CULTURE

ブルゴーニュにも負けない!ローヌワインのおいしさの秘密

ローヌワインは、ボルドーやブルゴーニュとともにフランスを代表するワインのひとつです。ローヌ川流域に広がる産地で、太陽の日差しをたくさん受けてブドウは育つので、“太陽のワイン”とも呼ばれます。
大きな特長は、気候や土壌などの違いから北と南でブドウ品種や味わいなどの個性が異なること。赤ワイン、白ワイン、ロゼワインもおすすめの、バラエティ豊かな産地です。
ボルドーやブルゴーニュ以外にもフランスワインでお気に入りを見つけたい!という方へ、ここではローヌワインの魅力とおすすめのワイン情報をご紹介します。

ローヌワインの歴史

フランスワインの2大産地といえば、ボルドーとブルゴーニュですが、実はAOC認定ワイン限定の生産量では、ボルドーに続いてフランス国内2位の生産地がローヌです。

ローヌ地方でワイン造りが始まったのは、古代ローマ時代。ローヌ川は北から南に流れており、南北200km、東西100kmにもおよぶ流域の広大な産地には、今もローマ時代の遺跡が残っています。

ローヌワインは北と南で魅力が違う?おすすめのワイン情報

1309年にキリスト教の法王庁(教皇庁)所在地とされたことで、ワイン造りが飛躍的に発展しました。ローヌ渓谷から地中海へ向かって吹き抜ける冷たい風(ミストラル)が雨のあとの湿気などを乾燥させるため、カビなどの病気を防ぎ、小ぶりで凝縮した果実を作ります。

ローヌワインの特長

南北に大きく広がるローヌの気候は、北部と南部で異なります。土壌にも違いが見られ、『ローヌワイン』と一言でいっても北と南でまったく異なる特長に仕上がっているのが、ローヌワインの興味深いところです。

■北部の場合

ローヌワインは北と南で魅力が違う?おすすめのワイン情報

北部はセプタントリオナルとも呼ばれ、イゼール県ヴィエンヌからドローム県のヴァランスまでを指します。地中海の影響を受けない、穏やかな大陸性の気候です。花崗岩や片岩から成る土壌の急斜面に作られた段々畑でブドウ栽培が行われます。

丁寧に手作業で収穫されたブドウには高級ワインも多く、『コート・ロティ』『エルミタージュ』は代表的な産地です。

赤ワイン用に栽培されるブドウ品種は、おもにシラー種があげられます。シラー種は、オーストラリアなどではシラーズ種と呼ばれています。単一品種で造られるアペラシオン(産地)が多く、中でもエルミタージュは世界最高峰のシラー種の産地として多くの生産者の憧れの的です。
ローヌ北部のシラーは、なめし皮やタールなどと強い表現をされることが多く、若いうちは力強いですが、熟成をすると素晴らしい滑らかさと丸みを見せる品種です。

白ワインはヴィオニエ種やルーサンヌ種、マルサンヌ種が主要品種です。

ヴィオニエ種は、穏やかな酸にアプリコットやピーチ、オレンジなど華やかな香りが折り重なった厚みのある味わいに仕上がります。ヴィオニエのみを用いた白ワイン産地としては、シャトー・グリエとコンドリューが有名です。

ルーサンヌ種、マルサンヌ種は赤ワインの補助品種としても使用されます。トロリとした濃厚な味わいと、花束やアカシアの蜂蜜を思わせる芳醇な香りを楽しませてくれます。

■南部の場合

ローヌワインは北と南で魅力が違う?おすすめのワイン情報

南部はメリディオナルともいい、夏の雨が少なく、地中海性気候の影響を大きく受ける地域です。日差しが強い一方、ローヌ渓谷から吹き抜ける冷たい風(ミストラル)によって、品質の良いブドウ栽培が可能となっています。南部はワイン生産量が多く、ローヌ全体の大多数を占めています。

地域はドローム県モンテリマールから、ヴォクリューズ県アヴィニヨン近辺までの範囲です。土壌は様々で、ローヌ川を挟んだ右岸と左岸でも大きく違います。粘土や砂が多く見られる畑や、石灰岩の小石や砂で構成された畑、小石の大小など、まったく異なる特長の畑が入り乱れている地域です。ブドウ品種がとても多くあります。

共通点は、アルコール度数が高く、穏やかな酸味の中に果実味をしっかり感じる濃厚な味わいのワインに仕上がることです。ブレンドや品種を混ぜて醸造する混醸が主流のため、直感的に美味しさを楽しめるワインばかりです。

