ホーム > 会社情報 > 研究開発 > 価値創造フロンティア研究所 > 効率的な酵母遺伝子の挙動解析を実現した「ショットガンゲノムアレイ」

効率的な遺伝子の挙動解析に成功

今後の発酵技術の向上に大きく貢献
ビールの発酵過程でアルコールや炭酸ガスを作り、さらに味や香りを生み出す上でも重要な役割を果たしている“酵母”。生き物である酵母は1つひとつに個性があり、その活動によって400種以上もの成分を生み出してビールに幅広いバリエーションをもたらしています。ビールにとってこれほど大切な酵母ですが、従来、酵母が発酵中にどう変化し、どのような味や香りを作り出すかの判断は経験則によるしかありませんでした。これを科学的に進歩させたのが「DNAマイクロアレイ」で、ビールづくりに生かす上で必要な、発酵中の酵母遺伝子の挙動を網羅的に解析することを可能にしました。
DNAマイクロアレイは通常、1セットの解析に数億円単位の費用と1年近くの時間がかかる大がかりなものですが、サッポロの価値創造フロンティア研究所は、より効率的な手法の開発とともにこの技術の導入に取り組みました。そして、研究を進める中で注目したのが日立製作所が開発した「ショットガンゲノムアレイ」でした。一般的なアレイは遺伝子の配列情報が必要で、この作業に多くの費用と時間を要していたのに対し、ショットガンゲノムアレイの場合すべての配列情報までは必要とせず、切断したゲノムDNAをガラス基板上に無作為に固定してアレイを作製。比較対象とする別のサンプルに比べ、遺伝子の発現量に差が見られた断片のみ塩基配列および機能解析を行うため効率的で、コストを1/10に、期間を1/2に抑えることに成功しました。
研究チームでは今回開発した技術を生かしてより多くの酵母データを蓄積し、香味に重要な役割を果たす遺伝子マーカーの探索や、発酵中の酵母代謝経路の解明などを進め、将来的には発酵全般を自在に制御する技術への発展を目指しています。