サッポロビール株式会社
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プロフェッショナルスタイル 超一流カウンターマン 4人が語る 生ビール提供法
営業主任 安田 真路(やすだ しんじ)氏
先輩から引き継いだ「注ぎ手としての責任の重さ」を実感
こんな話をしてくれた。
常連のお客様がお店にやってきた。応対に立った先輩はそっと頷いていつものごとくビールを注出。注がれたビールを飲んだお客様は「こういうビールが飲みたかった。」と満足げな表情に…。
その先輩は、お客様がどんなビールを欲しているのか、顔を見ただけで理解したのだった。
カウンターで初めてその光景に遭遇した安田氏は、「先輩がお客様の性格をわかっているからこそ、あのような光景が実現する。これはすごいことだと思った」という。
安田氏は阪神大震災の翌年20歳のとき、学生アルバイトとして大阪のニューミュンヘン本店のカウンターに就いた。
そのとき、生ビールについてこまごまと教えてくれたのが前述の先輩であり、彼の師匠にもなった人である。
その9年後の平成17年に正式入社。9年間生ビールから離れずやってきたのは「すばらしい先輩に出会えたこと」さらに「地場でつくっている、純粋なサッポロ生ビールがひたすら好きであったこと」につきるという。
そして30代後半になったいま、先輩は定年で退き、換わりに彼がここ神戸大使館のカウンターに立っている。
いま「本当にビールが好きなお客様とお付き合いしている」ことに喜びを感じつつ、「引き継いだ注ぎ手としての責任の重さを実感」しているという。
安田氏の名前が「ビールに関する姿勢」とオーバーラップ
安田氏と話をしていると「真面目な人柄」という印象が強く残る。そんな氏の手を見ると、潤いのある清潔な指先をしている。
「ビールの注出は手先の仕事なので、常に指先の感覚を研ぎ澄ますようにしています。乾燥させていてはできません。」扱う器具の状態を感じ取れるよう手入れを怠らないという。そして、注出にあたっては、それを証明する動作を必ず行っている。カラン操作の前にレバーに2、3 回触れるのである。
「実はカランの遊びを確認しています。わからないまま作業するとレバーの開閉動作に影響がでるからです。」
試行錯誤のうえ、本人に合った手法を見いだした結果であると思える。
生ビールの注出はやはり微妙な作業であり、カウンターマンの数だけ手法があるといえる。そこから見えてくるものは常に「真の路」を探求する氏の姿。まさに、氏の名前がその姿勢を表しているように思えてくる。
泡の下にビールを差し込むように注ぎ、静かに泡を持ち上げる…「泡づくり」
安田氏が最初に就いた本店カウンターではスウィングカランによって注出を行っていたが、現在勤務するここ神戸大使館は、スライドカランでお客様にビールを提供している。カランの形状は違っても、安田氏は変わることなく「ニューミュンヘンの生ビールの味」を確実に注ぎだしている。
ここで、安田氏の注ぐ様子を見てみよう。左手でジョッキを持ち右手でカランの操作をする。
ジョッキをカランの横から斜めに傾け、内側を注出口の中程に付ける。見かけは、握る手と注出口でジョッキを支えているように見える。
ジョッキの持ち方は、親指と人差し指で把手の上端を握り、中指はジョッキ側面を突くように伸ばし、残りの2指で把手を軽く握りバランスをとっている。
次に、カランを開き注出を開始。ビールの注出量に合わせジョッキを起こし、泡が7割ぐらいになったらカランを閉じる。
ここまでを安田氏は「カランを開けて・閉めて・ビールが満たされる…。ワン・ツー・スリーで3秒弱」と表現する。
そして泡切り。しばらく静置してから、1回目より少し下げた位置でジョッキを斜めに構え、泡の下にビールを差し込むように注ぎ、静かに泡を持ち上げていく。
最後に泡をきれいな状態に仕上げたら、お客様に提供するという流れである。
後進には注出方法の前に「ジョッキの洗浄」の指導を徹底
「2回目に注出する際のカランとの距離感が難しい。若手が一番苦労するところです。」という安田氏は、「仕事は身体で覚えろ、見て覚えろといわれていた最後の世代。」
しかし、後進の指導に当たっては「一通りの手順を説明して、さらに、どのポジションでグラスを傾けるか、注ぐタイミングはいつなのか、何秒で終了するかなどについて細かく教え込んでいます」が「私が、注出のコツをつかんだと思えるようになるまで5年かかりました。理屈でわかっても手がついてこないのが実情です。」
また、「どんなに注出が良くてもジョッキが汚れていてはいけません。注出指導の前に、後進に徹底させています。」それは「ビヤホールが守らなければいけない絶対条件」である。
震災の翌年に「ビール工場を併設」した神戸大使館が誕生
ここ、ニューミュンヘン神戸大使館は、東京オリンピックの年に生まれたが平成7年の阪神大震災で全壊。
しかし、数ヶ月後に再建の決意をし、翌年、オリジナルビール醸造工場を併設したテーブル600席の、新しい神戸大使館を誕生させた。
そんなすばらしい設備を備えるビヤホールのカウンターに安田氏は立っている。その頭上には氏の性格を表すかのようにまっすぐに延びる大吹き抜けが展開。
氏は毎朝、沐浴をしてから出社する。お客様の前に立つには清潔であること。そこから気持ちよい交流がお客様との間に生まれると考えるからだ。
安田氏は今回取材に応じていただいたカウンターマンのなかで一番若い30代。しかし、生ビールに取り組む姿勢と、技術は皆と肩を並べるキャリアを持っている。
ビヤホールの、若き一流カウンターマンの「繊細な指先が注ぎだすおいしさ」を、ぜひ、堪能されることをおすすめしたい。