南部の高級ワイン産地といえば、シャトーヌフ・デュ・パプ(法王の新城)が有名です。指定ブドウ品種は13種にもおよびますが、実際にはグルナッシュ種が広く栽培面積を占めており、濃厚でスパイシーな赤ワインと芳醇でエレガントな白ワインが造られます。

他にもグルナッシュ種を主体とするロゼワインのみの産地、タヴェルも有名です。フランスのロゼワインの草分け的存在です。
手頃でコストパフォーマンスのよいワインを求めるなら、『コート・デュ・ローヌ』と記載されているワインがおすすめです。南部地区を中心にしたローヌ全域を産地とするワインです。気軽に試せる価格設定なので、生産者の特長を楽しみながらお気に入りの一本を探せます。

おすすめのローヌワインをご紹介

北部と南部、ブドウ品種と生産者、様々な要因で異なる味わいを見せるローヌワインは、実に奥の深い魅力的な存在です。

でも、初めてローヌワインに挑戦する方にとって、「結局、どれから試してみれば良いの?」と頭を悩ませる部分でもあるかもしれませんね。

初めての方は、生産量も多い南部地区のワインから試してみられることをおすすめします。最後におすすめのローヌワインをワイナリー情報とともにご紹介します。

■ローヌワインの名門 M. シャプティエ

1808年ローヌの銘醸地タン・エルミタージュに創業してから7代目ミッシェル・シャプティエに至るまで、一貫した家族経営のもと、畑を守り、テロワールを尊重する姿勢を貫く造り手です。

テロワールやその年の特長を土壌に語らせ、それを純粋に表現することが現当主ミッシェルの哲学。「自然は常に最終決定権を持っている」という捉え方は、まさしく地球環境を頂点とし、人間はその従事者であることを示唆し、SDG’sの考えにも則した同氏の姿勢は世界を変えていきます。

世界中のワイン専門家や著名ソムリエが一目置く存在であり、ロバート・パーカー氏に「地球の輝き煌めく光のひとつ」、「これ以上に並外れたワインを造り出すワイナリーは世界中探しても殆どない」と言わしめたエルミタージュにおける最高峰の造り手。ビオディナミ農法への取り組みも早く、伝統と現代性を組み合わせた革新的かつ謙虚なワイン造りが感動と本物の味わいをもたらしています。

その結果、世界的なワイン専門誌「ワイン・アドヴォケイト誌」のワイン評価基準として知られるパーカーポイントにおいて100点満点の最高評価を40回以上も獲得する等の偉業も果たしています。自然に敬意をはらったミッシェル氏の情熱的なワインはまさしく“芸術作品”ともいえます。

そんなローヌ地方を代表するワイナリー、M.シャプティエのワインで特におすすめの4本をご紹介します。

・シャトーヌフ・デュ・パプ ルージュ ラ・ベルナルディン(参考小売価格:税抜6,000円)

ローヌ地方南部を代表する産地、シャトーヌフ・デュ・パプのグルナッシュ種、シラー種、ムールヴェードル種のブドウから造られる赤ワイン。

伝統的なシャトーヌフ・デュ・パプのスタイルを保ちながらも豊かな香りと味わい、飲みやすさ等現代の消費者のニーズに合わせて作り出されています。プルーンのような甘く濃厚な香りの中に、スパイシーさが顔を覗かせます。

繊細なタンニンと個性的なブーケが、どこかエレガントさを感じさせる赤ワインに仕上げています。赤ワインに定番のローストビーフや牛肉の赤ワイン煮込みはもちろん、丸みのある味わいには、和食のすき焼きもよく合います。

 

ローヌワインは北と南で魅力が違う?おすすめのワイン情報

 

・コート・デュ・ローヌ ルージュ ベルルーシュ(参考小売価格:税抜1,700円)

手頃ながら本格的な味わいが楽しめる赤ワインです。

グルナッシュ種、シラー種のブドウを使用し、伝統的な手法でローヌ地方のAOCワインとしての特長を残しつつ、果実味豊かな味わいが、現代の食事にぴったり。

肉料理で合わせるワインに迷ったら、間違いないのがこの一本。
又、ブルーチーズ(青カビのチーズ)などの個性的なチーズとあわせるのもおすすめです。

 

ローヌワインは北と南で魅力が違う?おすすめのワイン情報

 

コート・デユ・ローヌ ブラン ベルルーシュ_外観

・コート・デュ・ローヌ ブラン べルルーシュ(参考小売価格:税抜1,700円)

