
![]()
収穫したばかりのガメイ種から造られるフレッシュなワインは、1800年代からデイリーワインとしてボージョレ周辺の地元住民を中心に楽しまれていました。そんな「地酒」であったボージョレ・ヌーボーが、1951年フランス政府によって公式に11月15日を解禁日として発売することが認められたのを期に、パリのレストランを中心に大ブームとなったのです。そして 1970年代に入ると陸路・空路の発達に伴い、そのフレッシュな味わいが日本を含め世界中に知られることとなりました。
現在、ボージョレ・ヌーボーの解禁日は毎年11月の第3木曜日。しかし実は一番最初は11月11日が解禁日だったのです。それは、ボージョレ地区で最も収穫の早いワインが出来あがるのがいつもだいたいこの日の周辺であり、さらにこの日はサン・マルタンの日という聖人の日であったため、縁起も良いしボージョレ・ヌーボーの解禁日にしよう、ということになったのです。ところが後に11月11日はサン・マルタンの日から無名戦士の日に変更されてしまったため、その日から一番近い別の聖人の日、サン・タルベールの日である11月15日に解禁日を移しました。しかししかし、またもや問題が発生。解禁日を固定してしまうと、年によっては土曜日や日曜日になってしまい、売れ行きにも大きな影響があります。(フランスでは日曜日は殆どのワインショップ、レストランがお休みなのです。)そこで、フランス政府が1984年に解決策を考案。「毎年、11月の第3木曜日」という、毎年変動する解禁日に設定した、というわけです。
ボージョレ・ヌーボーは、単なる新酒だと思っている人がとても多いのですが、そのほかにワインの造り方の上でも大きな特徴があります。それは「マセラシオン・カルボニック」という醸造方法です。日本語に訳すと「炭酸ガス浸潤法」といいます。通常は収穫したぶどうを破砕してから発酵させますが、マセラシオン・カルボニック法では、破砕せず縦型の大きなステンレスタンクに上からどんどん入れてしまいます。タンクの下の方のぶどうは重さでつぶれ、果汁が流れ出て自然に発酵が始まります。発酵が始まると炭酸ガスが生成されますから、次第にタンク全体が炭酸ガスで充満します。その中ではつぶれていないぶどうの細胞内部で酵素の働きによってリンゴ酸が分解され、アルコール、アミノ酸、コハク酸などが生成され、ぶどうの皮からも成分が浸出します。この方法で造ったワインはタンニンが少ないわりには色が濃く、渋みや苦味が通常のワインより少なくなります。リンゴ酸も分解されるので、味わいもまろやかになり、炭酸ガスによって酸化が防止されるのでワインがフレッシュに仕上がります。全体的にライトな感じにできあがり、独特のバナナのような香りもします。したがって新酒の状態でも充分飲めるものになるわけです。
フレッシュさが特徴のボージョレ・ヌーボーは、少し冷やしたほうがすっきりとお楽しみただけます。普通のワインの場合、冷やしすぎるとタンニンによる渋みが強調されて飲みにくくなってしまいますが、ボージョレ・ヌーボーは渋みが出ないような造り方をしているのでその心配はありません。冷蔵庫で1時間くらい冷やして、お料理とともに気軽にお楽しみください。早飲みタイプのワインなので、購入後はなるべく早いうちにお飲み頂くことをおすすめします。
ところで、ボージョレ・ヌーボーは、「ボジョレー」と呼ばれることがあります。日本で最初に紹介されたときはメディアはほとんど「ボジョレー」と呼んでいました。その影響でいまも「ボジョレー」が正しい名称と思っている方も多いようです。ただ、フランス語の発音に近いのは「ボージョレ」のため新聞やワインの輸入元では「ボージョレ」と呼ぶことが多く、一般的になりつつあります。
