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ホーム > 箱根駅伝応援サイト > 第94回箱根駅伝シンポジウム

サッポロビール 箱根駅伝 応援サイト

 第94回東京箱根間往復大学駅伝競走(2018年1月2日、3日)を前に恒例の「箱根駅伝シンポジウム」が11月22日、東京・大手町の読売新聞社内「よみうり大手町ホール」で開催された。今回は、「箱根駅伝の更なる可能性と魅力を探る」をテーマに2部構成のパネルディスカッションを実施。

 陸上競技男子短距離で活躍した朝原宣治氏をはじめ、各分野の元アスリートらが、箱根駅伝が目指す役割や選手たちの意識づけについて意見を交わした。本番まで約1ヵ月、戦国駅伝の様相を呈する今大会を前に、多くの箱根駅伝ファンが会場に詰めかけた。

【第1部 パネルディスカッション】 トップアスリートの戦う〝意識〟と〝気づき〟

 『トップアスリートの戦う〝意識〟と〝気づき〟』と題して行われた第1部のパネルディスカッション。パネリストは2008年の北京五輪男子4×100mリレーのメダルを獲得したメンバー・朝原宣治氏、五輪3大会で4つのメダルを獲得した元競泳選手・松田丈志氏、盗塁成功率で日本プロ野球最高記録を保持する元読売巨人軍の鈴木尚広氏に加え、関東学連駅伝対策委員長で山梨学院大学陸上競技部監督の上田誠仁氏の4人。司会は日本テレビ・杉野真実アナウンサーが務め、パネリストは互いに意見を交わした。

 鈴木氏は、前の2人の意見を統合するかのごとく「プロとしてどうあるべきかを常に意識していた」と述べた。シビアなプロ野球の世界において、結果を出すには行動あるのみ。1軍と2軍を隔てる要素を例に挙げ、「自分自身に言い訳をせず、責任を持つことが大切」と話す。さらに、「1軍も2軍も同じプロ野球選手ですが、考え方は異なります。1軍はある種独立していて、各自が自分自身をマネジメントできる。2軍の選手はまだ自身の方法論を確立していない中で、ようやく何かをつかんで飛び立っていく。その点で、両軍には意識の面で圧倒的な差があるんです」と力を込めた。

 元トップアスリート3名の意識を聞いて、上田氏は言った。「プロ意識。自分を律して立つ。〝自律〟と〝自立〟の両方が揃って初めてプロと言える。箱根駅伝ランナーが全てプロになれるわけではありませんが、プロの姿勢から学ぶことは多々あります」。

 大学生で世界を意識した朝原氏は、1995年頃にドイツに留学し、世界レベルの環境で練習に励んだ。自分自身の立ち位置を模索する上で気づいたことは「世界基準との差」であった。必然的に、世界レベルの選手の練習や生活に注意が向いていく。

 「プロのコーチに師事して、プロ選手たちと共に転戦していると、日本での常識と全く異なる点に気づきます。それでも彼らはきちんと結果を出している。そんな経験を通じて自分の中で固定観念が消え、さまざまな価値観の上でそれぞれ成功に向けたストーリーがある、ということに気づきました」

 当時は同じ考えを持っている選手は国内に少なかったというが、「今の若手は即世界を見ているので頼もしい。教わるよりも経験しないと分からない領域もある」と約3年後に東京五輪を控える若い世代に期待を込めた。

 鈴木氏は「怪我から多くを学んだ」と話す。2軍時代は1年間に3度も骨折に見舞われ、つけられたあだ名は〝骨折くん〟。「何かを変えなくては」と奮い立ち、1軍選手を見習って自己投資。身体のケアに重きを置きながら練習を積み重ねていった。「何かを変えたいと心で思うだけではなく、行動に移していくことでさまざまな気づきがありました。その意味ではケガをして良かったと思う。いかにマイナスをプラスに転換できるか。弱者は強者になれる」と語った。

 上田氏は「3人とも、『判断・決断・実行』が明確で、筋が通っていることに凄みを感じる」と言いながら、箱根駅伝を目指す学生に当てはめてこう述べた。「トップを目指す学生に言えることは、〝目標設定の有無〟。挫折があっても、懸命にやり抜くことに価値を見出している点は、上り詰めていく選手の共通項だと思います」

