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ホーム > 商品情報 > 麦とホップ > THE SELECTED vol.3 素材からこだわるチーズ工房

麦とホップ×TABI LABO
「THE SELECTED」~素材からこだわるチーズ工房~
取材・撮影 TABI LABO

麦とホップ×TABI LABO
「THE SELECTED」
~素材からこだわるチーズ工房~
取材・撮影 TABI LABO

群馬県前橋市、赤城山で有名な同地のその麓にチーズ工房「Three Brown」はある。ここではオーナーである松島さん夫妻が自ら牛を育て、チーズをつくり、そして販売までを手がけている。
つまり、チーズにかかわるすべてを夫婦二人でこなしているということだが、なぜそこまでするのか? 話を聞いてみると、二人が大切にする「素材へのこだわり」が見えてきた。

素材からこだわるチーズづくり 「一番大切なのは、ミルク」

松島さん夫妻がチーズ工房「Three Brown」をオープンさせたのは、2013年6月。牛を育てるところからチーズづくりをはじめるという、全国的にも珍しいお店だ。育てている牛はブラウンスイス牛。これもまた日本では珍しい種類。 「北海道で酪農をやっている私の実家から、引退を機に3頭を引き取りました。それが2011年3月で、東日本大震災直後。引き取ることは以前から決まっていたので、延期することもできず大変だったんですけど、兄弟にも手伝ってもらいながら、牛舎や工房を自分たちでつくりました」と俊樹さん。
そうまでして牛を育てることにこだわるのは「チーズづくりにおいて一番重要なのは、技術ではなくミルクだ」という想いがあるから。
「チーズの味の7割は、ミルクが占めると思っています。だから酪農家さんからミルクを買っていると、もし納得いかない部分が出たとき、どうしても酪農家さんのせいにしてしまう。自分が納得するチーズをつくるためには、納得できるミルクが必要……それには自分で牛を飼うのが一番なんじゃないかと考えました」(俊樹さん) 国内で圧倒的なシェアを誇るホルスタインではなく、ブラウンスイスを飼うことにしたのも、理想のミルク、そしてチーズづくりには最適だと判断したため。
そう、チーズづくりにおいて素材にこだわれば「ミルク」、そして「牛選び」へとさかのぼっていくのは必然なのだろう。

理想のミルクは
牛の育て方から始まる

もちろん、良い牛を選んだからといって、すぐに良いミルクが採れるわけではない。松島夫妻の話からは、育て方にも強いこだわりを見ることができる。 「質の高いミルクを得るためには、最高の餌が必要です。安い餌は決して求めず、コストがかかってもいいので、牛が気持ちよく、たくさん食べてくれる餌を選んでいます」(俊樹さん) メインとして与えているのは「草」。穀物のほうが牛がたくさんミルクを出してくれるそうだが、松島さん夫妻が求めるのは量ではなく質だ。世の中にはミルクはたくさん採れても病気がちで、身体がボロボロの牛も少なくないという。
「牛も人間と同じ。変なものばかり食べていたら、どうしても調子が悪くなります」と俊樹さん。
Three Brownではミルクの量が少なくても、健康で質の高いミルクをつくる牛を育てることに注力しているのだ。
「最高の餌を用意して、牛が安定して質の高いミルクをつくれるようにサポートするのが我々の仕事。コストを抑えられる自給飼料を考えたこともありますが、牛の体調を万全に保つためなら、コストを掛けてでもちゃんとした飼料を準備することが大切なのです」と俊樹さん。
さらに続けて「牛は家族であり、従業員のような存在。だからこそ健康でいてもらいたいという想いも持っています」。

シーズンで変化する味
それが、Three Brownらしさ

市販のチーズは、年間を通して一定の味を維持するのが当たり前。しかし、Three Brownのチーズは季節によって変化するのが特徴だ。 「夏は暑いので、牛もたくさん水を飲みます。そうするとミルクもちょっとさっぱりした味になります。逆に冬は脂肪分が高くなって、濃厚な味わいになります。春は放牧場で青草をたくさん食べるので、ミルクがより黄色くなって、一番美味しく感じられますよ」(俊樹さん) こうした味の変化を、俊樹さんはあえてそのままの状態でチーズへと加工する。それは決して「仕方がない」からではなく、季節の移り変わりや素材の変化も感じてもらいたいから。 「たとえば私たちも、夏はさっぱりしたものが食べたいですよね。自然のものって、じつは私たちと同じ状態なんですよね。だから、そのまま食べてもらうのが一番美味しいんです」(俊樹さん)
もちろん多くのお客様は、そうした事情は知らない。だからこそ、Three Brownでは対面販売によるお客様とのコミュニケーションを大事にしている。 「季節によって変わるチーズの味わいを、私から直接お客様に紹介できるのは、ミルクづくりからおこなっているThree Brownだからこそだな、と思っています。味の変化をネガティブに捉えられないよう、むしろ楽しんでもらえるように心がけています」(薫さん)

「声」に耳を傾け
地元に愛されるチーズ屋さんに

松島さん夫妻が大切にしていることのひとつが、お客様とのコミュニケーションだ。主に店頭に立つのは薫さんで、お客様とのやりとりのなかで感じ取ったことを毎日、俊樹さんに話す。 「自分たちのチーズを食べている人の顔が見えるからこそ、『こだわりを持ってつくろう』という気になるんです」と俊樹さん。
そう、お客様の声はチーズづくりの大事な糧となっているのだ。 そんなThree Brownには、SNSや口コミを通じて多くのお客様が様々な地域からやってくる。東京や埼玉といった遠方からも多く、松島さん夫妻は「本当にありがたい」と笑顔を見せる。一方、そのなかでもとくに嬉しいと感じているのが「ご近所の方々」だそうだ。
「私たちは常日頃、地元を大切にしたいという想いを強く持っています。Three Brownのチーズがどんどん有名になって、たとえば全国で売れるようになったとしても、地元の人が誰も知らないのであれば、最後には虚しさしか残らないと思うんですよね。だから、たとえ年に1回でもいいから、ご近所さんに来て欲しい。記念日などの特別な日に、うちのチーズを求めてくれると嬉しいですね」(俊樹さん)

「お客様が満足するものを届けたい」

“牛を飼ってチーズをつくる”という、若い頃の夢を叶えた俊樹さん。一度はそれで満足してしまい、次のステップへのモチベーションが上がらなかった時期があったという。それを変えてくれたのが、お客様だ。 「はじめは自己満足でやっていた部分が多かったんですね。だけど、お客様が満足してくれる、喜んでもらえるということが一番嬉しいことだと、ある日気づいたんです」(俊樹さん) そうして次のステップとして、「どうすればお客様により満足してもらえるか」を考えるようになったという。現在、Three Brownではお客様目線による設備投資や商品づくりを意識し、つねにアップデートを試みているそうだ。
「自分が客側だったらどう思うか? 何が変われば良いのか? 劇的に変化することは難しいと思いますが、お客様が訪れるたびに『だんだん良くなってるね』と言われるようなお店を目指しています」(薫さん) 「今はお客様が『本当に良かった』と言ってくれることが、最高の喜びだと思っています」(俊樹さん) 仕事後に自分でつくったチーズと一緒にビールを嗜むこともあるという。 「特にジル熟成のチーズと合わせますね。チーズのクセと、香りと、麦の香りがとてもマッチするんですよね」(俊樹さん) 素材の質にこだわりつつ、お客様の声にも耳を傾ける……そして、一日の終わりの時間に自分でもテイスティングする。そうして常により良いものをつくることこそが、手に取った人が本当に満足する「最高の一口目」につながるのではないだろうか。