード グラン・クリュ(参考小売価格:税抜9,808円)

繊細な味わいを楽しみたい方は、プレリュード グラン・クリュはいかがでしょうか。柑橘系の香りが瑞々しく、白桃をシロップ漬けしたような甘いふくよかさを感じます。長く続く複雑で繊細な余韻は、新鮮なエビやカニの料理をはじめとした、魚介料理に最適です。

 

 

 

テタンジェ プレスティージュ ロゼ

プレスティージュ ロゼ(参考小売価格:税抜9,308円)

生き生きとした新鮮さに力強さはもちろん、エレガントさも感じたいという方は、プレスティージュ ロゼをお試しあれ。しっかりとした味わいを演出しながら、なめらかでエレガントな印象も与えてくれる多様性を持っています。フルーツサラダやフルーツタルトなど、果実の甘酸っぱさを楽しめる料理と合わせてみてください。

 

 

 

MK24テタンジェ ノクターンG01外観

テタンジェ ノクターン(参考小売価格:税抜8,208円)

完熟した果実のような豊潤さと繊細な余韻を味わえる一杯です。ノクターン(夜想曲)の名に相応しく、じっくりと向き合いたくなる甘美な魅力があります。フルーツ系のデザートの他、ジンジャーブレッドにフォアグラを添えていただくときにも最適です。

 

 

 

MK28テタンジェ ノクターン スリーヴァーG01外観

テタンジェ ノクターン スリーヴァー(参考小売価格:税抜8,308円)

果実のシロップ漬けやブドウの瑞々しい香りは、繊細さの中に熟した芳醇なアロマを含んでいます。長く続く甘美な余韻は、食前酒にも食後のデザートワインにもおすすめです。フルーツたっぷりのスイーツと合わせてみてください。

 

 

 

 

MK29テタンジェ ノクターン スリーヴァー ロゼG01外観

テタンジェ ノクターン スリーヴァー ロゼ(参考小売価格:税抜10,008円)

明るいピンク色によく合う華やかな香りで、まるで人気のパティスリーを訪れたときのよう。瑞々しい果実味は強いキレがあり、口に含むとしっかりとタンニンを感じられます。骨格のあるロゼを楽しみたいときは、チョコレート菓子を片手にこちらをどうぞ。

 

 

※ワインについては、記事掲載時点での情報です。

まとめ

テタンジェが高品質のシャンパーニュを製造できるのは、自社で優れたブドウ畑と熟成に適したセラーを保有しているからです。
ファミリー経営ならではの一貫したポリシーの元、テタンジェの独自性は後世に受け継がれていくでしょう。

◆リンク
サッポロビールが提供する、テタンジェ