手頃に飲めるローヌの白ワインなら、こちらが最適です。グルナッシュ・ブラン種、ルーサンヌ種、ヴィオニエ種等のブドウを使用しています。杏や蜂蜜のような優しく甘い香りと、豊かな果実味が心地よいワインです。

フレッシュで生き生きとした飲み口が特長です。魚介料理との相性はもちろん、チーズともよく合います。口当たりがよく食前酒としてもぴったり。

 

ローヌワインは北と南で魅力が違う?おすすめのワイン情報

 

〇シングル・ヴィンヤードシリーズ (セレクション・パーセレール)

環境に配慮した有機・ビオディナミ農法で丁寧に育てられたブドウを使用しており、パーカーポイント100点満点を40回以上獲得した、M.シャプティエを代表するシリーズです。エルミタージュ ルージュ ル パヴィヨン 2010_外観

 

・エルミタージュ ルージュ ル・パヴィヨン(参考小売価格:税抜120,000円(2003年)/100,000円(2009年)/100,000円(2010年)

ル・パヴィヨン区画の、平均樹齢65年以上の樹木から収穫されるブドウのみを使用しています。品質の高いシラー種の果汁をコンクリートタンクでじっくり発酵させ、オーク樽で熟成させることで、味わいは複雑でアッタクは強めに仕上がりました。

 

 

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〇エクセレンスシリーズ

こちらも有機・ビオディナミ農法によって栽培したブドウを使用し、小ロットで丁寧に生産されています。M.シャプティエの神髄を楽しみたい方に最適なシリーズです。

エルミタージュ ルージュ モニエ ドラ シズランヌ_外観

・エルミタージュ ルージュ モニエ・ド・ラ・シズランヌ(参考小売価格:税抜12,000円)
(2015年 WE 94pt, Vinous 94pt, PK 95pを獲得)

シズランヌの名はエルミタージュの畑の名であり、さらに遡るとかつての所有者の名が由来です。M.シャプティエのすべてのワインには点字が併用されており、点字の短縮版を開発したシズランヌの功績を讃える意味も込めてワインの名の一部となりました。

由緒あるシズランヌを含めた、3つの畑から収穫されたブドウを使用して生産されています。味わいは凝縮感のあるエレガントな香りでありつつも、まろやかで優しいタンニンが特長です。

 

 

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〇コレクション・ビオ

EUで有機認証(ユーロリーフ)を受けたブドウのみを使用して造られるワインシリーズです。7代目を継いだミシェル・シャプティエが情熱を注ぎ、ブドウの個性を最大限に引き出しています。ミシェル・シャプティエのワイン造りへの想いが伝わるワインです。

コート・デュ・ローヌ ルージュ コレクション・ビオ_外観

・コート・デュ・ローヌ ルージュ コレクション・ビオ(参考小売価格:税抜1,900円)
(2019年 Vinous 88ptを獲得)

使用されるブドウは、「ヴィラ・フランチェスカン」と呼ばれる、滑らかな丸い小石に覆われた土壌で育ったもののみを厳選しています。美しいストラクチャー(骨格)のある味わいで、リッチかつフルーティな香りによるエレガントな印象が特長です。

 

 

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〇スペシャリティーズシリーズ

その名のとおり、最高級のブドウから造られるワインのみをラインナップしたシリーズです。ワイン単独ではなく、美味しい食事とのマリアージュも含めて楽しめる、さまざまな可能性を秘めています。

コート・デュ・ローヌ ルージュ コレクション・ビオ_外観

・サン・ペレイ ブリュット ナチュール ラ・ミューズ・ド・ワーグナー RW(参考小売価格:税抜5,500円)
(2015年 Vinous 92ptを獲得)

別々に醸造された、2つの異なる土壌のワインをブレンドしたものです。堆積地層の土壌から収穫されたブドウを使用したワインと、花崗岩由来の土壌から収穫されたブドウのワインは、それぞれ異なる特長を持っています。2つのワインをブレンドすることによって、しっかりとした骨格や、フレッシュで豊かな芳香を感じられる味わいに仕上がりました。

 

 

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※ワインについては、記事掲載時点での情報です。

まとめ

ローヌワインは、フランスのボルドーやブルゴーニュと肩を並べる広大なワイン産地のうちのひとつです。北部と南部でまったく異なる様相を見せる気候や土壌で、多様性を見せてくれます。バラエティ豊かで個性的なローヌのワインにぜひ挑戦してみてください。

 

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