"イタリア版屋台=バンカレッラ"を店名に冠した「バンカレッラ・ジョイア」は、その名の通り店内に屋台を再現したユニークなイタリアンレストランだ。ビジネス街である東京・京橋にある築40年の雑居ビル地下、14坪26席の小体な店の中に、屋台に見立てたカウンターを設置。その周囲に客席を配することで、独特の賑わい感を出している。グランド30品、日替わり15品を揃えるフードメニューのうち、日替わりの8~10品が大皿に盛られてカウンターに並ぶ。お客はこれを見てメニューを選び、従業員が皿に取り分けて提供。「紋甲イカのベネツィア風煮込み」680円、「イワシのベッカフィーコ」530円など地方色も取り入れた本格的な料理は料理長の溝口勝之氏一人で担当するが、大皿には調理済みのメニューを並べるためクイック提供が可能だ。カウンターの視覚効果も相まって、主客層である周辺OLの高い支持を獲得。オープンは東日本大震災直後の今年3月14日という最悪のタイミングだったが、着実に売上げを伸ばし目標の月商300万円達成も目前だ。
バンカレッラ ジョイア
アン・ヴェール
2009年2月にオープンした「アン・ヴェール」は、フランス料理をベースとしながら明確に"居酒屋"を意識した業態づくりで人気を集めるブラッスリーだ。「自家製若鶏のハム」や「新玉ねぎのココット焼き」といった300円均一メニューで"とりあえず一品"のニーズを吸収。さらに「牛ほほ肉のビール煮」1200円や「アイオリ~魚介の盛り合わせ・にんにく風味のマヨネーズで」2400円といった取り分けできるメイン料理を揃え、ワインとともに料理を気軽に楽しむスタイルを打ち出している。ワインの提供法もユニークで、注目したいのはグラスワインである「本日のコップ酒」480円。その名が示す通り、グラスに180mlをなみなみと注いで出す。足のないワイングラスで提供し、"がぶ飲みワイン"としての気安さを演出。アルコールの売上げ比率は58%で、うち80%をワインが占めている。客単価は4500円で、16坪36席で月商320万円を売り上げている。
"小皿イタリアン"と銘打つ「バロンドール」(東京・日本橋)は、2009年9月にオープン。29坪49席で月商750万円を売り上げる繁盛店だが、まず特徴的なのが店づくりだ。L字型をした物件の形状を巧みに活用。角に位置する8席のバーカウンターを境として、テーブル席、キッチンに面したカウンター席とエリアを完全に分け、それぞれに異なる機能を持たせている。テーブル席はしっかりと食事が楽しめるエリア、カップル客はカウンター席に案内、一人客にはバーカウンターでハーフサイズの料理も提供、といった具合だ。フードメニューは、前菜の小皿料理19品(420~880円)をはじめ44品をラインアップし、最高価格は1650円。アルコールの主力であるワインも500~700円で10種類前後のグラスワインを揃えるなど、カジュアルな動機に対応できるメニュー構成だ。これにより"ちょい飲み"利用の吸収にも成功、夜の客単価は3800円で推移している。
バロンドール

- こうした洋のカジュアル業態が吸収しているのは、従来のレストランでも、居酒屋でも対応できなかったニーズである。それを一言で言えば「自分のペースで食事を楽しみたい」ということだ。かしこまったレストランでは店側のペース(提供のタイミングなど)に合わせないといけないし、居酒屋では料理のクオリティに満足できない。そういう"わがままなお客"に対応しようというのが、業態づくりのベースになっている。しかし、それこそが商売の本質。この難しい時代にお客を掴むヒントを、こうした業態から学びたい。

- バンカレッラ ジョイア
- 東京都中央区京橋3-3-12 山京ビルB1 TEL03-3231-8588
11:30~14:00 17:30~翌0:00 日曜・祝日定休 店舗規模/14坪26席
店内はレンガの壁や街灯、草木など、屋台を模した装飾を随所に施し、地階でありながら開放的な空間をつくることに成功。屋台の雰囲気が、アルコールの主力であるワインの出数増にも貢献している。夜の客単価は3500円で推移。経営母体は(株)ジョイアで、料理長の溝口氏は同社の専務取締役も務める。

- アン・ヴェール
- 東京都新宿区西新宿1-4-15 高松ビルB1 TEL03-3344-4774
17:00~翌1:00 日曜定休 店舗規模/16坪36席
経営母体の(有)ウッドアンドリバーコーポレーションは、ワイン、ビール、モルトウイスキーといったアルコールのジャンルごとにブラッスリー、パブ、バーなど多業態を展開しているユニークな企業。アン・ヴェールでは、複数注文を喚起するメニューづくりの工夫で、ワインを柱にした業態開発に成功した。

- バロンドール
- 東京都中央区日本橋人形町1-4-13 TEL03-6206-2164
11:30~14:30(土曜12:00~) 17:00~23:00(金・祝日~翌2:00) 無休 店舗規模/29坪49席
多様な動機を掴む店づくりに加えて、お客の動機に合わせたメニューの提案などハイタッチな接客サービスも売り。これが近隣のOLやサラリーマンなど固定客を掴むことにつながった。経営母体の(株)エンジョイライファーでは、2011年9月に2号店の居酒屋「ワイン食堂パパン」を東京・湯島にオープンしている。











