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ホーム > お店とエリア > 北海道エリア(北海道) > 北海道発 おいしい空間 第2弾 vol.1

第2弾(全3回)対談ホスト ARCHI-K 株式会社 東口圭氏第1回目ゲスト 株式会社アトリエモリヒコ 市川草介氏

物件や素材のエイジングをデザインとしてどう生かすことができるか。

東口市川さんと出会うきっかけは、ある日突然、「市川です」と電話がかかってきたんですよね。

市川僕のいとこがやっているイタリアン「RICCO」を手がけたのが、東口さん。店を見に行って、特に関心したのが古いものを上手に使っているのに、古臭く見せていない。札幌にもこういうデザイナーがいたのかと。それで電話を。

東口電話では「アトリエモリヒコの…」と名乗っていなかったんです。だからインターネットで調べましたよ。もしかして、あの市川さんかなぁと。名刺交換をしたらやっぱりそうだった(笑)。びっくりしましたが、嬉しかったです。

市川僕も今思ったら、よくも大胆に初めての人に同時に2つの物件(Plantation、Marie Pierre)をお願いしちゃった(笑)。一番大切なのは、施工中、施工後、長いつきあいになるんだからさ、考え方に共通点がないと。そうだと思うんですよ。彼が手がけている仕事と僕の仕事は共通点があったということです。

東口木も鉄も銅も真鍮も、無垢な素材は空気と触れて行くうちに必ず腐食していくのですが、その過程を大事に、それをもデザインに取り込む。そういう感覚が似ていますよね。この「Plantation」でも最初っから意気投合して、かなりスムーズにデザインを進められたような気がします。

市川古いものは捨て、新しいものを取り入れるという発想もあるけれど、僕たちはそう判断しなかった。「Plantation」は築50年の倉庫で、エイジング(経年変化、熟成)が効いている。このエイジングをどう生かすのか。そこが一番重要な要素でしたね。

築50年の巨大な倉庫をカフェにリノベーションした「Plantation」。「時間が経てば経つほどいい味になる」と市川さん、東口さんがコレクションしていたアンティークなグッズも随所に使われている。

ドアをテーブルにする。柔軟な発想こそが、デザイン=知恵である。

市川例えば、このアンティークなドアを使ったテーブルは東口さんのアイデア。

東口実は私、ニューヨークで仕事をしていた時、自分のデスクがドアを使ったものだったんです。それを思い出しまして。このドアの取っ手は市川さんのコレクションですよね。

市川いざとなったら使えるように、いろんなものをコレクションしていますよ。東口さんも同じクチじゃないかと思って(笑)。

東口確かにそうですね。今は使っていない、つくっていないような金物系のハードウェアには特に惹かれますね。

市川僕にとっては、このテーブルの提案がグッドな訳なんです。つまりこれって知恵でしょ。この物件は予算が厳しくて、東口さんは相当知恵を使ってくれた。事業家というのは常に知恵を使っていかなければならないし、「いかにもお金を使いました!」というお店にはしたくなかった。でも、「知恵は使いました!」ってお店にしたかった。お客さんは、そういうところにすごく反応してくれるんですよね。

東口そこがデザインですよ。予算がなきゃできないっていうのはデザインじゃない。市川さんのグラフィックにしろ、私の空間にしろ、デザインの 考え方には共通性がすごくあると思います。

オレンジのシトロエンが目印のエントランス。グリーンシーズンはイベントスペースにも使われている。

あえて壁で囲わず、見せる演出をした焙煎機。これも知恵から生まれたアイデア。


共にビール好きという市川さんと東口さん。「ジンギスカンにサッポロビールがないと落ち着かない。生ビールに限るんだよね。しかも青空が見えないと。北海道にいて良かったと思う瞬間のひとつだよ」と市川さん。

古いものを残し、活用する。学びや発見、努力が生まれ、街に価値と魅力が加わる。

東口古くて良いものは残していくべきだと思うんですよね。そこに手を加え、新しいものとして利用していくのが大事。先人がつくり上げた、その時代の良い部分を勉強しないまま、今の世代が新たにゼロから始めても幅が狭くなると思うんです。デザインは奥が深い。もっと掘り下げて知るべきですよね。

市川北海道に来た旅行者が何に触れたいかというと、文化なんです。新しいものだけで埋め尽くされていたら、都市の特徴も魅力もなくなってしまう。森彦は観光シーズンとなると1/3のお客様が旅行者です。築60年になる建物の当時の匂いを感じたいのでしょう。自分が生きてきた年数よりも古いものに触れたいって人は結構いますよ。「サッポロファクトリー」に残っている「開拓使麦酒醸造所」の煙突だって、そうです。あの煙突が残っていて良かったと思うんですよ。

東口実は新しいものをつくるほうが簡単なんですよね。古いものは、ものすごくいろんな工夫をしなければいけませんから。

市川古いものは減りこそすれ、増えることはない。そこが最大の問題。古いものを生かすのは努力であり、知恵。難しいんですよ。築年数が経った建物が安く評価されるのは、欧米ではないですよ。ただ、今は建物を取り壊し新築する費用をかけるのは大変な時代なので、リノベーションがひとつのジャンルになりつつありますね。

東口法律の改正も必要だと思います。アメリカには物件の価値を高める法律があるんです。家主は住宅の家賃を勝手に上げられませんが、リノベーションして古い建物の価値を上げることで、費用に応じて家賃の値上げが認められる。建物の価値を上げる社会的なシステムがあるんです。なので100年前の住宅でも活用され、新築しようという発想には至らない。関係者には勉強してもらいたいですね。

市川ストリートという概念も大切にしてほしいと思うんです。共通の約束事をもった空間が集まれば、界隈性 が生まれ、良い空気をつくっていける。

東口街としての魅力も増しますね。

市川そういえば、不動産屋さんに感謝されましたよ。「Plantation」ができてから、倉庫物件への問い合わせが増えたって(笑)。大きな物件でこういう空間遊びができるっていうのは、北海道ならではですよね。

お客様が主に利用するのは2階の雰囲気とはまた異なり、1階は吹き抜けの空間を漆喰の白壁で明るい印象。

トイレ前の洗面台もアンティーク素材でつくった東口さんのオリジナル。

無造作に置かれたコーヒーの麻袋もオブジェとして絵になる。

[今日のおいしい空間] Plantation

築50年の倉庫を生かした、200坪のコーヒーファクトリー。焙煎機を壁で囲わず見せる演出など、随所に楽しいデザインが。MORIHICOのコーヒー、旬の食材を取り入れた食事を楽しめます。3階は音楽会や作品展を行うフリースペース。コーヒー&サムシングを体験できます。

北海道札幌市白石区菊水8条2丁目1-32
TEL/011-827-8868
営業時間/11:00-22:30
定休日/水曜日
メニュー/クラシックナポリタン750円(18:00~のメニュー)、ランチ850円~、コーヒーは11種類550円~

[店舗設計会社] ARCHI-K

東口圭氏を中心に、店舗・事務所デザイン、住空間デザインを手がける建築デザイン事務所。単に美しいだけではない、使い勝手、使い心地の良さを兼ね備えた機能美を追求。リノベーションのデザイン力にも定評あり。素材の本質に寄り添い、その魅力を引き出した質の高い空間づくりを大切にしています。

http://www.archi-k.com/
TEL/011-530-1618

小西 由稀岩浪 睦