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サッポロビール 箱根駅伝 応援サイト

 第94回 箱根駅伝 スタートまであと

「ミスがあっても、誰かがカバーして勝つ。去年のチームのような圧倒的な強さはないですが、なんか『駅伝』っぽくて、いいかなって」

 昨年の11月、全日本大学駅伝に勝った後、青山学院大の主将である安藤悠哉から聞いた言葉である。

 まさに、この言葉に今年の青学大の強さは凝縮されていた。

 出雲、全日本と合わせての三冠、そして箱根駅伝の3連覇は歴史に残る偉業だ。しかし冷静に振り返ってみると、2位の東洋大とは7分21秒の差をつけたにせよ、青学大はレース前から完璧な状態ではなかった。

「初めてキリキリと胃が痛むような12月を過ごしました」

 そう原晋監督は話したが、16人のメンバー登録の後になって、1区に予定していた期待の新人、鈴木塁人がシンスプリントを痛めて起用が難しくなった。加えて前回3区で区間賞を取った秋山雄飛は練習で凡走を繰り返し、他の部員からも「秋山は無理だろう」と思われるほどの不調。

 追い打ちをかけるように年末にはエースの一角である田村和希が、発熱はなかったものの喉風邪をひき、コンディションに不安を残した。おそらく、田村の調子が良ければ3区に起用していたはずだ。少しでも回復の時間を稼ぐため、田村は補欠に入り、7区を走ることになった。

なんとか選手のやる気を引き出そうとした監督の苦心。

 レースでも明暗が交錯した。

 3年連続2区を走り、駅伝で初めての区間賞を狙った一色恭志だったが、本人曰く「初めての凡走」で区間2位に終わり、ライバルにダメージを与えることは出来なかった。

 しかし、一色の不調を3区の秋山がカバーする。本番まで2週間を切っても、調子と気分が上がらなかった「大器」だったが、原監督はなんとかなだめすかして快走を引き出した。レース中、運営管理車から「秋山、君は『湘南の神だ!』」という言葉が出たのは、秋山のやる気をなんとか引き出そうとする原監督の苦心の表れだった。

最大のピンチ、7区・田村の脱水を8区・下田が救う。

 そして最大のピンチは、7区を走った田村が脱水症状に見舞われた時だった。

 やはり、箱根ではごまかしはきかない。体調に不安があれば、それが如実に表れてしまう。田村が本来の調子であれば、この7区で決定的な差をつけることが出来ただろうが、逆に早大に1分21秒まで挽回されてしまった(ただし、田村がよくぞこのタイム差でつないだと見ることも出来る)。

 しかし、このピンチを8区の下田裕太が救った。

 今回の箱根駅伝、個人的にMVPを選ぶとするなら、ためらうことなく下田を選ぶ。区間2位の大塚倭(神奈川大)に2分以上の差をつけるダントツの区間賞。惜しくも区間記録更新はならなかったが、全10区間中、最大のダメージを相手に与えた。

「チームの主軸と言われながら、出雲、全日本といい働きが出来なかったんですが、ようやく箱根でチームに貢献できたかなって思います」

 レース後、下田はホッとした表情を見せた。

「駅伝っぽくて、いいかな」が意味すること。

 今年のチームで三大駅伝をすべて走ったのは、下田、田村の3年生2人と、主将の安藤、一色の4人である。

 この4人衆、三大駅伝すべてで好走したわけではなかった。しかし、どこかで大きな仕事をして優勝につなげている。

 出雲では、5区を走った安藤が素晴らしいラストスパートで東海大を逆転。全日本ではアンカーの一色が早大を抜いて優勝を決め、田村は両駅伝で安定した走りを見せていた。そして箱根でようやく下田が仕事をして、中心選手としての役割を果たした。

 駅伝シーズンを通してみれば、全員が完璧な仕事をしたわけではなかった。しかし、集団としてみれば、他のメンバーの落ち込みを好調の選手がカバーして優勝をつかみ取った。

 まさに「チームワーク」の勝利といえよう。

 チームの和とか、そういった類の話ではない。あくまで、ミスをカバーできる選手が揃っていたという意味で、「チームが機能した」ということである。

 安藤が言う「駅伝っぽくて、いいかな」とはこのことを見事に言い表している。

青学に付け入る隙は大いにあったが……。

 他の大学の視点に立つならば、青学大には付け入る隙が大いにあった。しかし3つの駅伝を通じ、どの学校も青学大に致命傷を負わせることは出来なかった。指揮官たちは万全の準備をしたはずだったが、どうも選手たちが青学大に「遠慮」しているように見えた。

 なぜか?

 おそらく、3年間で青学大がメディアを通じて培ってきた「青学大は強い」というイメージが、他の大学にダメージを与えているように見える。

 ひょっとしたら、これが「伝統の力」なのかもしれない。

 今回の三冠、3連覇で、青山学院大はまた別のステージへと上がった。この強さはしばらく続くだろう。

NumberWeb2017年1月5日掲載より