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ホーム >箱根駅伝応援サイト > NumberWeb掲載記事Vol.2

ROUTE04

Number Web

箱根駅伝から世界へ。
マラソンのメダリストは
生まれるか?

小堀隆司=文

photograph by Shunsuke Mizukami

(NumberWeb 2015年12月15日公開記事より転載)

まるで箱根駅伝オールスターズ―。
最終組の出走メンバーを見て、そんな言葉が思い浮かんだ。

去る11月28日に開催された「八王子ロングディスタンス」(男子10000mの記録会)には、長距離の国内有力選手がずらりと顔を揃えた。その背景には来年のリオ・オリンピックに向けて参加標準記録を破っておきたい各々の事情がある。

宇賀地強(コニカミノルタ)、竹澤健介(住友電工)、村澤明伸(日清食品グループ)、窪田忍(トヨタ自動車)、設楽悠太(ホンダ)らがかたまりとなって周回を重ねるなか、レース後半から飛びだしたのが村山紘太と鎧坂哲哉(共に旭化成)だった。

ラスト3周を切ったあたりから2人の壮絶な日本人トップ争いとなり、八王子の陸上競技場がどっと沸く。残り1周、「どっちかわかんないけど(日本記録が)出るぞ」と叫び声が上がるなか、村山と鎧坂が胸をつきあわせるようにしてゴールした。

勝ったのは村山で、特筆すべきはそのタイム。27分29秒69は従来の記録を5秒以上上回る日本新記録!2001年に高岡寿成(現カネボウ監督)が作った記録(27分35秒09)を14年ぶりに更新した。

この夏には、5000mでも大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が13分8秒40の日本新記録を打ち立てている。この2つの新記録が同じ年に生まれたのはどのような意味があるのだろう。

大学駅伝指導者と選手の“世界に対する熱”。

日本男子マラソン界の低迷が続くなか、まるでスケープゴートのように箱根駅伝の弊害論が囁かれる。だが、大学駅伝を取材していて感じるのは、むしろ指導者や学生の“世界に対する熱”である。

今年の春に城西大を卒業した村山紘太は、兄の謙太(駒澤大)とともに箱根駅伝のスター選手だった。昨年の箱根駅伝予選会で日本人歴代最高記録の走りを見せ、その直後に「留学生相手でも絶対に負けたくなかった」と強気に語った姿が印象に残っている。

大迫傑も箱根路に傑出した足跡を残したランナーだが、最も印象深いのは1年生で1区の区間賞を奪った2011年の箱根駅伝だ。

それまでの1区といえば、互いに終盤まで牽制し合い、結果的に大きな差がつくことのなかった区間だったが、この年の大迫は単独走をしているかのように最初から飛ばし、箱根駅伝のセオリーを根本から覆してみせた。

村山も大迫も「ゆくゆくはマラソンを」。

大迫を指導した渡辺康幸(元早大)監督は「日本の将来を背負って立つ存在」と早くからその才能を見抜き、海外留学を後押し。在学中にチームを離れるのは箱根駅伝軽視と揶揄する声もあったが、選択が正しかったことはその後の活躍が物語っている。

村山も大迫も今のところはトラック種目を主戦場に置いているが、大迫は「ゆくゆくはマラソンを走りたい」と公言。高度な揺さぶりやハイペースなスパートに対応するためにも、まずはスピード強化に磨きをかける――アプローチとしては正攻法であろう。

箱根駅伝は年々スピード化が進み、「今後10年は破られない」と言われた2012年の東洋大の記録を今年、青山学院大があっさりと塗り替えた。

記録の推移を見ても、能力の高い選手が育ってきているのは間違いない。5000mと10000mで日本記録が生まれた背景に、近年の強豪校の練習、指導者と学生の熱のこもった邂逅があったと考えるのは穿った見方ではないだろう。

箱根駅伝ランナーからメダリストは生まれるか?

では近い将来、箱根駅伝を走った選手のなかからマラソンのメダリストは生まれるのか。

駒大の大八木弘明監督が興味深い話を聞かせてくれた。

「今、スピードのある選手は増えてきたけど、なかなか(マラソンに)行こうとしないでしょ。27分台が出てから行こうとするんじゃなくて、マラソンをやりながら27分台を出す感覚でやってほしい。22、3歳の選手がポンと殻を破ればね、またそれに続きますよ。瀬古さんや宗(兄弟)さんの時代、うちの藤田(敦史)や佐藤(敦之)らの時代がそうだったでしょ。」

スピードを磨きながら、同時にマラソンの経験も積んでいく。大迫らとはまた少し違う方法で世界に登りつめようとしているのだ。3月の「びわ湖毎日マラソン」には現3年生の大塚祥平が出場予定。「東京マラソン」には卒業生の村山謙太が、現役大学生として東洋大のエースである服部勇馬と青学大のエースである一色恭志もそれぞれ参加を表明している。

服部を指導する東洋大の酒井俊幸監督は「走らせるからには五輪代表を狙いたい」とリオ・オリンピック出場を視野に入れていることを明かし、「4年後の東京オリンピックには旬な年齢で臨める」とさらなる期待を込めた。

やや希望的な観測ではあるが、マラソンの日本記録(2002年に高岡寿成が記録した2時間6分16秒)が彼ら箱根のスター選手によって破られる日はそう遠くないだろう。

来るべき箱根駅伝では、エースランナーの、世界を見据えた走りに注目したい。

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