 続く松田氏と朝原氏も自身の〝気づき〟の要因ともなったコーチとのエピソードを語った。

【第2部 パネルディスカッション】 選手たちに必要な〝意識〟

 『選手たちに必要な〝意識〟』をテーマに行われた第2部のパネルディスカッション。パネリストは第1部の4名に、コラムニストの泉麻人氏が加わった。泉氏は箱根駅伝のコースを何回かに分けて徒歩で踏破したこともあるほどのファン。元トップアスリートが語る〝箱根駅伝観〟と箱根駅伝ファンの視点で見る箱根路。そして指導者の矜持も交え、盛んに意見が交わされた。

 同志社大学出身の朝原氏は「関西の出身なので箱根駅伝にはあまり関係なかった、大学も関西でしたので・・・」と話しながらも、「面白いので、正月自宅にいる時はテレビ観戦していました」と語った。昨年まで現役選手の松田氏は「大晦日に泳ぎ納めをして元旦に初泳ぎ」というハードな年末年始を過ごした後、1月2日だけは休養日だった為、テレビで観戦していたと明かし、「名古屋の大学(中京大学)だったので、母校が出場することはないのですが、ある先輩は家族全員が箱根駅伝出場校に関わっていて、正月は皆でワーワー言って応援していたようです。それを見て羨ましいなと思っていました」と観戦の思い出を話した。鈴木氏は〝陸上どころ、駅伝どころ〟として知られる福島県の出身。正月に同県の実家へ帰省すると「箱根駅伝大ファンの母親が、毎年涙流しながら観ています」と笑った。

 「トップを獲れなかったな、というのが正直なところです。今年のメンバーは予選会を経験したことがなかったんですが、あの雰囲気、重いんですよ。失敗が許されない。その重圧を何日も前から受けつつ当日を迎えなくてはいけない。本戦もプレッシャーはありますが、予選会はまた違います」

 元アスリートの視点から、競争激化が著しい今年度の様相を俯瞰しての感想が続く。

 その後、現役時代の試合に向けたコンディショニングの工夫から、大学陸上の今シーズンにおける勢力図整理、箱根駅伝中継の舞台裏などに話題が割かれたのち、後半は『箱根駅伝から世界へ』というテーマに移っていった。

 まず、朝原氏が口火を切った。
「同じ陸上界の人間として言いにくい部分もありますが、駅伝は文化です。ファンも多い。でも、世界は見ていないと思う。駅伝では日本代表が存在しないので、仕方ない部分もあります。ただ、駅伝という競技自体に関しては今の時点で十分盛り上がっていますし、そこまで世界に目を向けていく必要があるのかは疑問があります。勿論、そこからマラソンで世界を目指すという選手は出てきて欲しいのですが……」

 これに対し上田氏は「箱根駅伝で終わる選手を育てるためにやっているのではない」と前置きした上で、「この大会には、マラソンで世界に打って出るという創設者・金栗四三さんらのロマンとパワーがある。その想いは箱根駅伝に生き続けなくてはいけない。オリンピックや世界選手権へと駒を進める選手を育てていくというのも1つの役割だと思う。そういった意味でも箱根駅伝で満足して欲しくないという気持ちはあります」と語り、箱根駅伝創設の目的になぞらえて、大学駅伝チームを指導する監督としての矜持を明かした。

 松田氏は「『日本の長距離が世界で戦えないのは箱根駅伝が弊害になっているからだ』と言っている人がいますよね。私は違うと思います。水泳には『競技会強化』という言葉があります。レースに出ることで強くなっていくという考え方です。箱根駅伝はまさにそれを体現している」と競泳界の選手強化の方針に触れながら、こう続けた。

 「箱根駅伝を目指す学生がなぜここまで懸命に頑張っているのかと言えば、そこに憧れがあるからですよね。箱根駅伝があることによって選手が鍛えられている部分は必ずあるはず。その先については、若いランナーが箱根路に憧れるように、それと同等、いやそれ以上に世界で戦う選手が出てくることだと思います。ロールモデル(模範)の出現によって、日本のランナーの意識が一段階上がって、箱根駅伝が通過点になり、世界が見えてくるのではないかと」